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コップを倒すだけでも大丈夫。セクハラを目撃した時にできる3つの対処法

「被害を未然に防ぐことができた。その成功体験を重ねることで、性暴力を繰り返す空気を変えていくことができるのではないかと考えています」

ハラスメントの現場を目撃したとき、見て見ぬふりをしてしまった経験はありませんか?

ジェンダーや性暴力の問題に取り組む「一般社団法人ちゃぶ台返し女子アクション」は4月、第三者がセクハラを未然に防ぐ方法や、性における同意(セクシュアル・コンセント)の大切さを大学生向けに解説したハンドブックを作りました。

セクシュアル・コンセントとは

まず、セクシュアル・コンセントとは「全ての性的な言動において確認されるべき同意」のこと。

ハンドブックでは、性行為には「お互いの『したい』という積極的な意思表示」が大切であることのほか、「NO」と言える環境や、社会的地位や力関係に左右されない対等さが必要なことが具体例を交えて説明されています。

制作を担ったのは主に大学生。同意の大切さを知ることで、望まない性的経験によって自分が傷ついたり、相手を傷つけたりすることなく、お互いを尊重しあえる関係を築いてほしいという願いが込められています。

暴力を見かけたときの「3つのD」

さらに、性暴力やハラスメントが起きそうな現場や、実際に被害にあった人を見かけたときに、第三者ができる「3つのD」を紹介したページも。

アメリカのNGOが提唱するこの対処法は、まずは第三者である自分の安全を第一に考えた上で、周りの状況や加害者との関係も鑑みて、自分にできる範囲のことをするという考え方です。

「3つのD」とは具体的に、以下の3つの関わり方を指します。

  1. DIRECT《直接介入する》:加害者や被害者になろうとしている人に直接干渉し、事態を悪化させない。
  2. DISTRACT《気をそらす》:加害者や被害者の注意を引いて問題となりうる状況を回避する。
  3. DELEGATE《委任する》:適切に介入できる別の人に助けてもらうようお願いする。

例えば「直接介入」とは、加害者に対して直接「やめた方がいいのでは」と注意して止めに入ったり、被害に遭いそうな人に声をかけたりする方法。

でも直接的な行動に出ることで、自分にも危険が及びそうな場合は「気をそらす」方法や、誰かに「委任する」方法もあることを、ハンドブックでは具体例とともに解説しています。

現場が居酒屋であれば、周りの人や店員さんに相談してみたり。または、飲み物を「うっかり」倒して、加害者側の意識をそらしたり、その場の空気を一旦壊してみたり。

それだけでも、被害を回避する効果があると書かれています。

見かけたら力を貸せる人になる

ちゃぶ台返し女子アクション共同代表の大澤祥子さんは、「第三者の介入と言うと、すごく大変そうに思えるかもしれませんが、そんなことはないんです」とBuzzFeed Newsの取材に話します。

ハラスメントや暴力に対して、見て見ぬ振りをしてしまった経験はきっと、誰にでもある。

「被害を未然に防ぐことができたという『成功体験』を重ねることが、私たち一人ひとりのエンパワメントにつながります」

「そうやって『もう、見て見ぬ振りをしなくてもいいんだ』という自信をつけることで、性暴力が繰り返されてしまう空気を変えていくことができるのではないかと考えています」

ハンドブックは2万部発行し、東京大学やお茶の水大学、慶應義塾大学など主に首都圏の大学で配布。詳細は、ちゃぶ台返し女子アクションのホームページで確認できます。