
杉田水脈・衆議院議員(比例・中国ブロック)が月刊誌への寄稿で「(LGBTは)子供を作らない、つまり『生産性』がない」などと主張し、批判の声が上がっている。
杉田議員が所属する自民党は7月24日、BuzzFeed Newsの取材に「杉田水脈議員の寄稿文につきましては、議員個人としてのものと理解しております」と回答した。
「LGBTは生産性がない」

問題となったのは、「新潮45」2018年8月号(新潮社)に掲載された杉田議員の寄稿記事「『LGBT』支援の度が過ぎる」。
「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうかーー」と持論を展開した。
自身も同性愛者であることを公表している立憲民主党の尾辻かな子議員は、「人の価値は、生産性にあるのではありません」「すべての人は、生きているそのこと自身に価値がある」と批判。
性的マイノリティを支援する当事者の全国団体「LGBT法連合会」は「当事者の人権を侵害するだけでなく、現実に存在する『性の多様性』を無視し、国会議員としての資質に疑問を抱かざるを得ない」と訴える抗議声明を出した
一方、杉田議員が所属する自民党の二階俊博幹事長は7月24日の記者会見で、「党は右から左まで各方面の人が集まって成り立っている。人それぞれ、政治的立場はもとより人生観もいろいろある」とコメントしていた。
自民党は「議員個人としてのもの」

自民党は2016年、LGBTなどの性的マイノリティを受け入れ、支援する社会を目指すことを掲げた基本方針を策定した。
性的マイノリティについて、社会の理解が進んでいるとは言えず、「学校や職場、社会生活などにおいて、当事者の方が直面する様々な困難に向き合い、課題の解決に向けて積極的に取り組むことが求められている」と明記している。
LGBTへの支援は必要ないとする杉田議員の主張は、こうした自民党の方針にも反しているのではないかと指摘されていた。
BuzzFeed Newsは7月23日、自民党に質問状を送付し、杉田議員の寄稿に対する党としての見解について、以下の5点を質問した。
寄稿記事の掲載前に、自民党内で内容を把握していたか。
杉田議員の主張は自民党の方針に反していると指摘されている。党としてはどのように考えているか。
杉田議員に対して何らかの対応を検討しているか
党としてコメントを出すなど何らかの対応を予定しているか
LGBT支援について、自民党としてはどのような施策が必要だと考えているか
自民党広報本部は24日、書面で次のように回答した。以下、全文を掲載する。
「ご質問の杉田水脈衆院議員の寄稿文につきましては、議員個人としてのものと理解しております」
「党としては、『基本的な考え方』を決定し、パンフレットの作成等を行ったほか、性的指向・性自認に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定を目指しております」
「今後も当事者の方が社会、職場、学校の場で辛い思いや不利益を被ることのないよう、多様性を受け入れていく社会の実現を図ってまいります」