ストレスを感じたり、気持ちが落ち込んだり。こころの不調は誰もが経験する可能性のある身近な問題です。なのに、メンタルヘルスについて、話しにくい雰囲気があると感じている人は少なくないかもしれません。
BuzzFeed Japanは10月25日、Instagramとコラボして、メンタルヘルスについて考えるインスタライブ 「こころの不調は誰にでもあることだから。いま知りたい心のケア101」を配信しました。
ゲストにお迎えしたのは、「#インスタANZENカイギ」参加クリエイターとして、SNSの安全な使い方について学び、発信しているぁぃぁぃさんと、臨床心理士のみたらし加奈さん。
ライブでは、事前にInstagramでみなさんから募集した質問に対して、みたらしさんにお答えいただきました。その一部をご紹介します。
Q.自分が精神的にすごく疲れてるのはわかっているけど、自分よりも疲れている人がいることを思うと、どの程度の疲れで専門的な機関に相談していいのかわかりません。
カウンセリングとか精神科とかって、誰もが「それは傷つくことだから行ってきたほうがいいよ」って言われるレベルの悲しみとかしんどさじゃないと行っちゃいけないのかな、とか、「こんな私の心のモヤモヤなんか、聞いてもらっても仕方ない」って思われがちですよね。
特にコロナ禍だと、「私もすごい落ち込んでるし、すごい暗い気持ちだけど、医療従事者の皆さんの方が頑張ってるから、私が弱音を吐いちゃいけないんじゃないかな」って思っちゃう方もいると思います。
でも、まず精神科と心療内科は病院なので、お医者さんが診てくれるんですね。だからお薬を処方されに行くという側面もあるんですよ。
だから普段より眠れなくなっちゃったとか、お腹の調子が悪くてとか、メンタルからきているものかもしれないから、ちょっと行ってみよう…ぐらいで全然行ってよくて。
逆にカウンセリングは、カウンセラーはお医者さんじゃないので、お話を聞くのが仕事なんですね。
だから悩みがなかったとしても、自分の小さい時の記憶を整理したいなとか、ちょっと人生について考えてみたいなとか、自分ってどういう人間なんだろう?とか、そういう感じでも、全然行っていいんですよ。
本当に気軽に利用できるものなので、ちょっとでも行ってみようかな?と思ったら、行ってみるのがいいんじゃないかな?と思います。
Q:毎晩、理由もなく死にたい気持ちになります。これは誰もが抱く感情なのでしょうか?
多分人間って、生きていたら死について考えることってあると思います。
死にたいという気持ちじゃなくても、死ぬってどういうことなんだろうとか、もし自分が死んだら、お葬式で悲しんでくれる人はいるのかな?とか、いろいろ想像したり連想したりすると思います。
死にたいという気持ちを抱くこと自体は、決して変なことではなくて、死んでいたら「死にたい」と思えないということは、生きてるからこそ「死にたい」って思うわけです。
死を連想して、もうこんな自分ダメだ、消えてしまいたい、死んじゃいたいって思うのは、多分その人自身が「生きる」ことにすごく真面目で、生きていることに真摯に向き合ってるからこそ、死がよぎるんじゃないかなと思います。
だから、「死にたい」という気持ちは決して変なことではないんですけど、それで毎晩寝られなかったりとか、気持ちが落ち込んだりとか、本当に死ぬような計画をしちゃったりとかしている場合は、専門家は絶対にあなたの味方なので、行ってみてほしいなと思います。
Q. 「メンヘラ」という言葉についてどう思いますか?
「メンヘラ」って言葉が生まれたからこそ、メンタルヘルスについて考えられるようになった方もいると思うから、その言葉自体は私は悪いものではないと思っていて。
ただ、「メンヘラはこうだから」とか「メンヘラはこんな奴」って決めつけたりとか、悩んでいる人に向かって「それ、あなたメンヘラだよ」って言っちゃったりとか、「メンヘラ」という言葉を人をジャッジするために使うのはいけないなって思ってます。
自分はメンヘラかもしれないから、誰かに相談してみようって自分で思うには、私はいいことかな?と。結構広まってる言葉だから、気をつけて使いたい言葉だなと思っています。
Q. 良いカウンセラーの見つけ方がわかりません。
いつもお答えするのが、もしあなたが初めてカウンセリングに行くのであれば、臨床心理士か、公認心理師という資格を持っているカウンセラーのところに行くのがいいかなと思います。
もちろん資格がないカウンセラーでも、いいカウンセリングをされる方はいるんですけど、初めて探すのであれば、資格がある人の方がいいかなと思います。
美容院も結構相性とかあるじゃないですか。ショートカットがうまい美容師さんもいれば、ロングヘアがうまい美容師さんもいたり、カラーが得意とか、パーマが得意とかいると思うんですけど、それと同じように臨床心理士の中にも得意不得意とか、専門にしてるかどうかとかがあります。
例えば、リストカットの患者さんを多くみてますとか、発達障害の患者さんを多くみてますとか、まずホームページなどで専門と資格を見るのが大事かなと思います。
Q.人に悩みを話すのが苦手です。カウンセリングに行っても、うまく話せないんじゃないかと不安です。
カウンセラーはプロなので、仮に相談者の方が来て、何も話せなくなっちゃって、ずっと押し黙っていたとしてもそれはそれで、着てきた服装とか、雰囲気とか、ポロポロと発した言葉とかから、今の相談者の状態をしっかり見ています。
だから、うまく話そうとしなくていいんですよ、本当に「つらい」という一言でもいいし、「苦しい気がする…」とかでもよくて、カウンセラーはそうしたものをうまく汲み取りながら聞いていくので、そこは信頼して任せてほしいなと思います。
Q. 恋人が鬱のような状態になった時に、力になりたいです。ベストな対応はありますか?
味方でいてあげること。相手のことをジャッジしないこと。
例えば、「仕事で上司に怒られてすごい凹んじゃって、ずっと上司となんか相性が悪くて、仕事行くの本当にやだ…」って、相手が鬱々となっている時に、「それはあなたのこれが悪いから」みたいな感じで、その人の性格とか特性をジャッジするんじゃなくて、「そうなんだ、それはひどいかもしれないね。でも私はずっとあなたの味方だよ」とか「もしかしたら詳しい事情は話したくないかもしれないけど、私は聞く態勢でいるし、何があってもあなたの力になってあげるよ」みたいな感じで、私はあなたの味方で、ずっとあなたのそばにいるよというのを示してあげるだけでも、楽になる方はいっぱいいるんじゃないかなと思っています。
ただやっぱり、なんで心の専門家がいるかというと、心を扱うのってとても難しいからなんですよね。
お医者さんのように、素人が手術できないみたいな感じで、資格があるってことはそれくらい難しい問題を扱ってるってことなので、ちゃんと専門家に託すことも大切だと思います。
もし相手が「カウンセリングとか行きにくいよ」と言っていたら、「じゃあ私、待合室で待ってるから、一緒にカウンセリング行ってみない?」とか「一緒に行くよ。でも部屋ではあなたと先生で話してね。私は待合室で待ってるし、そこをジャッジしたりしないよ」って伝えてあげると、本人も行きやすいかなと思います。
ライブでは、「心の不調」を示すストレスサインや、ぁぃぁぃさんとみたらしさんがこれまで自身が経験してきた「心の不調」についても語り合いました。記事はこちら。