黒人男性を殺害した警察官の罪名を「第2級殺人」に変更。「第3級殺人」との違いとは?

    ジョージ・フロイドさんを殺害したとして第3級殺人の罪に問われていた元警察官。ミネソタ州司法当局はその罪名を「第2級殺人」に変更し、現場にいた他の警察官全員を起訴すると発表した。

    ミネソタ州司法当局は6月3日、アフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドさん(46)を殺害したとして、第3級殺人の罪で起訴されていた元警察官のデレク・チョービン被告(44)の罪名を、より罪の重い第2級殺人に変更した

    また、同じく現場にいた3人の元警察官を第2級殺人の幇助罪で起訴した。

    新たに起訴されたのは、トウ・タオ被告、トーマス・レーン被告、J・アレクサンダー・クェン被告の3名。これで現場にいた警察官全員が罪に問われることとなった。

    「第3級殺人」と「第2級殺人」の違いとは

    事件が起きたミネソタ州では、殺人罪が第1級から第3級まで分かれている。第3級殺人の量刑は最大で禁錮25年、第2級は最大で禁錮40年だ。

    罪の重さは暴行の程度、殺意や計画性があったか、同時に他の罪を犯していたかなどで定められる。

    ミネソタ州のキース・エリソン司法長官は6月3日の会見で、チョービン被告の罪名を「第2級殺人」に変更した理由として、被告に殺意はなかったものの、重大な罪を犯していたと述べた

    「ミネソタ州の法律では、第1級殺人で立件するためには、計画性と殺意が認められなければなりません。第2級殺人では殺意が必要です。第2級殺人の別の分類として、ある重罪を意図的に犯し、その結果死亡させたというものがあります。死亡させること自体は意図的でなかったとしても」

    エリソン長官はチョービン被告が、フロイドさんを意図的に暴行したことが、第2級殺人の要件に当たる重罪であるとした。

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    また、全米に広がった抗議活動については、この事件で「重大な意味を持っている」と述べ、「ジョージ・フロイドさんは大切だった。彼の命には価値があり、私たちは彼のために、そしてあなたたちのために正義を探していく」と語った。

    「今ある証拠は(当初の第3級殺人よりも)より重い第2級殺人で立件することを可能にしたと考えています。これは正義のため、フロイドさんのため、私たちのコミュニティ、そして国のためになることだと思います」

    遺族は罪名変更を歓迎

    チョービン被告に対する告訴状によると、起訴された警察官4人は偽の20ドル札を使った客がいるとの通報を受けて、現場に駆けつけた。

    警察官たちは自身の車にいたフロイドさんに出てくるよう伝え、銃を向けて手錠をかけたという。

    その後、フロイドさんをパトカー内に連行しようとした際、フロイドさんは自分は閉所恐怖症であるといい、地面に倒れ込んだ。うつ伏せになったフロイドさんの背中と足をクェン被告とレーン被告が押さえ、チョービン被告が膝で首を押さえつけたとされる。

    通行人が撮影した動画には、組み伏せられたフロイドさんが「息ができない」「殺される」と助けを求める声が記録されている。また、タオ被告が、通行人が近づけないよう見張るような形で立つ様子も映っている。

    フロイドさんの遺族代理人はこれまで、チョービン被告は第1級殺人で処罰されるべきだと訴えてきた

    代理人のベンジャミン・クランプ弁護士は、遺族のコメントとして「これはほろ苦い瞬間です。エリソン長官が決断力を持って、全ての警察官を逮捕、起訴し、チョービン被告の罪名を第2級殺人に変更したことについて、深く感謝しています」とツイートした。

    FAMILY’S REACTION: This is a bittersweet moment. We are deeply gratified that @AGEllison took decisive action, arresting & charging ALL the officers involved in #GeorgeFloyd's death & upgrading the charge against Derek Chauvin to felony second-degree murder. #JusticeForGeorge