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国勢調査で「いないこと」にされている家族がいる。当事者が全国の自治体に呼びかけたこと

国勢調査における「家族」の類型から同性カップルが除外されている問題で、国に対して声を上げるよう、当事者団体が全国の自治体に呼びかけている。

国勢調査における「家族」の類型から同性カップルが除外されている問題で、同性カップルも調査対象にするよう国に働きかけてほしいと、当事者団体が全国の自治体に呼びかけている。

総務省は現在、2025年度に実施する次の国勢調査に向けて、調査に追加すべき項目などに関する要望を、自治体から募集している。

6月9日に当事者団体が開いた会見には、国立市の永見理夫市長も出席し、「同性パートナーの存在や実態が正確に調査、集計されることは、人権に関わる問題だ」と述べ、国へ要望を出すよう各地の首長などに呼びかけた。

性的マイノリティが「見えない」国勢調査

国勢調査は5年に1度、外国籍の住民も含めた、日本で暮らすすべての人と世帯を対象に実施される調査。

同居している家族の構成や就業状況、最終学歴などについて調べ、国や自治体の政策立案に役立てることが目的とされる。

男女の異性カップルであれば、法律婚している人も、婚姻届を出していない事実婚などの人も、世帯主などとの続き柄で「配偶者」を選ぶことができる。

しかし、同性カップルの場合は「配偶者」を選んだとしても、「記入ミス」と判断されるか、本来はおじやおば、いとこなどを指す「他の親族」に集計し直されるのが現状だ。

こうした集計方法では、日本で暮らす性的マイノリティの存在が見えないものにされているとして、当事者団体は2010年、2015年、2020年と国へ要望書を提出。

2020年の調査前に総務省が開いた有識者会議でも、同性カップルを調査対象とすることが議題とされたが、結論は保留されたままだ。

当時の高市早苗総務大臣は「我が国の婚姻制度は異性間に現在は限定されているので、国勢調査における婚姻関係も異性間に限定される」と言い、「同性パートナーの扱いについては、関係する法制度のあり方などを踏まえて検討していく課題だ」と述べた

「同性カップルを数えないのはおかしい」

法律上の性別が同じカップルの結婚(同性婚)をめぐっては、札幌地裁が昨年3月、同性カップルのみ結婚によって得られる法的効果を得られないのは「不当な差別」だと認める違憲判決を下した

しかし、具体的な立法に向けた国会での議論は、依然として進んでいない。

一方、自治体が独自に同性カップルの関係を認める「パートナーシップ制度」は、全国209の自治体で導入され(2022年4月現在)、人口の52.1%がカバーされている。

渋谷区と認定NPO法人「虹色ダイバーシーティ」の共同調査によると、今年3月までに全国で2832組のカップルが制度を利用したという。

2020年に当事者団体が国に提出した要望書には、神奈川県や兵庫県など12の自治体が賛同。首長個人としては、国立市の永見市長のほか、渋谷区の長谷部健区長、茨城県の大井川和彦知事なども賛同した。

9日の会見で「同性パートナーシップ・ネット」の池田宏さんは、「これだけパートナーシップ制度が全国の自治体に広がり、何度も当事者が声を上げてきたにもかかわらず、同性カップルを世帯の一類型として数えないことは、おかしい」と批判。

今回、自治体から国に対して出す要望は「2025年国勢調査へのニーズや意見を自治体が正式にインプットできる唯一の機会」だとして、「パートナーシップ制度を導入している自治体をはじめ、なるべく多くの自治体に『同性カップルを数えてほしい』という要望を国に出してほしい」と訴えた。

集計方法自体が「人権侵害」

永見市長は、国立市としてはこうした要望を出す方針だと述べ、「どれだけの当事者がいて、どのような課題を抱えているか、客観的に把握するためには、客観的な統計が必要だ」とコメント。

「同性カップルの当事者が『配偶者』を選んだとしても、集計時に『他の親族』と位置付けること自体が人権侵害。2025年の国勢調査では、この課題が解決されて、適正な調査が行われるよう、私自身も声を上げていきたい」と語った。

総務省の担当者によると、自治体から国への要望提出は、6月15日が締め切り。「どういう要望があるか、調査をどういう形で利用しているかなどを集計して、調査方法について議論する有識者会議にはかる」という。

同性カップルの集計については、「そもそも同性婚、同性パートナーに関する国の法制度が設けられないこともあって、従来からそうした選択肢は設けていない」と説明した。