警察に袋を被せられ、地面に押さえつけられた黒人男性が窒息死。事件の動画が公開される

    米ニューヨーク州ロチェスターで3月、警官に押さえつけられた黒人男性のダニエル・プルードさんが窒息死した。プルードさんの家族は9月2日に、動画と記録を公開した。

    今年3月、米ニューヨーク州ロチェスターで、路上で裸の状態で手錠をかけられ拘束された黒人男性のダニエル・プルードさん(41)が、警官に頭に袋を被せられ、顔を2分間地面に押し付けられた後に窒息死した。

    プルードさんの家族は9月2日に、動画と記録を公開した。

    プルードさんは病院に搬送されたが、その7日後の3月30日に死亡した。ミネアポリスの警察官に首を締められ殺害されたジョージ・フロイドさんの死の2ヵ月前に、この事件は起こっていた。

    Rochester Police via Roth and Roth LLP via AP

    ニューヨーク自由人権協会のジェネシー・バレー地域支部ディレクター、イマン・アビッド氏は、声明を発表した。

    「ロチェスター警察の手によって殺害されたダニエル・プルードさんの死はあまりにも悲惨で、容認できるものではありません」

    「プルードさんは生きているべきでした。死に至らしめるほどの力で、警官が(プルードさんの)健康に危害を加えたのは、記録を見ても明らかです」

    当時、プルードさんの死はメディアではほとんど注目されなかった。しかし、2日に動画が公開されたことにより、警察が無力の黒人男性を殺害したとして、ロチェスターのデモは再び活発となった。

    警察本部の建物の外に集まったデモ隊は、こう唱えていた。

    「彼は雪の中で死んだ。私たちは雨の中でも抵抗する」

    プルードさんの死を受け、ニューヨーク州司法長官事務所は調査に乗り出した。ニューヨーク自由人権協会もまた、地元の地方検事に調査を依頼した。

    ニューヨーク・タイムズによると、当時プルードさんは精神的な健康上の問題を抱えており、事件の数日前までは病院に通っていた。

    事件当日の3月23日、兄弟のジョーさんの家に来ていたプルードさんが取り乱したため、ジョーさんは警察に通報した。

    プルードさんは家を飛び出した後、裸で路上に立ち、自身は新型コロナウイルスに感染していると叫んでいたという。

    動画では、裸のプルードさんに対して、警官はテーザー銃を持ちながら、地面に伏すように命令している。

    映像の最初の方でプルードさんは、「はい」と言いながら警官の命令に従っている様子が映っている。

    雪が降る中、プルードさんは両手を後ろで縛られたまま地面にうつ伏せになり、声をあげて取り乱し始める。

    注意:映像には過激な場面が含まれます。

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    youtube.com

    警察に「地面に伏せろ。動くな」と言われ、「はい」と返事をして警察の指示に従うプルードさん。

    その後は約2分にわたり、頭に袋を被せられた状態でうつ伏せにされ、地面に押さえつけられている。

    その後、警官の1人がプルードさんの頭に袋を被せる。プルードさんは袋を取るよう、警察に頼んでいる。

    当時のニューヨーク州では新型コロナウイルスが流行っており、警官はプルードさんが彼らに向かって唾をはくのを防止するため、袋をかぶせたという。

    もう1人の警官はプルードさんの頭を地面に押し付け、両手で頭を押さえ、「唾を吐くのはやめろ」と言っている。

    プルードさんが嘔吐し始めると、警官が「お前、吐いているのか?」と尋ねているのが確認できる。

    後に救急隊員が呼ばれ、近くの病院に運ばれるまでの間、プルードさんには心配蘇生が行われた。病院では約1週間ほど、生命維持装置につながれていたという。

    アビッド氏は今回の事件に対し、このように話していた。

    「プルードさんは、専門家たちによるケアを必要としていた時に、無慈悲に殺されました」

    「尊厳を認められるべきところで、彼は人々から嘲笑され、残酷な扱いを受けました。私たちが知っている警察は、黒人全体の安全に対して責任を負っていないだけでなく、元来求められている『個々の住民が瀕する危機への対処』にさえも、取り組んでいません」

    ロチェスター警察署長のラロン・シングルタリー氏は今回の事件に関し、事件当初から事態を深刻に受け止め、事件の翌朝から捜査と内部調査を行うよう命じていたと記者会見で述べた。

    事件に関連して停職処分を受けた警官はいないという。

    事件の捜査を引き継いだニューヨーク州司法長官のレティシア・ジェームズ氏は、声明を発表しこのように述べた。

    「ダニエル・プルードさんの死は悲劇でした」

    「私たちは、すべてのコミュニティにとって価値のある透明性と説明責任をもたらすために、全力を注ぎます」

    プルードさんの家族は市と警察に対し、怒りと不満をあらわにしている。

    事件から5ヵ月以上経ったにもかかわらず、家族らが公文書請求を行うまで、市や警察は事件に関する情報を公開していなかった。

    ジョーさんは記者会見でこのようにコメントした。

    「このアメリカ社会で、一体何が私を他の人より劣らせるというのでしょう」

    「私たちはみな人間です。しかし警察はプルードを動物のように扱いました」

    「こんなことはもう止めるべきだと社会全体が理解するのに、一体あと何人の仲間たちが死ななければいけないのでしょうか」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:吉谷麟