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6人に1人が中学で「下着の色」を決められていた。“ブラック校則"実態調査でわかった9つのこと

中学時代に校則で「下着の色」が決められていた人は、6人に1人。男性教員にチェックされたという女性もいました。

ブラック校則をなくそう!プロジェクト」が3月8日、全国各地の行きすぎた校則やルール、理不尽な指導の実態を調べた調査結果を発表した。

プロジェクトが発足したきっかけは、大阪府立高校の女子生徒が、髪が生まれつき茶色であるにも関わらず、学校から黒染めを強要され、身体的・精神的苦痛を受けたと主張して起こした訴訟。

今回の実態調査では、アンケートによる量的調査と、個別事例の聞き取りによる質的調査を実施した。

量的調査では調査会社を通じて、10〜50代の男女計2000人にネット上でアンケート。半数に中学時代、残り半数に高校時代の経験を聞いた。また現役中学生・現役高校生の保護者各1000人にも同様の調査を実施した。

実態調査で明らかになったこと

アンケート調査によって、以下のようなことが明らかになった。

  • 多くの人が“ブラック校則”を経験している
  • 服装や身だしなみに関するルールが以前より厳しくなっている
  • 黒染め指導や下着ルールなどの事例も珍しくない
  • 髪色・髪質からセクシュアリティまで多様な生徒の存在


教室は、さまざまな生徒が共に学ぶ場所であり、時代に合わせた校則が求められていると言える。

調査によって明らかになった結果(速報値)のポイントは、以下の通り。

調査を担当し、Twitterの「#ブラック校則」で体験談を募集してきた評論家・荻上チキさんの分析と共に紹介する。

1. 3人に2人が中学時代、2人に1人が高校時代に“ブラック校則”を経験している

調査では、“ブラック校則”の例として、 Twitterで寄せられたものの中から「スカートの長さが決められている」「運動中の水飲み禁止」「日焼け止め持ち込み禁止」「髪型指定」など約20項目を提示。

中学時代にこうした“ブラック校則”があったと答えた人は66%だった。高校時代では50%と、中学の方がやや校則が厳しくなることが伺える。

2. 生まれつき髪が「黒髪ストレート」ではない人が40%いる

中学・高校時代の経験を聞いた2000人のうち、生まれつき「黒髪ストレート」だと答えた人は約60%、それ以外が40%だった。

一方、生まれつき茶髪と答えた人は約9%、金髪は約1%だった。黒染めを強要する根拠となる「日本人なら黒髪ストレート」という考えは、偏見であることがわかる。

3. 生まれつき茶髪の人のうち、約2割が高校時代に「黒染め指導」をされたことがある

生まれつき茶髪の人に着目すると、高校時代に20%、中学時代に10%の人が黒染めするよう学校から指導された経験があると答えた。

また年代別に見ると、黒染め指導を経験した人の割合は10代で最も高くなっている。染髪剤がドラッグストアなどで気軽に手に入るようになったことから、黒染め指導に対する教員の意識が変化したと考えられる。

4. 10代の回答者の6人に1人が、中学時代に校則で「下着の色」が決められていた

10代の回答者のうち、16%が中学時代に校則で「下着の色が決められていた」と答えた。20代では5%、30代では2%であることから、現代の学校の方がより厳しく規定されていると言える。

また、男性教員による下着チェックをされたという女性の声も少なからず寄せられており、その行為自体がセクハラにあたるという認識の普及が必要。

5. 下着の色だけでなく、「スカートの長さ」や「眉毛」「整髪料」など身だしなみに関する校則が増えている

また、校則で「スカートの長さが決められている」「眉毛を剃ることが禁止されている」「整髪料の使用が禁止されている」と答えた人の割合も、10代で最も高かった。服装や身だしなみに関する校則がより厳しくなっていると言える。

痴漢予防を根拠にあげる学校も少なくないが、痴漢が女性の服装によって引き起こされるという考えは、性暴力についての典型的な思い込みであり、生徒に「呪い」をかけることに他ならない。

「被害にあったのは服装のせいだ」という被害者非難にも繋がる可能性がある。

6. 国公立よりも私立の方が、校則が厳しい

学校区分別に見ると、「ブラック校則はなかった」と答えた回答者の割合は私立が最も低く、国公立よりも私立の方が校則が厳しいと言える。

その背景には、学校が自校のブランドを守るために、生徒の服装や振る舞いに介入していることが考えられる。

7. “ブラック校則”がない学校では、いじめを経験する人の割合が下がる

学校にブラック校則がなかったと答えた回答者と、あったと答えた回答者を比較すると、校則がなかった回答者の方が、いじめ被害に遭った割合も低くなることがわかった。

同様に、ブラック校則がなかった回答者の方が、いじめ加害をした人の割合も低かった。

校則以外の要因も影響するため、「ブラック校則のせいでいじめが増える」とは言い切れないが、厳しい校則が生徒たちのストレッサーとなり、いじめで発散されているという仮説も考えられる。

8. マイノリティ属性を持つ人の大半がいじめ被害を受けている

実態調査では、生徒のマイノリティ属性といじめの関係についても調べた。性的少数者や、海外にルーツがある生徒など、何らかのマイノリティ属性を持つ生徒の大半がいじめ被害を受けていることがわかった。

9. 若い世代や自分も理不尽な指導を経験した親ほど、時代にあった校則に変えてほしいと感じている。

「なくした方がいい校則があると思う」と答えた割合を年代別に見ると、10代が87%でもっとも高かった。

また親の中でも、自分も学校で理不尽な指導を受けた経験のある親の方が、時代に合わない校則を変えるべきだと考えていることがわかった。


BuzzFeed Newsでは、会見の詳報【「ルールとはなんだろう」と問いたい "ブラック校則"の経験者は少なくなかった】も配信しています。

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【UPDATE】一部表現を修正しました。