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休日に「緊急避妊薬はありますか?」 と問い合わせ。薬剤師が語った現場での葛藤

緊急避妊薬(アフターピル)の薬局販売に向けた議論が厚生労働省で再開するなか、衆議院議員会館で院内勉強会が開かれた。

避妊の失敗や性暴力被害を受けた際に、望まない妊娠を防ぐために使われる「緊急避妊薬(アフターピル)」。

薬局での販売に向けた議論が厚生労働省で再開するなか、衆議院議員会館で6月14日、院内勉強会が開かれた。

国会議員や厚労省、内閣府男女共同参画局の担当者らが参加し、検討会の方針や今後の課題が共有された。

薬局販売に向けた検討が再開

Saori Ibuki / BuzzFeed

※写真内の署名賛同者数は、署名を提出した2020年10月27日時点

緊急避妊薬は、妊娠の可能性がある行為から72時間以内に服用することで、高い確率で妊娠を避けることができる薬。性行為後、早く飲むほど妊娠を防ぐ確率は高くなる。

WHOの必須医薬品に指定されており、世界約90カ国では、処方箋なしで薬局で購入することができる。

日本でも、必要としている人がいつでも確実に入手できる環境を整備する必要があるとして、医師の診察なしで、薬局で薬剤師を通じての販売を認めるよう求める声が高まっている。

5月28日には、性教育に取り組むNPOや産婦人科医などでつくる「緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」が厚労省に要望を提出し、薬局販売に向けた議論が再開。

6月7日に開かれた同省の検討会では、今後の議論の進め方が確認され、検討すべき論点を整理するために、今年度中に海外の状況を調査する方針が示された。

諸外国の販売状況や社会的背景を調査

Saori Ibuki / BuzzFeed

(左から)緊急避妊薬の薬局でプロジェクト共同代表の染矢明日香さん(NPO法人ピルコン理事長)と、同じく共同代表で産婦人科医の遠見才希子さん

14日の勉強会に出席した厚労省・医薬品審査管理課の担当者によると、具体的な調査項目として、薬局での販売が実施されているか、価格、購入した際にその場で服用させる「対面服用」は要件となっているか、男性への販売やネット販売の可否などが挙がっている。

未成年への販売や性暴力被害が疑われる場合の対応のほか、販売時のプライバシーへの配慮、販売・服用後にフォローアップする仕組みを設けているかなども調査する。

他にも、社会的な背景として、性行為や避妊方法などに関する性教育はいつ・どのような形で実施されているか、宗教などの文化的な面についても調べるという。

第8回院内勉強会『緊急避妊薬スイッチOTC化実現に向けて~現場の声から考える緊急避妊薬へのアクセス~』 まもなく14:00から始まります! ご視聴よろしくお願い申し上げます。 https://t.co/fR11c4XkJa

Twitter: @kinkyuhinin

過去の検討会では、「妊娠中に服用すると、胎内の男児が女性化するリスクがある」などとする科学的根拠が乏しい意見や、「うちの妻は薬剤師ですが、ピルの話になると全くチンプンカンプン」などとの個人的な感想によって、一部の議論が進められたとの批判も上がっている。

厚労省の担当者は「海外と日本で何が違うのか、何が違うから(緊急避妊薬の)取り扱いが違うのかといった点も詳しく調べた上で、幅広い情報をもとに議論していただくのがあるべき姿」だと言い、「厚労省の責任でどういう点を議論しないといけないのか整理して、フラットに議論してもらいたい」と語った。

また、緊急避妊薬をめぐっては、WHOが2018年に「意図しない妊娠のリスクを抱えたすべての女性および少女には、緊急避妊にアクセスする権利がある」という勧告を発表。

2020年4月には、新型コロナウイルスの影響で望まない妊娠を経験する女性が増加することを懸念し、緊急避妊へのアクセスを確保するために、薬局やオンラインでの販売も含めて、対策を検討すべきだとする提言を出している。

担当者はWHOのこうした声明も「当然、重要な要素の一つだと考えている」と述べた。

望まない妊娠を防ぐことのできる社会を

BuzzFeed

緊急避妊薬「ノルレボ錠」

日本では2019年に緊急避妊薬のオンライン診療が解禁され、対応できる薬剤師を増やすための研修が全国で進んでいる。勉強会では、こうした薬剤師の現場からの声も紹介された。

東京都荒川区内のOGP薬局に勤務する鈴木怜那さんは昨年、休日の午前10時ごろに薬局に「緊急避妊薬はありますか?」と問い合わせがあり、対応した経験を紹介。

休日のため、処方してくれる病院を探すのに苦労したものの、オンライン診療をしてくれる医師と繋ぐことで、およそ3時間で、薬局にて緊急避妊薬を渡すことができたという。

鈴木さんはこの時の対応は「現場では最善の方法だったと思う」と言いつつも、「処方元の先生がなかなか見つからなかった時は、不安で悲しい気持ちになりましたが、一番不安だったのは患者さんだと思います」と語った。

「休日や祝日の緊急避妊薬のハードルは高く、先生に処方してもらえない限り、私たちはお薬を渡すことができません」

「土日や祝日の緊急避妊薬へのアクセス改善を考える必要があります。望まない妊娠を防ぐことができる社会の実現をこころより望んでいます」

(サムネイル:Getty Images)

【訂正】当初、記事内で「休日の午後10時ごろ」と表記していましたが、正しくは「午前10時ごろ」でした。訂正いたします。

Contact Saori Ibuki at saori.ibuki@buzzfeed.com.

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