「白人至上主義者は出て行け」死者を出した極右集会を州知事が批判。一方トランプは…

    白人至上主義者に対する批判を避けたトランプ大統領に対して、共和党内部から問題視する声が上がった。

    アメリカ東部のヴァージニア州シャーロッツビルで8月12日、白人至上主義を掲げたグループとカウンターデモを行った反対派が激しく衝突。反対派の群衆に車が突っ込み、女性1人が死亡、19人が負傷した。

    トランプ政権発足以来、排他的な風潮が勢いを増すなかで起きた今回の事件。

    だが、トランプ大統領は事件後に開かれた会見で、白人至上主義者らへの直接的な批難を避けた。その対応に対して各地で抗議の声が上がり、共和党内部からも批判を浴びている。

    12日に予定されていた極右勢力の抗議集会「Unite The Right(右派よ団結せよ)」には、白人至上主義団体の「KKK」や、ナチズムを信奉するネオナチグループなどが集結。

    南北戦争の南軍将軍で、根強い白人支配主義者として知られたロバート・リー将軍の銅像撤去に反対するため、前日の夜から銅像が立つヴァージニア州立大学で抗議活動を始めた。

    参加者は「白人の命こそ大切だ」「ユダヤ人に取って代わられるな」「移民を入れるな」などのスローガンを繰り返し、松明を掲げ、カウンターデモに対して催涙スプレーをまきながらキャンパスを行進。

    12日もナチスドイツのスローガン「血と土」などを唱えながら街を練り歩き、反対派との衝突に至った。

    An alt right, white nationalist torch rally met by counter protest led to fist fights, pepper spray in… https://t.co/Ww0j9DXrjM

    この事態を受けて、ヴァージニア州のテリー・マコーリフ州知事は非常事態を宣言。

    知事は会見で、白人至上主義者やネオナチに対して、「お前たちは愛国者を気取っているが、愛国者でもなんでもない」「出て行け。そして、二度と来るな」と強い言葉で批難した。

    Virginia Governor @TerryMcAuliffe to white supremacists: "There is no place for you here. There is no place for you… https://t.co/jn7o4pz0CK

    「今日、シャーロッツビルへやってきた白人至上主義者やネオナチ支持者に私からメッセージがある。それはとても短く、シンプルなものだ。出て行け。お前たちはこの偉大な国で必要とされていない。恥を知れ」

    「お前たちは愛国者を気取っているが、愛国者でもなんでもない。愛国者とは、かつて民衆を一つにしたトマス・ジェファーソンやジョージ・ワシントンのことだ。そして現代の愛国者とは、毎日軍服に袖を通し、世界のどこかで命を危険に晒しながら戦っている若い軍人たちのことだ」

    「今日、お前たちは人々を傷つけるためにやってきた。そして、実際に人々を傷つけた。だが、はっきりと言おう。私たちはお前たちよりも強い。お前たちは私たちをより強くする。お前たちの目的が達成されることはない。この州にお前たちの居場所はなく、この国のどこにもない。私たちは日々、人々を一つにするために、団結するために戦っているんだ」

    「アメリカは移民の国だということも忘れてはいけない。あなたがネイティブアメリカンでない限り、1607年に最初の船がこのヴァージニア州ジェームズタウンにやってきた日以来、多くの人々がこの国へやってきた。移民で織り成された多様性こそ、この国を特別にするものだ。その多様性を破壊することは決して許さない」

    一方、休暇先のニュージャージー州で会見を開いたトランプ大統領は「今回あらゆる勢力がもたらした憎悪、偏見、暴力は言語道断であり、最も強い言葉をもって非難する」と発言。

    だが、「あらゆる勢力」という言葉を繰り返して強調し、白人至上主義者やネオナチに対する直接的な批判を避けた。

    Trump on #Charlottesville: "We condemn in the strongest possible terms this egregious display of hatred, bigotry an… https://t.co/TzSiDafgbl

    「今回あらゆる勢力、あらゆる勢力がもたらした憎悪、偏見、暴力は言語道断であり、最も強い言葉をもって批難する。こうした憎悪や暴力はこの国で長く繰り広げられてきた。トランプ、オバマ、その程度ではなく、長きにわたって存在してきたものだ。だが、アメリカにその居場所はない」

    「今必要なのは、速やかに法と秩序を取り戻し、人々の安全を取り戻すこと。私たちの社会において、市民が自らの身の安全を案じ、怯えることはあってはならないことだ」

    「先ほどヴァージニア州知事とも電話で会談し、この憎悪と分断を直ちに止めなければならないと合意した。私たちはこの国への愛とお互いへの親しみを持って一つにならなければならない」

    「この国では今、とても素晴らしいことがたくさん起きている。だから、シャーロッツビルの事件を見ると、私はとても、とても悲しくなる。肌の色、人種、宗教、政党に関わらず、私たちは常にアメリカ・ファーストだ。私たちはこの国を愛しているし、神を愛している」

    トランプ大統領の発言に対し、アメリカ各地で抗議のデモや、犠牲者の死を悼む集会が開かれた。

    さらに、大統領を支持する共和党からも、批判の声が相次いだ。

    共和党のマルコ・ルビオ上院議員は、「今回シャーロッツビルで起きた出来事は白人至上主義者によるテロ攻撃だったという事実を、国民は大統領の口から聞かされる必要がある」とツイート。

    Very important for the nation to hear @potus describe events in #Charlottesville for what they are, a terror attack by #whitesupremacists

    コーリー・ガードナー上院議員も「大統領、悪に対してはその名を呼ばなくてはなりません。その名は白人至上主義で、この事件は国内の勢力によるテロリズムでした」と呼びかけた。

    Mr. President - we must call evil by its name. These were white supremacists and this was domestic terrorism. https://t.co/PaPNiPPAoW

    第二次世界大戦で兄を亡くしたオリン・ハッチ上院議員も「母国アメリカでヒトラーの思想が批判されずに受け入れられるために、兄はあの戦争で命を落としたわけではない」と嘆いた。

    We should call evil by its name. My brother didn't give his life fighting Hitler for Nazi ideas to go unchallenged here at home. -OGH

    批判を受け、トランプ大統領は13日になって発言を釈明

    政権広報を通じて、「大統領は全ての暴力、偏見、憎悪を強く批難すると表明しました。それにはもちろん、白人至上主義者、KKK、ネオナチなど全ての過激団体を含みます。大統領は全ての国民に団結を呼びかけています」とコメントした。