「最終面接までオンライン」「社員を大事にしない会社は受けたくない」コロナで変わる就活前線

    コロナ禍において各企業がどのように採用活動を進めるかは、学生たちも注視している。

    来春卒業する大学生などを対象とした企業の採用活動が本格化している。

    新型コロナウイルスの影響で多くの企業が急遽、選考方法や採用予定を変更するなか、学生にとっては企業のそうした対応が、就職先選びの一つの基準になっている。

    学生たちは、コロナ禍のなかで就職活動にどう臨んだのか。

    「全てが想定外」

    リクルートキャリアが、来春卒業する大学生約750人を対象に実施した調査によると、6月1日時点での内定率は56.9%。前年同時期よりも13.4ポイント低かった。

    2~4月までは前年を上回るペースで内定率が伸びていたが、5月以降は2カ月連続で下回り、新型コロナの影響が顕著になってきたかたちだ。

    「私は3月から本格的に就活を始めたので、新型コロナウイルスの影響をもろに受け、全てが想定外という感じでした」

    そう語るのは、都内の大学に通うMさん(22)。コロナの影響で外出自粛が呼びかけられるなか、面接やグループディスカッションなど選考の多くがオンラインに移行したことに戸惑ったと話す。

    「オンラインになったことで、大事な面接の時にWiFiや電波状況のことを気にしなくてはいけないのが、まず大変で。オンライン面接は話しづらく、熱意が伝わりづらいとも感じたため、いつもの1.5倍増しくらいのテンションで話すようにしていました」

    さらに、多くの企業がワークショップやインターンを中止したため、社員や職場の雰囲気を知るチャンスが減ったことも懸念の一つだったという。

    「社内が実際はどのような雰囲気なのかが掴みにくいため、会社と学生のミスマッチも生まれやすいのではないかと感じました」

    選考過程の全てがオンラインで実施される場合も少なくない。マイナビが5月に実施した就活の実態調査では、「入社意思の最も高い企業について、今までに対面の機会はあったか」という問いに対して、学生の37.9%が「個別企業説明会から最終面談まで全てWEB」だったと答えた。

    自宅で説明会、地方からもアクセス

    一方、コロナの影響で従来の就活よりも良くなった点もあったとMさんは言う。

    「まずは、説明会が全てオンラインになったこと。自宅でくつろぎながら2倍速で見ることができたり、コロナ後も説明会は全てオンラインでいいのでは?と思いました」

    また、オンライン面接では、話している自分の姿を画面上で確認できることも、自分を客観視して話し方のコツを掴むために役立ったと話す。周囲では面接の様子を画面収録し、終了後に内容を振り返っていた学生もいたという。

    福岡県の実家から就活をしていたSさん(23)は、関東圏と地方の学生がアクセスできる情報の差が縮まったことを利点に挙げる。

    「様々な就活イベントがオンラインになったため、関東でしか開催されないセミナーや説明会に地方からもアクセスできるようになったことが良かったです。より公平さが増したと思います」

    「社員を大事にしない会社」

    コロナ禍において企業がどのように採用活動を進めるかは、学生たちも注視している。Sさんは各企業の対応に大きな差があったため、逆にどの企業が「学生思いかそうじゃないか」を見ることができたと話す。

    「企業の中には、直接社員さんに会うことができない代わりに、女性限定の座談会や社員さんが飲みながら日々の暮らしについて話す会など、会社の雰囲気を伝える色々な種類のセミナーを用意している会社もあり、とても良い印象を持ちました」

    「一方では、面接実施日の1週間前に突然、対面で面接を実施すると言ってくる企業もあり、私は地方なので、急いでホテルや飛行機を確保するのに苦労しました」

    他にも「感染症対策をしっかり行う」と伝えておきながら、実際は100人くらいの学生が一つの部屋に集められているケースもあり、言っていることとやっていることの乖離を感じる企業もあったという。

    Mさんも、緊急事態宣言が発令されていた5月に、対面で面接していた企業は、社員の安全に配慮していないという印象を受けたという。「入社したとしても大事にしてくれないんだろうな」と感じ、そうした企業は受けるのをやめたと話す。

    一方、早期に内定を得ていたAさん(23)は、内定先の企業が3月上旬には在宅に切り替え、テレワークに必要な設備を支援していることを知り、安心できたという。

    「社員の健康を第一にしていたり、ニーズを先読みして支援をしたりする様子を見て、内定先が社員のことを大切にしていることが知れたのは、とても良かったです」

    マイナビが4月下旬に、来春卒業する大学生・大学院生約2200人を対象に実施した調査では、「在宅勤務など新型コロナウイルス感染症から社員を守る施策を行っているか」が、企業を選ぶ際にもっとも重要なポイントだと答えた割合が、40.7%にのぼった。

    Sさんは「人によって企業選びの基準はそれぞれですが、私は『入社してからいかに社員を大事にしてくれるか』を重視していたので、こうした対応は企業選びにはとても影響しました」と話した。


    ご意見を募集しています

    📣BuzzFeed Newsでは、LINE公式アカウント「バズおぴ」(@buzzopi)で、読者の皆さんのご意見を募集しています。

    日々の暮らしで気になる問題やテーマについて、皆さんの声をもとに記者がニュースを発信します。

    情報や質問も気軽にお寄せください🙌LINEの友達登録で編集部と直接やりとりもできます。様々なご意見、お待ちしています。

    友だち追加