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同性婚は?差別禁止を求めてるのは?トランスジェンダーの権利は? 衆院選、各党の公約を比較

各党のLGBTQに関する公約を比較しました。

10月31日に投開票日を迎える衆議院議員選挙。

新型コロナ対策や経済政策に注目が集まる一方、性的マイノリティの保護やジェンダーギャップ解消に向けた政策も、人々の暮らしに関わる重要な争点の一つです。

各政党はどのような方針を示しているのか。

同性婚をはじめ、主要9政党(自民党、立憲民主党、公明党、共産党、日本維新の会、国民民主党、社民党、れいわ新選組、NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で)の性的マイノリティに関する公約を比較しました。

結婚の自由をすべての人に

まず日本では現状、法律上、同性同士となるふたりの結婚が認められていません。

自治体が独自に同性カップルの関係を公的に認める「同性パートナーシップ制度」は全国130を超える自治体で導入されていますが、これらの制度に法的な効力はありません。

2019年2月には、各地の当事者が、同性同士の結婚を認めない現行の法制度は「法の下の平等」などを保障する憲法に違反しているとして、国を相手取った裁判を起こしました。

今年3月には札幌地裁が全国初の「違憲判決」を下し、同性カップルのみ、結婚による法的効果を得ることができないのは「不当な差別」だと認めました。

現在も全国5地域の地裁と高裁で訴訟が続いています。

同性婚に関する各党の公約は?

公約の中で同性婚に言及し、法制化に取り組む、または検討すると掲げたのは、立憲民主党公明党共産党日本維新の会国民民主党社民党れいわ新選組の7党でした。

自民党は、公約に明確な記載がありませんでした。

自民党は、公益社団法人「Marrige For All Japan(マリフォー)」の公開質問状に対して、政府は「現行憲法のもとでは、同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されていない」という立場をとっており、自民党も同じように考えていると回答。

また、パートナーシップ制度についても、性的指向や性自認に対する「国民の理解の増進が前提」にあると言い、制度の是非を含めた慎重な検討が必要だと答えました。

マリフォーの公開質問状に対しては、「パートナーシップ制度の拡充・法制化の検討」をはじめ、「性的指向や性自認に関する課題解消に向けたトータルでの議論、検討の加速と法整備が必要」とこたえました。

NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」は当初、NHKに関する政策しか公約に記載していませんでした。しかし、10月24日に追加公約を発表し、その中で同性婚についても触れています。

婚姻の自由を定めた憲法24条の「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」という条文が「足かせとなっている可能性がある」として、「条文を改正することが選択肢の一つであることを踏まえた上で、国会での議論を積極的に求めていく」としました。

また、国民民主党は公約内で「同性婚の保障について検討する」と言及しているものの、「憲法」に関する箇所に記載されており、同性婚の実現には憲法改正が必要との考えが伺えます。

「理解増進」か「差別禁止・解消」か

同性婚のほかには、性的マイノリティの権利保護に向けて、各党どのような政策を掲げているのでしょうか?

自民党は、今年6月に国会提出目前で頓挫した「LGBT理解増進法案」を念頭に、「性的指向・性自認に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の速やかな制定を実現するとともに、民間や各省庁が連携して取り組むべき施策を推進する」としています。

「LGBT理解増進法案」については、公明党も推進の立場を示しています。

一方、立憲民主党は、性的指向や性自認に基づく差別的な取り扱いの禁止を明記した「LGBT平等法」の制定を公約に掲げています。

自民党が進めてきた「LGBT理解増進法案」は、立憲民主党も含む与野党で合意に至りましたが、差別禁止の規定がなく、実効性に欠けるとの批判もありました

今回の選挙では、立憲民主党のほか、共産党日本維新の会国民民主党社民党れいわ新選組が、差別禁止や差別解消を目的とした法整備を公約に掲げています。

トランスジェンダーが直面する困難も

Fumino has a child with his girlfriend, but because of a damaging Japanese law he isn’t considered to be the baby’s father. A new report, out on March 20, exposes the intense hardships Japan’s law inflicts on its transgender population

Twitter: @hrw

一部の政党は、トランスジェンダーの当事者が直面する課題にも公約で触れています。

日本では、戸籍上の性別を変更するためには「生殖腺がないこと、または生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」や「現に未成年の子がいないこと」などが要件となっており、人権の観点から見直しの必要性が議論されていました。

立憲民主党は、性別変更に関する要件を定めた「性同一性障害特例法」の名称変更や、戸籍変更に必要な要件の見直し、ホルモン療法の保険適用拡大を検討し、進めるとしています。

公明党も同様に、「性同一性障害特例法」の見直しを含め、ホルモン療法の保険適用化など、当事者が抱える困難の解消を図ると掲げています。

日本維新の会は「トランスジェンダー当事者が直面する困難の解決に取り組み、多様性が尊重される環境整備に向けて、政府内に専門的に議論をする会議体を設置」すると言及しています。

【訂正】 当初の記事では、国民民主党は同性婚について「公約に記載がない」としていましたが、正しくは憲法に関する箇所で「同性婚の保障…について検討する」として触れられていました。訂正します。