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「死ぬまで一緒に生きていきたいから」 結婚を認められていないカップルが、裁判官の前で訴えた思い

同性同士の結婚を認めないのは憲法に反しているとして、全国の同性カップルが国を訴えている一斉訴訟。札幌地裁で初の尋問が行われた。

同性同士の結婚を認めないのは憲法に反しているとして、全国の同性カップルが国を訴えている一斉訴訟。

東京、名古屋、大阪、札幌、福岡の計5地裁で裁判が続く中、全国で最も審理が進んでいる札幌地裁で8月5日、今回の訴訟初の尋問が行われた。

尋問では、裁判官から原告に対して「性的指向を変えることはできないのか?」という趣旨の質問がなされる場面などがあった。

同性婚訴訟、初の尋問

札幌地裁に入りました!このあと10時から原告と証人に対する尋問が行われます。朝から夕方にかけての長丁場、ぜひご注目ください! #結婚の自由をすべての人に

札幌地裁で行われている北海道訴訟の原告は、道内に暮らす3組のカップル。

これまでの裁判で原告側は、国が同性同士の結婚を認めないのは、「婚姻の自由」や「法の下の平等」を保障する憲法に反しているなどと主張してきた。

一方、国側は、憲法の「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」するという条文の「両性」は「男女」を表しており、憲法は同性婚を想定していないため、違憲ではないなどと反論している。

8月5日の尋問では、札幌市に暮らすEさん(20代)とCさん(30代)の女性カップルと、帯広市に暮らす国見亮佑さん・たかしさんカップル(いずれも40代)、さらに札幌市で暮らす男性が本人尋問に答えた。

また、たかしさんの姉も、たかしさんたちの暮らしやこれまでの関係を近くでよく見てきた証人として証言台に立った。弁護団などによると、3人は尋問でそれぞれ次のように語った。

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尋問に答えたたかしさんの姉、国見亮佑さん 、たかしさん

国見亮佑さん「(たかしさんは)かけがえのないパートナー。死ぬまで一緒に暮らしたいと思う家族です」

「私たちはいろいろな説明をしても『男ふたりの友達関係と何が違うの?』と言われてしまうことがあります。結婚というと、それだけで絆のある関係性だと感じてもらえると思います。私たちを結婚させてください。それだけです」

たかしさん「20年前に新聞記事で、性的少数者の人権問題に取り組む亮佑さんのことを知りました。(亮佑さんの)明るさに惹かれました。そこから18年間一緒に過ごす中で、もちろん喧嘩もありましたが、彼は人を妬んだり卑屈になることが一度もなく、他人の幸せを心から願う人。とても尊敬しています」

「北海道が大きな停電に見舞われた2018年の年末に、私と彼、私の両親と姉夫婦、そして甥っ子の7人で温泉旅館に行きました。チェックアウト後に家族写真を撮影した際、旅館のスタッフがとても嬉しそうな表情で『これ、とってもいい写真ですよ』と言ってくれて」

「私はこれまで結婚できなくても、私と彼と家族が幸せならそれで十分と思っていました。でも、些細な出来事だけど、その時周りから家族として認めてもらえることがこれほど嬉しいことなんだと思わされました」

たかしさんの姉「(二人は)結婚している夫婦と変わらない関係です。普段から亮佑に『お義姉さん』と呼ばれています」

「しかし法律上の結婚ができないことで、例えば二人のどちらかが亡くなった時に、喪主になれるのか、税金や年金、万が一の保険の面でもみんなと同じように扱われないことに不利益があると感じています。法律が差別を助長している状況だと思います。同性婚を認めて、異性愛者と同じ権利を与えてほしいです」

同日オンラインで開かれた報告会で、原告のEさんは「パートナーとこの先20年、30年と、死ぬまで一緒に生きていたいと思っていること、結婚が認められることで生きる支えを得ることができるので、裁判官の皆さんは賢明な判断をしてくださいということを伝えました」と、語った。

Cさんも「自分たちの生活実態を話すことで、性的指向が同性だというだけで、私たちも生活をしていますということを、伝えることができたのではと思います」と話した。

「性的指向は変えられないのか?」

8月5日(水) 結婚の自由をすべての人に北海道訴訟 裁判のクライマックス、尋問が行われます🌈 「おめでとう」と言われる2人が増えるように、注目そして応援お願いします 18時半から、報告ライブ配信あり! ぜひご覧ください😊 #結婚の自由をすべてのひとに #同性婚訴訟

尋問に備えて練習するEさんとCさんカップル

弁護団などによると、国側からの反対尋問はなかった。裁判官からは、たかしさんに対して「性的指向を変えることはできないのか?」という趣旨の質問があったという。

報告会に登壇したたかしさんは「突然(裁判官から)質問があって、一瞬頭が真っ白になりました」と、質問を受けた時の心境を振り返った。

「でも、結論としては(性的指向は)変えられないこと、これまでもいろいろ迷ってきたけど、やっぱり自分は同性愛者なんだということを、変えられない事実として粛々と受け止めたということをお伝えしました」

原告側弁護団の須田布美子弁護士は、裁判官のこの質問の狙いについて、こう分析する。

「性的指向が自分で選べるものなのか、それとも人種などと同じように、生来的に決まっていて、選択の余地がないものなのかによって、差別をどう判断するかが変わってくるので、とても重要なポイントです」

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オンライン報告会で話す(左から)Marriage For All Japan理事の松中権さん、北海道弁護団の須田布美子弁護士、加藤丈晴弁護士

「裁判官の質問の意図が、たかしさんの証言を信じていないから『本当は自分で選べるんじゃないの?』質問したのか、それとも、人権問題として厳しく判断しなければならないものだから、差別であるときちんと判断するための証拠として残すために、あえて質問して『セクシュアリティは選べない』と発言させたのかまでは、わかりません」

「いずれにしても、このポイントは差別を判断する上で重要なことで、関心を持っているんだなということは明らかでした」

札幌では来年2月にも判決

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オンライン報告会の様子

北海道訴訟は今後、10月28日に最後の口頭弁論が開かれる予定だ。その後、来年2月にも判決が出るのではないかと予想されている。

名古屋地裁では9月8日、福岡地裁では11月16日に次回期日が予定されている。東京と大阪では、新型コロナウイルスの影響などを受け、未定となっている。

たかしさんは報告会をオンラインで視聴する支援者や当事者に向けて、「自分が原告だという思いで、この裁判を自分のものとして受け止めて、考えてもらえたらなと思っています」と話した。

Eさんは「法廷に1人で立っているときは孤独なんじゃないのと、言われることがありますが、普段からたくさんの人に応援してもらい、あったかい気持ちを抱きながら裁判に挑めています。判決が出るまで応援していただけたら」と語った。

オンライン報告会の様子はこちらから。

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Contact Saori Ibuki at saori.ibuki@buzzfeed.com.

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