今年4月に行われる統一地方選。実は選挙では、有権者として1票を投じる以外にも、候補者を応援したり、ハラスメントから守ったりする方法がたくさんあることをご存知ですか?
昨年末に公開された「選挙ボランティアのしおり」には、誰でも始められる「お手伝い」の方法やそのルールが、わかりやすく紹介されています。
「選挙ボランティアのしおり」を作成
Stand by Womenが作成した「選挙ボランティアのしおり」を公開しました!!選挙ボランティア初心者向けに、「できるお手伝い内容」から、「公職選挙法の基本的な知識」まで、簡単にわかりやすく説明しています。以下より無料ダウンロードが可能です。 https://t.co/b4bbOxUyPt #投票以外にできること
しおりを作成したのは、女性議員や候補者の政治活動をサポートしている団体「Stand by Women」。議員に対するハラスメントの問題を研究している濵田真里さんが代表を務めています。

「選挙ボランティア」と聞くと、ハードルが高いと感じる人も少なくないかもしれません。でも実は、誰にでもできる簡単な「お手伝い」ばかり。しおりでは、こんな活動が紹介されています。
- 街頭演説でのビラ配り
- ポスター貼り
- ビラへの証紙貼りや公選ハガキの宛名書き
- 有権者の郵便受けにビラなどを投函する「ポスティング」
- 選挙カーの運転手や候補者名を連呼する「ウグイス」
- 広報物の作成
- 寄付やSNSでの応援

選挙運動に関するルールは、公職選挙法で細かく決められています。
例えば、選挙ボランティアに参加できるのは、18歳以上の成人のみ。しおりでは「ボランティアをした際にお昼代をもらっても大丈夫?」や「お揃いのジャンパーを着てもいいですか?」など、活動する上で気をつけたいことやよくある疑問についても、解説されています。

公職選挙法の解釈は、各選挙区の選挙管理委員会によって異なる場合もありますが、今回しおりで取り上げられている内容は、全国共通で使えるものになっています。
ボランティアによる「ハラスメント」も
今回「Stand by Women」のメンバーがしおりを作った背景には、女性議員が少ない日本の政治を変えていきたいという思いがあります。
国ごとの男女格差を数値化した「ジェンダー・ギャップ指数2022」で、政治分野における日本の順位は、146カ国中139位でした。
地方議会を見渡しても、都道府県議会で女性議員の比率が30%を超えているのは東京都のみ。2番目に高い京都府が22.0%で、それ以外の45府県は20%未満となっています。

なぜ女性議員は増えないのか。生活との両立など多くの壁がある中で、濵田さんが候補者からよく耳にした課題の一つが「信頼できるボランティアを集めることが難しい」という問題でした。
「候補者に対する票ハラの中には、選挙活動の手伝いという名目で接近してきたボランティアから、被害を受けるケースも少なくありません」
「例えば、『ビラ配りを手伝ってあげたんだから、連絡先くらい交換してよ』と迫られたり、『住所を教えて』と言ってストーカー的な行為をされたり。2期、3期と期数を重ねていても人手不足で困ってしまい、履歴書などでスクリーニングしても、信頼できるボランティアを集めることが難しいという話を見聞きしてきました」
「選挙運動期間の多くは平日の日中のため、子育て世代や働き世代の候補者は特に、友人や知人に手伝ってもらうことが困難です。人手不足の状態が続くからこそ、候補者がリスクを取らざるを得なくなる状況が生まれてしまっていると言えると思います」
「私たちの声を届けてくれる人を応援」
しおりを作った同団体のメンバーの中には、今年初めて選挙ボランティアに参加した人もいます。普段は会社員として働いている片桐麻実さんもその一人です。
片桐さんも「Stand by Women」に入るまでは、投票する以外にも選挙でできることがあることを知らなかったと言います。
「国政選挙には注目が集まる一方で、地方議会で活動している議員さんがいることを、あまり意識したことがない人も多いのではないかと思います」
「でも、実際に街頭演説のビラ配りなどを手伝ってみて、距離感も近くなり、地方議会で決まることは生活に直接関わることばかりだと知りました」
「だからこそ、地方議会の選挙にも注目して、私たちの声を届けてくれる人を応援することは大事なことだと思います」
「#投票以外にできること」を

選挙運動は告示後の数週間に集中的に行われるものですが、出馬する人の活動は、その何カ月も前から始まっています。
今年4月の統一地方選に向けて、年始から駅前での街頭演説を始めた候補者を見かけた人もいるのではないでしょうか。
濵田さんは「選挙期間中だけボランティアを集めて活動するだけでは、正直当選するのは難しい。候補者は皆さんボランティアの人手不足に悩まされているので、選挙期間以外も多くの人がボランティアなどを通じて、政治に参加していく市民文化ができるといいなと考えています」と語ります。
同じくメンバーの白坂彩香さんは「選挙運動ってなんか怖いな、危なくないのかなと感じている人も多いと思うので、その敷居を下げることが一番の目標。しおりを見て、私にもできることあるのかなと思ってくれる人が増えると嬉しいです」と呼びかけています。