あざも、病気も、障害も。夫婦の「言葉にできないもの」を記録した10の写真

    顔やからだの「見た目」に、病気や障害の症状がある人とその配偶者の姿を記録した写真展が、東京メトロ表参道駅のコンコースで開催されている。

    11月22日の「いい夫婦の日」に合わせて、東京メトロ表参道駅のコンコースで、ある写真展が開催されている。

    モノクロの写真に焼き付けられているのは、顔やからだに病気の症状や障害がある人と、そのパートナーの姿だ。

    写真展を手がけたのは、広告や雑誌など商業写真の撮影を生業としている宮本直孝さん。

    これまでにも、日本に暮らす難民やロンドン・パラリンピックの出場選手、ダウン症の子供とその母親など、様々なテーマで企画展を開催してきた。

    今回、宮本さんが着目したのは、病気や障害によって人とは異なる外見の特徴を持つ人々と、その夫や妻たちとの関係性だ。

    顔の一部を覆うあざや口蓋裂。生まれつき肌や体毛が白いアルビノ。

    徐々に筋力低下や筋萎縮が進行する難病「脊髄性筋萎縮症」や、顔の骨が十分に発育しない「トリーチャーコリンズ症候群」など、一人ひとり異なる特徴を持つ。

    計10組の夫婦を撮影したなかで、特に宮本さんの印象に残っているエピソードがある。

    動静脈奇形という病気で、生まれつき鼻と口が変形している河除静香さんと夫・悟さん(写真下)の撮影を始めたときのことだ。

    「夫はこんな私に、どうしてこんなに優しくしてくれるんだろう。それを知りたいから撮ってほしい」。カメラの前に立つ前に、静香さんはそんな言葉を口にした。

    ファインダー越しに見る表情にも、どこか痛みや悲しみが残る。宮本さんが「旦那さんに対する気持ちを、写真に出してみましょう」と伝えると、静香さんはカメラから目を離さないまま、つぶやいた。

    「こんな私に、18年間ありがとう」

    そのとき初めて、張り詰めていた悟さんの表情がほぐれた。そのあと、ふたりが小さな声でどのような言葉を交わしていたか、宮本さんは知らない。

    シャッターを切るとき、宮本さんは何を捉えようとしていたのか?と聞くと、長らく言葉を重ねて逡巡した上で、「やっぱり言葉にすると難しい」という答えが返ってきた。

    写真展には、このような文章を寄せている。

    いい夫婦ってなんだろう。
    ありがとうって
    はずかしくて言えないけれど、
    ありがとうって
    心の中で思ってる。

    写真展は11月24日まで開催している。宮本さんのサイトはこちらから(http://www.naomiyamoto.com/)。


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