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70%以上が「カミングアウトしやすい環境になってない」 調査でわかった9つのこと

電通ダイバーシティ・ラボが実施した「LGBTQ+調査2020」。結果から見えてきた9つのポイントをまとめました。

日本で暮らす性的マイノリティの現状について調べた「LGBTQ+調査2020」の結果を、電通ダイバーシティ・ラボが4月9日に発表しました。

調査は2020年12月、20~59歳の6万人を対象にインターネットで実施。回答者の8.9%が「LGBTQ+層」に該当すると答え、日本で暮らす11人に1人が性的マイノリティに当たるという結果になりました。

調査では、さらに6240人を対象に抽出調査を実施。結果から見えた9つのポイントを紹介します。

1. LGBTO+層の割合は、全体の8.9%

調査では、①生まれた時に登録された性、②本人が自認する性、③好きになる相手の性ーーの3つの組み合わせで分類し、「異性愛者であり、生まれた時に割り当てられた性と性自認が一致する」と答えた人を「ストレート層」と定義。

ストレート層に該当する答えではなかった人すべてを「LGBTQ+層」と定めました。

その結果、LGBTQ+層に当てはまる人は全体の8.9%を占め、2018年の調査と同じ数字になりました。およそ11人に1人が性的マイノリティに当たるという結果です。

また、過去の調査では「LGBT」という言葉を使っていましたが、性自認がわからないと感じる人などが用いる「クエスチョニング」をはじめ、多様な性が存在することを踏まえて、「LGBTQ+」との表記に改めました。

2. 「LGBT」という言葉の認知度は80.1%

「『LGBT』がセクシュアルマイノリティ(性的少数者)の総称の一つということを知っていますか?」という質問に対して、「知っている」「何となく知っている」と答えた人は、80.1%にのぼりました。

2015年調査の37.6%、2018年調査の68.5%から認知度はさらに拡大しており、調査では「もはや常識と言える言葉になった」と評価しました。

3. 同性婚に賛成の人は全体の82.2%

同性婚の法制化については、「賛成」「どちらかというと賛成」と答えた人があわせて82.2%。2018年調査の78.4%と比べても、賛成の割合が増加しています。

海外では、30近い国々が同性カップルの結婚を認めています。日本でも各地で暮らす当事者が、同性同士の結婚を認めないのは憲法に違反するとして、国を訴えた裁判が5つの地裁で続いています。

3月17日には札幌地裁で初めての判決が下され、同性カップルのみ婚姻制度から得られる法的効果を享受できないのは、「合理的な根拠のない差別」だと認めました。

4. 88.7%が学校教育で「性の多様性を教えるべき」

「学校教育で、LGBTQ+をはじめとする『性の多様性』について教えるべきだと思いますか?」という質問では、88.7%の人が「教えるべき」「できれば教えるべき」と答えました。

一方、実際に学校で教わったことがあるかという問いでは、あると答えた人はわずか10.4%でした。教育を通じて理解を広げることが必要だと考える人が多い一方、実態はまだ追いついていないと言えます。

5.カミングアウトしやすい環境には「なっていない」

以前に比べ、周囲の人にLGBT当事者であることをカミングアウトしやすい環境になっていると感じますか?という質問では、あわせて70.2%の人が「なっていない」「ややなっていない」と答えました。

2018年調査でも69.5%の人が、「カミングアウトしやすい環境にはなっていない」と答えており、2年間で状況は大きく変わっていないことがわかりました。

一方、パートナーシップ制度がある都市に住んでいる当事者のみに絞った場合、そのように答えた人は、47.7%に減少。

こうした制度の存在が、当事者が安心して暮らせる環境づくりの一助になっていることが示されました。

6. 親にカミングアウトした人の2割が「受け入れられていない」

「LGBTQ+当事者であるとカミングアウトした際、親はどのような反応を示しましたか?」という問いでは、父親にカミングアウトした人の計18.7%、母親にカミングアウトした人の計19.2%が、「いまだに受け入れられてはいない」「完全に拒否されている」と答えました。

7. 結婚したいLGBTQ+層:53.3%

LGBTQ+層のうち、可能であれば将来結婚したいと答えた人は、53.3%にのぼりました。

結婚へのハードルになっているものは何か聞くと、もっとも多かったのが「法制度」で39.8%で、「パートナーがいない」が39.0%、「世間の目・世論」が28.1%との回答が続きました。

8. 子供が欲しいと思うLGBTQ+層:47.7%

LGBTQ+層のうち、可能であれば将来、子供が欲しいと答えた人は全体の47.7%でした。

結婚と同様、ハードルになっているものとして、法制度(24.4%)、世間の目・世論(21.2%)が多くを占めました。

9. LGBTQ+層以外の人で最も多いのは「知識ある他人事層」

今回の調査では、LGBTQ+層以外の「ストレート層」に対しても、意識調査を実施。

性的マイノリティに関する知識を持っているか、課題意識や配慮意識があるか、社会的な影響を懸念しているか、生理的嫌悪を持っているか…などの指標を元に分類し、それぞれの層の年代や性別、所属や役職などの特徴を分析しました。

最も多かったのは、知識は持っているものの、当事者が身近にいないなど課題感を覚えるきっかけがなく「他人事」だと感じている層(34.1%)。

この層は男性が61.2%を占め、他の層よりも正社員管理職の比率がやや高い傾向が見られました。

その次に多かったのは、「アクティブサポーター層」と名付けられた課題意識が高く、積極的にサポートする姿勢がある層(29.4%)。

69.1%を女性が占め、若年層やアルバイト・パートの比率が高いという特徴がありました。

また、性的マイノリティに対する課題意識や配慮意識が低く、関わり合いを持たないよう敬遠している「敬遠回避層」には「自分自身が生きづらさを感じている」などの特徴も。

生理的嫌悪が著しい層は5.7%で、男性が80.9%を占めるとともに、50代が35.6%をしめるなど、他の層に比べて年齢層が高いという結果でした。


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