アマゾンジャパン社長が語る顧客第一主義 運送問題は「心配しないで」

    ますます便利になっていくAmazonプライム。運送業界への負担も懸念されるなか、アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長がBuzzFeed Newsの取材に応じた。

    音楽にビデオ、当日配送。今年からは月額制度や食料品宅配サービスが導入され、ますます便利になっていくAmazonプライム。アメリカでは、リアル店舗の構築や、大手高級スーパーを買収するなど、快進撃が止まらない。

    一方、国内では運送業界への負担も懸念されている。アマゾンがプライム会員向けに開く、年に一度のセールの祭典「プライムデー2017」を7月11日に控え、アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長がBuzzFeed Newsの取材に語った。

    ——今月から月額400円で入会できる制度も始まり、アメリカの半額に近い値段で提供されている日本のプライム。今後、値段が上がるのではと心配する声もあります。

    日本におけるプライムの価格について、現段階で私が発表できることは何もありません。

    ですが、私たちの仕事は「会員にならないなんて考えられない」と顧客が感じるほど、プライムを魅力的にすることです。まだまだ改善の余地はあり、道のりは長いと感じています。

    ——もうすぐプライムデーがやってきますが、昨年はカルビーの「フルグラノーラ」がAmazonデバイス以外で1番の売れ行きを記録。食料品が1位だったのはプライムデーを開催した10カ国中日本だけだったそうですね。

    その通りです。

    今年は新たに中国、インド、メキシコが加わり、世界13カ国でプライムデーが展開されます。まさにグローバルな祭典ですが、どの国にも共通しているのは、顧客は「お得な取引」を探しているということ。メーカーと協力して、いいレビューが付いている、いい商品を、いい価格で提供することができたため、喜ばれたのだと思います。

    食料品が1位をとった背景に日本のマーケットの特徴があるかはわかりませんが、今年4月に食料品宅配サービス「Amazonフレッシュ」を首都圏で始め、すでに高い評価を得ています。

    ——アメリカの本家アマゾンも自然食品スーパーの「ホールフーズ」買収を発表しました。「腐るモノ」である食料品はアマゾンにとって注力分野なのでしょうか?

    「Amazonフレッシュ」は10年前にアメリカで始まり、さまざまな都市に拡大を続けてきました。長期的に力を入れてきたプログラムと言えるでしょう。

    日本ではまだ始まったばかりですが、すでに2回もサービス提供エリアを拡大し、東京18区と千葉や神奈川の数都市まで広がりました。品揃えも充実してきています。

    ただ、首都圏以外でのサービス展開については、まずは今あるサービスの質を高く保てているかを確かめてから、と考えています。

    品揃えを充実させた上で、いかに配達サービスを維持していくのか——。アマゾンのサービス全体について言えることですが、賞味期限のある食料品を扱う「Amazonフレッシュ」では特にこのバランスが課題になってくると思います。

    ——消費者の利便性が上がるのと引き換えに、運送業界への負担が大きくなっているとの懸念もあります。アマゾンの掲げる「顧客第一」とどうバランスをとっていくのでしょうか?

    私たちが目指すのはすべての顧客のニーズに答えること。そして、顧客満足度を上げるためには、三つのストラテジーがあると考えています。

    一つは、探しているものが何でも見つかる「品揃え」。二つ目は「低価格」。そして三つ目は「利便性」です。この三つが揃うことが重要だと考えています。

    特に利便性の分野では、お客様にとってベストな運送サービスを提供するために、最新のテクノロジーを取り入れ、効率化を進め、多様な運送パートナーと連携しています。

    顧客にはショッピングの舞台裏で何が起きているか心配しないで欲しいんです。それは私たちの責任ですから。

    知ってほしいのはどんなお得な商品があるか。そして、それがどれだけ早く届くか。それ以外のことは私たちがやっておきますから。