神奈川県海老名市の有鹿神社に現れたパンダ姿の宮司がTwitterで話題です。

連日暑い日々が続くなか、水色の狩衣や白袴に身を包み、穏やかな笑みをたたえたパンダのかぶり物をかぶった謎の宮司。

神社で宮司の中の人を目撃した人が、「たまに(パンダのかぶり物)を外して深呼吸しているけど、暑さで顔が真っ赤になっています。あまり(神社のことが)知られていないから頑張っているみたいなのです」とツイートしたことをきっかけに、「頑張ってる姿が素敵」「熱中症が心配」「有鹿神社なのになぜパンダ」などと話題になりました。

有鹿神社は由緒書きに縄文時代の記述があるほど歴史が深く、神奈川県で最も古いといわれる由緒正しい神社。では、なぜここにパンダ姿の宮司が現れたのか?
中の人を務める同神社の小島実和子・禰宜(@arukajinja)に聞きました。
ーーあのパンダ姿の宮司は、何者なのでしょうか?
あれは「パンダ宮司代理」という、宮司が不在の時に出現する有鹿神社のキャラクターです。主に私、たまに他の神職が中に入っています。
そもそものきっかけは、私の父である宮司(@mikagenomori)がパンダに似ていることから私が勝手に「パンダ宮司」と呼んでいて、以前から宮司が留守の時は、パンダのパペットを使って神社の案内をしたりしていたんです。

すると、先月、Twitterでパペットの写真を見た地元のテレビ局から取材依頼があったんですが、大きいかぶり物のパンダがいると勘違いしていたんですね。
打ち合わせの時に「あの、パンダ、これなんですけど、大丈夫ですか…?」とパペットを見せたときのスタッフさんの顔があまりに悲しそうで…。思わずサービス精神で「大きいパンダもありますよ!」と言ってしまい、パンダヘッドを作ったのが始まりでした。
パンダの優しい外見にあやかり、優しい神社、優しい神道を目指すという意味も込めているんですよ。
ーーパンダヘッドはどうやって作ったんですか?
まずは中華街で売っているような3000円程度のパンダのかぶり物を買ってきました。でも口がぱっくり開いていて、サイコな感じで怖かったので、ダイソーの紙粘土を使って、うちの宮司っぽく下ぶくれした感じに近づけました。


元の素材はテカっていたので、プラモデル用のスプレーでテカリを防止して、絵の具を使って車の塗装と同じ要領で溝を埋めました。
撮影までに間に合わせなければならなかったので、突貫工事で1週間弱で完成させました。



ーーTwitterでは暑さを心配する声もありますが…
普段は暑いところで長時間かぶっていることはないので、大丈夫ですよ。
あと、長時間かぶる時は、両方のほっぺに取り外しできる扇風機を入れています。左右両方つけると、風がばあーっとくるので、かなり涼しいです。


とは言っても、扇風機のコードが邪魔なので、舞を舞うときは外してしまうんですけどね。
ーー…舞???
7月初旬にあったお祭りの余興として、パンダ宮司代理の舞をやりたくて練習していたんです。結局は「お祭りとしてやるにはふざけすぎ」と周囲に止められて、披露できなかったんですが……。
〜🌿🐼{ パンダ宮司代理舞、練習風景〜🐙
でもせっかく練習したので、私が個人的に作った栃尾揚げを宣伝するキャラ「栃尾にゃん」のヘッドで舞ってみました。もう少し舞が上達したら、パンダ宮司代理の動画もYouTubeにアップしたいなと思っています。

ーー舞も舞えるパンダ宮司代理、すごい!
最初に作ったときはアイホールが離れすぎてしまったりして、ほとんど身動きが取れず、一人で歩くのが難しいくらいでした。
でもその後改良を重ねて、アイホールを広げたり、頭の中の空間を削ったりして、眼鏡をかけたまま入れるようになりました。舞もしっかり踊れますよ!


ーーどうすればパンダ宮司代理に会えますか?
元々は神社の案内用にしようと思っていたんですが、やっぱりパンダヘッドをかぶると声がこもってしまうので、今はお参りに来てくださった方のお見送りなどで活用しています。
ただ、有鹿神社は神社と事務所が少し離れていて、通常は神社に人がいないので、事前にご連絡いただけるときちんとお出迎えできるかな、と思います。