新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、学生にも深刻な経済的被害が広がっている。
学生主体の労働組合「首都圏学生ユニオン」は、4月25・26日の両日午後1~5時まで、学生アルバイトに特化したホットライン(03-5395-5359)を開設し、労働相談を受け付ける。
「このままでは生活できなくなる」
首都圏学生ユニオンは1人からでも入れる学生主体の労働組合で、学生アルバイトの労働相談を受け付けて、雇用主と団体交渉したり、労働問題に関する勉強会を開催したりしている。
首都圏学生ユニオンの尾林哲矢さん(22)によると、組合の相談受付にはすでに、新型コロナウイルスに関連した学生からの労働相談が、多数寄せられている。
「3月中旬からアルバイトのシフトがカットされたが、休業補償について説明がなかった。学費、定期代、スマホ代などをバイト代から捻出していたため、4月もシフト削減が続くと生活が苦しくなる」
「バイト先から自宅待機命令を受けたが、休業手当が出ないと言われた。ひとり親家庭で数万円の仕送りをもらっているが、家賃でほとんどなくなってしまうので、自分のアルバイト+奨学金でなんとか生活してきた。しかし、このままでは生活できなくなる。母には地方の実家に帰るよう言われているが、感染を恐れて、悩んでいる」
「仕送りなしで月13~15万円ほどのバイト収入で暮らしていたが、シフトが削減されたことで3~4万円程度に減ってしまった。学費は奨学金を借りて、自分で負担している」
相談者の多くが、緊急事態宣言による休業要請や外出自粛などの影響で収入が減り、学費や生活費の支払いに苦しんでいるという。
経費を削減するために実家へ帰ろうにも、地方で暮らす家族に感染を広げてしまうことを恐れて、躊躇しているという声もあった。
尾林さんは「これからも学生生活を維持できるかと多大な不安に駆られている学生が多くいます」とBuzzFeed Newsの取材に語る。
「今後も新型コロナの影響が続けば、下宿を続けられなくなる人、学費を払えずに退学を余儀なくされる人が出てくることも考えられます」
退学を検討する声も
学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」が4月9~21日にかけて実施した調査では、大学・短大・専門学校などに通う回答者514人のうち、36.4%が「収入が減った」、3.3%が「収入がなくなった」と回答した。
また、回答者の6割が「バイト代を生活費に使っている」といい、中には学費を支払えないため、退学を検討しているという回答者もいた。
尾林さんは「学生は雇用保険に入れないため、バイト先などが倒産しても失業手当を受け取ることができません。一律10万円もらえることは一時的には助かりますが、失業手当などで継続的に収入がある方が助かるのではと思います」と言う。
厚生労働省では、4~6月を新型コロナウイルスの影響による「緊急対応期間」と定め、従業員向けの休業手当を助成する「雇用調整助成金」の対象を学生アルバイトなどまで広げた。
文部科学省では、4月から返済不要の給付型奨学金を支給する「修学支援制度」を始めている。
一方で、こうした制度について周知されていなかったり、対象者が限定されていて利用できなかったりするケースもあると尾林さんは指摘する。
学生バイト、保護者、教育関係者の相談も
25・26日の労働相談ホットラインでは、利用できる補償制度を紹介したり、労働基準監督署やハローワークへつなげたりなど、相談内容に応じて対応する。
学生バイトに限らず、保護者や教育関係者、新卒の就職活動で内定切りを受けた学生などの相談も受け付ける。
尾林さんは「困っている学生はまず、労働組合などに相談を寄せてほしい。あとは退学を検討する前に大学にも掛け合ってみてもらい、大学側には親身になって対応してほしいです」と語った。
学生アルバイトのための新型コロナウイルス関連労働相談ホットライン(03-5395-5359)は、4月25日(土)・26日(日)両日の13:00〜17:00まで。
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