Updated on 2018年8月9日. Posted on 2018年2月8日

    「あたしおかあさんだから」は、私の毎日だった。ある母親のマンガが話題

    「好きなことを我慢してまでヒト一人の人生背負うなんて無理です」

    絵本作家・のぶみさんが作詞し、献身的に子育てに勤しむお母さんを描いたという歌「あたしおかあさんだから」。

    歌詞の内容が「母親の自己犠牲を賛美し、特定の母親像を押し付けている」とネット上で批判が殺到。のぶみさんが謝罪する事態となった。

    Yagi-studio / Getty Images

    「あたしよりあなたの事ばかり」

    「あたしおかあさんだから」は、NHKの「おかあさんといっしょ」11代目うたのおにいさんを務めた横山だいすけさんが歌い、Huluの番組「だい!だい!だいすけおにいさん!!」で放送された。

    問題となった歌詞の一部は、以下の通り。

    一人暮らししてたの おかあさんになるまえ
    ヒールはいて ネイルして
    立派に働けるって 強がってた

    今は爪きるわ 子供と遊ぶため
    走れる服着るの パートいくから
    あたし おかあさんだから

    あたし おかあさんだから
    眠いまま朝5時に起きるの
    あたし おかあさんだから
    大好きなおかずあげるの
    あたし おかあさんだから
    新幹線の名前覚えるの
    あたし おかあさんだから
    あたしよりあなたの事ばかり



    もしもおかあさんになる前に戻れたなら 夜中に遊ぶわ
    ライブにいくの 自分のために服買うの
    それぜんぶやめて いま、あたしおかあさん
    それぜんぶより おかあさんになれてよかった

    歌詞の内容に、Twitterでは「『母親になったのだから自らを投げ打つのが当然で、幸せなのだ』って呪いのメッセージひどすぎる」「母親に対する呪いだけじゃなくて、子どもに対する呪い」などの批判が殺到。

    のぶみさんは2月8日午前、自身のTwitterで「関係者の方やイヤな気持ちにさせた方、本当に深くお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした」と謝罪した。

    「きっとここで何度 説明してもいろんな場所で 怒ってる人には、会うと思う その時は出来るだけその人の気持ちに寄り添ってごめんなさいしよう」と続け、「こんなにごめんなさい言った作品は、初めてだった」と投稿した。

    きっとここで何度 説明しても いろんな場所で 怒ってる人には、会うと思う その時は出来るだけ その人の気持ちに寄り添って ごめんなさいしよう こんなにごめんなさい言った 作品は、初めてだった でも僕は、やはり僕の作品は、 大好きだよ 間違えててもそれが自分だから

    「歌詞で昔を思い出した」

    3歳の娘を育てる漫画家・イラストレーターの渋谷さえらさん(@voxxx)も、歌詞の内容から、「理想のお母さん像に勝手に縛られて」追い詰められていた頃のことを思い出した一人だ。

    初めての子育てに悩み、自分の時間や趣味を犠牲にした。渋谷さんはそんな当時の状況をマンガに描き、「おかあさんだからこそ世のお母さん方は好きな事をして生きてください」と訴える。

    「あたしおかあさんだけど」という曲の歌詞そのままの生活をしていた時の事を描きました。おかあさんだからこそ世のお母さん方は好きな事をして生きてください。好きな事我慢してまでヒト一人の人生背負うなんて無理です。#育児日記 #育児漫画… https://t.co/qgToQAhuOB

    「頑張って、いいお母さんにならねば」

    渋谷さん自身は20代後半で長女を出産し、子育てに専念するために育児休暇を取得。映像製作会社で朝から晩まで働く生活から、日中は娘と二人きりの生活が始まった。

    子どもが騒がないか心配で電車に乗れない、好きなときに寝られない、テレビも子どもが好きなもの、泣き声が癇に障るーー。

    「あたしおかあさんだからの歌詞を読んだとき、子どもに対して『当然のように私の時間を食っていくんだな…』と、いらだちを感じていたときのことを思い出してつらくなりました」と話す。

    渋谷さえら / Via Twitter: @voxxx
    渋谷さえら / Via Twitter: @voxxx
    渋谷さえら / Via Twitter: @voxxx

    自分の中の「理想のお母さん像」に近づくために必死だったと言う渋谷さん。

    「主人は子どもが生まれた時から、積極的に育児に参加し、私を気遣ってくれました。私だけが『育児も仕事も家事も全部こなして、旦那に極力負担をかけないようにするべき』という“理想のお母さん像”に勝手に縛られていました」

    「子どもがいなかった頃は、絵を描くなり、音楽を聴くなりでストレスを解消できていたのが、子どもに邪魔されるから何もできない。でも、外で見る他のお母さんたちは、みんな子どもに優しくしてる」

    「自分もそうしなければいけない、そうであるべきだという“呪い”を自分自身にかけていた状態だったと思います」と振り返る。

    こちら例の手鍋です。ご査収ください。

    「好きなモノ、好きな人に頼って」

    その後、渋谷さんは「子ども第一」の生活を自分に強いた結果、“空っぽ”になってしまったことに気付く。それをきっかけに好きなモノ、好きな人に頼ることを自分に許すようになる。

    渋谷さえら / Via Twitter: @voxxx
    渋谷さえら / Via Twitter: @voxxx
    渋谷さえら / Via Twitter: @voxxx

    漫画は8000件以上リツイートされ(8日現在)、同じ体験をした母親たちや、似たような苦しさを経験した人たちから共感の声が寄せられた。

    渋谷さんは育児や仕事をめぐる「苦労してなんぼ」の風潮を超え、お父さんお母さんがお互いに尊重しあって、支え合いながら気楽に育児ができればと話す。

    「時代は変わるし、便利なものもどんどん増える。苦労や我慢して頑張ったって子どもにはそんなの関係なくて、お父さんお母さんと楽しくワイワイできればそれで良いんだな〜と、子どもと意思疎通ができるようになった今つくづく感じます」

    「だから、適当に手を抜ける所は手を抜いて。お父さんお母さんお互いにできることできないことを補い合って、楽しくラク~に育児しようぜ!そんな気を張らなくても子供は育つから!というのが伝われば良いなと思います」

    渋谷さえら / Via Twitter: @voxxx
    BuzzFeed JapanNews

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