Updated on 2019年10月16日. Posted on 2019年10月2日

    夫婦別姓を認めないのは「信条による差別ではない」 東京地裁で原告側が敗訴

    選択的夫婦別姓を認めないのは「違憲」だとして、事実婚カップルなどが国を訴えた裁判で、東京地裁は原告側の請求を棄却した。

    夫婦別姓を希望する婚姻届けが受理されず、法律婚できないのは憲法に反しているとして、世田谷区在住の事実婚夫婦と、都内在住の女性の計3人が国に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(大嶋洋志裁判長)は10月2日、原告側の請求を棄却した。

    原告側は控訴する予定だという。

    夫婦別姓を希望する人を「信条」で差別

    Saori Ibuki / BuzzFeed

    「夫婦別姓訴訟弁護団」の榊原富士子弁護士(左)と広島地裁の原告、恩地いづみさん

    訴状によると、事実婚した夫婦は2018年2月、世田谷区に婚姻届を提出。その際、「婚姻後の夫婦の氏」の欄で「夫の氏」と「妻の氏」の両方にチェックを入れ、「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」と明記した。

    ところが、夫婦同姓を定めた民法750条などに「違反している」ことを理由に、婚姻届は受理されなかった。

    このように、夫婦別姓の選択肢を認めない民法750条は、夫婦別姓を希望する人をその「信条」によって差別しており、法の下の平等を掲げる憲法14条に違反していると、原告側は主張していた。

    結婚後も夫婦別姓でいたいという「信条」を持つ人は法律婚ができず、様々な法的権利や利益、社会的承認を受けることができないと訴えていた。

    判決「信条の違いに着目した差別ではない」

    Saori Ibuki / BuzzFeed

    判決では、結婚後も夫婦別姓を希望することは「信条」に当たると認め、姓は「人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴」として、人格権の一部であると認定した。

    その一方で、法律婚しようとする人は「夫婦同姓を希望する人」と「夫婦同姓を希望する人」のいずれかに二分できるものではないといい、結婚後に姓をどうしたいかという「信条の違いに着目した法的な差別的取り扱いを定めているものではない」とした。

    また、被告である国側は、夫婦同姓を義務付けた民法の規定は「合憲」と判断した2015年12月の最高裁判決から現在に至るまで、考慮すべき社会的事情の変化はないと主張していた。

    この点について原告側は、女性の就業率などに関する統計や、64.3%の人が「家族の姓が違っても家族の一体感(きずな)には影響がないと思う」と答えた内閣府の世論調査などを元に反論。

    判決は「女性が就業することについての社会の意識も高まっている傾向にあり、氏が家族の一体感に繋がるとは考えていないものの割合は増加傾向にある」と認めた。

    だが、2015年と比較して「判例変更を正当化しうるほどの変化があるとまでは認められない」とした。

    全国3地裁、10人の原告が提訴

    Saori Ibuki / BuzzFeed

    原告側代理人を務めた「夫婦別姓訴訟弁護団」によると、選択的夫婦別姓を求める原告10人が2018年5月、東京地裁、同立川支部、広島地裁の3地裁で、国家賠償請求訴訟を起こした。

    立川支部の判決は11月14日、広島地裁は11月19日に予定されている。

    榊原富士子弁護士は判決後の会見で、今回の判決について、夫婦別姓を希望することが「信条」であることや、女性の就業や「姓」に対する社会の意識が変わっていることが認められたのは、評価できると語った。

    「(2015年最高裁判決からの)事情変更を認めさせなければ、判例を変えるのは難しいと実感しました。逆に事情変更を認めさせれば、判決は取れるんだと思っている」と話した。

    野口敏彦弁護士は「現行の制度は、排除の論理。様々な意見、希望があるならすべて実現できるような形を取った方が、どの立場の人も幸せになるので合理性があるのではないか」とコメント。

    「家族のことはプライベートのこと。国が家族の形を決めて上意下達で伝達するのではなく、それぞれの家族が『自分たちはこういう家族がいいんだと一生懸命悩んで考えて、それを国がサポートするという話ではないのか」と強調した。

    Contact Saori Ibuki at saori.ibuki@buzzfeed.com.

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