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総務省が「18歳選挙権」特設サイトを閉鎖 「もったいない」と批判の声も

「サイト、消さんでもよくないですか?」

「18歳選挙権」が施行されて、もうすぐ1年。今年7月には18、19歳が投票できる初めての東京都議会選が控えている。

だが、総務省が立ち上げた「18歳選挙権特設サイト」は昨年の参議院選挙直後に閉鎖され、サイトの一部に使われていたドメイン「18senkyo.jp」も解約されていたことがわかった。

なぜ、サイトは閉鎖されたのだろうか。

「私たちの声を、私たちの将来に。」

特設サイトが開設されたのは、18歳選挙権が施行される約7ヶ月前の2015年11月。

イメージキャラクターには、女優の広瀬すずさんを起用し、選挙権年齢が引き下げられた経緯の解説や全国で開催されたシンポジウムやワークショップの日程などを掲載。「私たちの声を、私たちの将来に。」というメッセージとともに、10代に投票を呼びかけた。

参院選投開票日の翌日に閉鎖

だが、総務省によると、特設サイトは広瀬すずさんとの契約期限の関係で、初めて18歳選挙権が適用された昨年7月の参院選投開票日の翌日に閉鎖された。

サイトの一部に使われていた「18senkyo.jp」のドメインも同時期に解約されたとみられる。

総務省の担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、「総務省としては、2015年から2016年にかけて全都道府県でイベントを開催し、特設サイトを開設したり、全国の自治体にチラシを配布したりするなどの周知活動を実施した。こういった活動は集中的に行うことが大事だと考えているので、取り組みとしてはしっかりさせていただいたと認識している」と説明した。

また、総務省が18歳選挙権の周知活動にかけた費用は、2億円以上にのぼるという。

総務省では現状、18歳選挙権に特化した広報企画は予定されておらず、今後は「有識者会議で主権者教育の方針をまとめ、若い世代の政治参加を促進する取り組みを応援していきたい」としている。

解約されたドメインはいま

実は、総務省が手放した「18senkyo.jp」のドメインはすでに別の人物に取得されている。和歌山大学観光学部4年の小幡和輝さん(22)だ。

「『18senkyo.jp』って、18歳選挙権をテーマにするなら、これ以上のドメインはないじゃないですか。もったいないなと思って」と小幡さんは言う。

小幡さんは学生団体「和歌山活性化プロジェクトWAKA」の代表を務め、総務省が和歌山で開催した18歳選挙権イベントの運営を委託されていた。

「そもそも、サイト、消さんでもよくないですか。あんだけお金をかけて色んなところにリンク貼って広報したのに、その労力を一瞬で手放すっていうのが理解できなくて。正直、悲しかったです」

若者の政治参加に必要なことは

一方、昨年の参院選における10代の投票率は46.78%を記録。20〜30代の投票率を上回る数字だった。

昨年の参院選で10代の投票率が高かったことについて、小幡さんは「テレビや新聞で連日『18歳選挙権』が話題になっていたことや、総務省のイベントなどを通じて10代が主権者教育を受けたことがプラスに働いたのではないか」と考える。

「でも、最初の1回が高かったからといって、次も高いとは限らない。だから、18歳選挙権の啓発活動も当たり前のように継続してやらないと意味がないと思います」

ドメインを取得したのも、継続的な啓発活動が必要だという思いからだ。

「今の若い世代って選挙に行かない方が当たり前じゃないですか。選挙に行く人がマイノリティなんですよね。そこが逆転すれば、かなり価値観が変わるんじゃないかと」

「(ドメインの活用方法は)まったく未定ですが、協力したいという連絡がちょこちょこ来ているので、10代に18歳選挙権をアピールする活動に役立てていきたいと考えています」