与党側が強行する形で国会の審議が始まった「検察庁法改正案」に対して、Twitter上で抗議する声が高まっている。
5月9日から10日にかけて、Twitterにはハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」を付けた投稿が470万件を超え、日本のトレンド上位にランクインした。
俳優やアーティストなど著名人の投稿も相次いだ一方、「芸能人は政治的発言をしないでください」などと非難する声もあった。
検察庁法改正案とは
検察庁法改正案は、検察官の定年を63歳から65歳に引き上げ、次長検事や高検検事長などの検察幹部については、63歳でそれぞれの役職を退く「役職定年制」を設けるというもの。
ただし、内閣や法務大臣が「公務の運営に著しい支障が生じる」と判断した場合は、幹部は役職定年を超えて勤務し続けることができるという条項が含まれており、政権が検察庁の人事に介入し、検察の独立性が損なわれる恐れがあると危惧されている。
安倍内閣は今年1月、政権に近い存在だとされ、本来は2月に定年を迎えるはずだった黒川弘務・東京高検検事長(63)の定年延長を閣議決定した。本来は検察官に適用されない国家公務員法の「法解釈を変えた」と説明し、その後、検察庁法改正案を提出した。
こうした政権の動きに対して、野党からは「十分な説明がなされていない」「検察まで(政権に)忖度するようになったのでは司法制度が崩壊する」などと強い批判が相次いだ。
その中、与党側が強行する形で、5月8日に衆院内閣委員会で審議が始まった。早ければ、13日にも採決を迎える。
「この国を壊さないでください」
もうこれ以上、保身のために都合良く法律も政治もねじ曲げないで下さい。この国を壊さないで下さい。 #検察庁法改正案に抗議します
ハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」で法改正に反対する動きは、俳優やアーティストなど芸能界にも広がった。
俳優の井浦新さんは「もうこれ以上、保身のために都合良く法律も政治もねじ曲げないで下さい。この国を壊さないで下さい。」と投稿。
いきものがかりの水野良樹さんは「どのような政党を支持するのか、どのような政策に賛同するのかという以前の問題で、根本のルールを揺るがしかねないアクションだと感じています」と書いた。
どのような政党を支持するのか、どのような政策に賛同するのかという以前の問題で、根本のルールを揺るがしかねないアクションだと感じています。#検察庁法改正案に抗議します
「自分たちの未来を守りたい」と投稿
しかし一部では、「芸能人は政治的発言をしないでください」「ファンだったのにがっかりした」などと非難する人もいた。
歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんは5月10日、ハッシュタグとともに、検察庁法改正案の問題点をラブコメ風の相関図で表した画像を投稿したが、多数のコメントが寄せられたことで、その後投稿を削除。
翌11日に、もともとハッシュタグを付けて投稿したのは、「私も自分なりに調べた中で思ったのは今コロナの件で国民が大変な時に今急いで動く必要があるのか、自分たちの未来を守りたい。自分たちで守るべきだと思い呟きました」と説明した。
その上で、投稿を削除した理由も語った。
なぜ今回私が発言したのかと言いますと、周りの信頼している友達がこの話をしていて政治に詳しくない私のところまで話が降りてきました。
私も自分なりに調べた中で思ったのは今コロナの件で国民が大変な時に今急いで動く必要があるのか、自分たちの未来を守りたい。自分たちで守るべきだと思い呟きました。
そして若い方でもわかりやすいように画像を掲載させていただきました(この画像は間違えてる等の指摘もいただきました。ごめんなさい)
私が投稿を消去させていただいた理由はファンの人同士で私の意見が割れて、コメント欄で議論が繰り広げられていて悲しくなり消去させていただきました。いろんな意見があって良いとは思います。私に対してのイメージ、理想それぞれあるとは思いますがファン同士で喧嘩するのは嫌だなぁ。
逃げるな!とか消すなら最初から書くんじゃねー!とか色々言われるだろうなと思ったので、理由を書かせていただきました。今後は発言に責任感を持って投稿していきます。
検察庁法改正案の全文はこちら。