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立憲民主党の街頭演説が「SNS映え」する理由 自民党と比べたらわかる秘策が

支持者に囲まれる立憲民主党と、候補者や関係者に囲まれる自民党。この違いとは?

選挙戦もいよいよ大詰め。立憲民主党の街頭演説会が、盛り上がっている。

「東京大作戦」と銘打って10月14、19日にJR新宿駅前と秋葉原駅前で開いた街頭演説会には、それぞれ約3000人(主催者発表)の聴衆が参加した。

BuzzFeed Newsが19日の様子をTwitter上でライブ中継した際も、約7万人が視聴し、絶えず応援コメントが寄せられた。

人数だけではない。注目したいのは映像だ。TwitterやFacebookにアップされる演説会の写真では、枝野幸男代表は常に大勢の群衆に囲まれている。

実はこれは、日本の選挙戦ではあまりみられなかった風景だ。自民党の演説会の写真と比較しても、全く違うことがわかる。

支持者に囲まれる立憲民主党と、候補者や関係者に囲まれる自民党。この違いの裏側に、立憲民主党の秘策があった。

街宣車に立たない「下から」の演説

新宿駅と秋葉原駅で開催された立憲民主党の演説会には、共通点がある。

それは、枝野さんたちが街宣車ではなく、駅前広場に置かれた「お立ち台」で、周囲をぐるりと聴衆に囲まれて演説をしていることだ。

お立ち台の高さは、1メートル前後。演説者の周りを固める警備員のそれらしい姿は見られず、脚立の上でカメラを構える報道陣も、お立ち台を囲む聴衆の後ろ側に設けられた取材エリアにいる。

お立ち台の近くに集まった支持者は、枝野さんを目の前にし、スマートフォンでも顔や声をはっきり撮影できる。支持者にぐるりと囲まれた姿を、だ。

さらに、開設2日で10万フォロワーを達成して注目を集めた党の公式アカウント自ら「#立憲カメラ」というハッシュタグを作り、SNSやメディアに転載可能な写真や動画を募集。

みんなが自由に使ってよいという写真や動画はぜひ #立憲カメラ で投稿して下さい📷🎥メディアのみなさま、候補者のみなさまもこのハッシュタグのついた写真等はご自由にお使いください!#1019東京大作戦2

演説会に来た人が演説を聞いて帰るだけではなく、写真や動画を撮影し、SNSに投稿することで、党を応援する活動に自ら参加できる。その映像が話題となって、さらに人が集まる。

人が人を呼ぶムーブメントだ。

東京大作戦Vol.2@秋葉原駅電気街口(UDX前)#立憲カメラ #1019東京大作戦2、枝野幸男様!( ゚д゚ )クワッ!!

#立憲民主党 #立憲カメラ #1019東京大作戦2

立憲民主をTwitterやツイキャスで追ってると、市民が駆けつけ、市民が撮り、市民が広げている。既存の組織の論理とは違うものが働いている。自由がある。協力がある。他者への尊重と感謝がある。自律した市民が自由に表現する。これが、ここまでくるなんて。 #大阪最終大作戦1020

自民党と比べると…

自民党が衆院選や夏の東京都議会選挙中に開いた演説会と、立憲民主党の「東京大作戦」を比較すると、会場のつくりに違いがあることがわかる。

例えば、自民党が選挙戦の集大成として「最後の演説会場」に選ぶ”聖地”秋葉原。

都議選最終日に自民党が演説会を開いた際、安倍さんはロータリーに停めた街宣車の上から演説した。ヤジを飛ばす反対派などを警戒して会場は厳重に警備され、聴衆はロータリーの周りの広場や歩道橋などに集まった。

JR秋葉原駅前(自民党、7月1日)

一方、10月19日の立憲民主党の「東京大作戦」は、下のような位置関係だった。

お立ち台は聴衆のど真ん中に設置されている。少し離れた場所から見ると、どこに枝野さんがいるのかもわからなくなるほどだ。

JR秋葉原駅前(立憲民主党、10月19日)

両方の会場を比べてみると、こうなる。

また、都内の他の会場でも、自民党は演説者と聴衆に距離がある。

様々な角度から見やすい場所に演説者が立つという利点はあるが、撮影された映像では、演説している人はポツンと立っている印象を受ける。

JR池袋駅(自民党、10月18日)

立憲民主党は演説者が聴衆に近く、後ろの方からは見えづらいが、人に囲まれている映像になる。

JR新宿駅(立憲民主党、10月14日)

なぜ聴衆と近い「風景」を作るのか

なぜ、立憲民主党はこうした演説会場の作り方をしているのか。

SNSでの拡散を狙うほかに、報道陣が撮影する写真にも支持者が写り込む画を多くし、盛り上がっているイメージをさらに印象付ける狙いもある。

あえて背景に支持者を配置して、彼らの表情や掲げたプラカードをメディアに撮らせる手法は、アメリカの政治家の演説会にも通じる。

「下からの政治」を視覚的にアピール

もう一つ、理由があるようだ。

立憲民主党が選挙戦で訴えているキーワードの一つが「下からの政治」だ。安倍政権を強権的な「上からの政治」と批判し、「みんなで作り上げていこう」と国民との近さをアピールする。

そうした、草の根から政治や国を変えていくイメージを、実際の演説会で再現している。

「右とか左とかではない。今、政策も、民主主義も、上からのものになってしまっていないか。草の根の、暮らしの声に支えられた下からの民主主義を、下からの経済再生をしていかなければならない。右でも左でもなく、下から前へ。新しい旗を掲げさせていただきました」(10月14日、JR新宿駅前での演説)

政策が上からになっているのは、政治の姿勢が上からになってしまっているからだと私は思います。

国民の政治離れと言われてきましたが、私はそれは間違いだったと気づきました。国民が政治離れをしているんじゃない政治が国民から離れてしまっている、それが今の日本なんじゃないでしょうか。

ちゃんと国民と一緒に歩む民主主義、それが真っ当な民主主義だ、真っ当な政治だそういう思いを持って、第一歩を踏み出しました。ぜひ皆さん一緒に歩いてください。(10月19日、JR秋葉原駅前での演説)

選挙期間最終日となる10月21日、自民党の安倍さんは午後7時からJR秋葉原駅電気街口で、立憲民主党の枝野さんは午後5時15分からJR新宿駅南口で最後の大々的な街頭演説会に臨む。

12日間に及ぶ選挙戦のラストメッセージ。22日に、いよいよ投開票日を迎える。

【#BFライブ】#総選挙2017 の演説と開票解説をTwitterで中継します。ぜひ、アカウント通知をONにしてください。 👇日程👇 10/19 立憲民主党:18:55〜 10/21 自民党:18:55〜 10/22 開票結果の… https://t.co/GSxpuQsGFn