性暴力は、誰にでも起こりうることだから。被害者や支援者たちが写真で訴えること

    「誰にとっても性は身近なものなのだし、あなたの大切な人が被害に巻き込まれるかもしれません。この問題はみんなの問題です」

    性犯罪に関する刑法の規定について、再改正が必要か議論する検討会が、6月から法務省で始まる。

    被害の実態に即した改正を求めている国際NGO「ヒューマンライツ・ナウ」は、5月26日からオンラインキャンペーンを始め、性暴力をなくすためのメッセージを募集している。

    性犯罪に関する刑法改正に向けて

    刑法の性犯罪に関する規定は、明治40年(1907年)の刑法制定から110年ぶりとなる2017年6月に改正された。

    これまで被害者が女性に限定されていた「強姦罪」の名称を「強制性交等罪」に変更し、被害者の性別は問わないとしたり、被害者の告訴がなくても起訴できるようにしたりと、大幅な変更がなされた。

    一方で、強制性交等罪が成立するためには「被害者の抵抗を著しく困難にさせる程度の暴行・脅迫」があったことを立証する必要があるとする「暴行・脅迫要件」や、現行法では13歳と定められている「性交同意年齢」については、議論を続ける必要があるとの声が上がっていた。

    そのため、2017年の刑法改正では、施行後3年をめどに、性犯罪における被害の実情や改正後の状況を踏まえて、必要があれば、施策の在り方を再検討すると定められていた。2020年がその「施行後3年目」に当たる。

    6月から始まる法務省の検討会には、刑法を専門とする研究者、被害者心理の専門家、弁護士、性暴力被害者を支援する団体の代表などが参加する。

    市民の声を届けるために

    国際NGOのヒューマンライツ・ナウでは、この検討会へ市民の声を届けるために、SNS上でメッセージを募るアクション「#BatonForChange」を始めた。

    ヒューマンライツ・ナウでは、相手の意志に反して性交などを行う行為を刑法の処罰対象にするべきだとして、「不同意性交等罪」を作る必要性を訴えている。

    事務局長の伊藤和子弁護士は「これまで声を上げてくれた多くの女性や被害者の思いが実り、いよいよ検討会での議論が始まります。しかし、この議論は有識者の方々だけに任せていればいいというものではないと思います」とBuzzFeed Newsの取材に語る。

    「現実に被害を経験したり、理不尽さやつらい思いを抱えてきたみなさんの思いや意見が、しっかりと議論に反映される必要があると思います」

    「だからこそ、『私たちのことを私たち抜きで決めないで』というメッセージを送って、刑法改正という問題がいかに多くの人々の人生や未来に関わることなのか、考えてもらいたいと考えています」

    性犯罪はみんなの問題

    アクションに参加する際には、手の甲にメッセージを書き、バトンのような物を持った写真に「#BatonForChange」「#被害者を泣き寝入りさせない」「#性犯罪に関する刑法を変えてください」のハッシュタグをつけて投稿するよう呼びかけている。

    「刑法改正について思うこと、身近なところで危険を感じる性暴力、被害をなくすために社会にできることは何かなど、皆さんの思いをなんでも率直に書いて頂けたら嬉しいです」と伊藤弁護士は話す。

    「誰にとっても性は身近なものなのだし、あなたの大切な人が被害に巻き込まれるかもしれません。この問題はみんなの問題です」

    アクションの実施期間は6月9日までを予定している。詳細はこちら

    UPDATE

    当初の記事では、アクションへの参加方法を「手のひらにメッセージを書いて写真を撮影・投稿する」としていましたが、その後、「手の甲にメッセージを書いて、バトンのような物を持ち、写真を撮影・投稿する」に変更されたため、記事を更新しました。


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