バイデン大統領も涙。黒人女性としてアメリカ史上初の最高裁判事、ホワイトハウスで演説

    「私はひとりではありません。 私は、このような機会に恵まれなかった何世代ものアメリカ人たちの肩の上に立っています」

    アメリカ連邦上院は4月7日、ジョー・バイデン大統領が最高裁判事に指名していたケタンジ・ブラウン・ジャクソン氏を、賛成多数(53対47)で承認した。

    史上初めて、黒人女性の連邦最高裁判事が誕生する。

    米連邦最高裁判事は大統領が選び、議会の承認を得て任命される。任期は終身だ。

    大統領がどんな人を判事に選ぶかがその後の司法判断に影響を与えるため、任命は常に大きな政治問題だ。今は保守派の判事が多数を占めている。

    バイデン大統領の政策目標のひとつが、黒人女性を最高裁判事に任命することだった。

    ジャクソン氏は、黒人としては史上3人目、女性としては史上6人目の最高裁判事となる

    採決前、ジャクソン氏の承認公聴会が4日間にわたって開かれていた。

    共和党議員たちから投げられる厳しい質問の中には、ジャクソン氏を個人的に攻撃するような人種差別的な内容のものもあった。

    バイデン大統領はこれを「言葉の暴力」と非難しつつ、ジャクソン氏の公聴会での冷静さを評価し、「深い法律の知識を持った素晴らしい法律家」だと賞賛している。

    ジャクソン氏は8日、ホワイトハウスで演説を行った。

    演説でジャクソン氏は時折涙をぬぐいながら、親族やバイデン大統領、手紙や絵を送って応援してくれた子どもたちなど支援者に感謝の意を表した。

    そして最高裁判事に任命されたことは、自分の努力だけでなく、家族や祖先が耐えてきた犠牲と苦労の結果だと語った。

    「私は独りではありません」

    「 私は、このような機会に恵まれなかった何世代ものアメリカ人たちの肩の上に立っています」

    「その人々は私のお手本です。毎日起きて、アメリカの約束を信じて仕事に行く。彼らの固い意志と不屈の努力が、この偉大な国では善いことが成されるのだと、人々に示したのです」

    「黒人女性が最高裁判事に選ばれるまで、232年の歳月と115人の先任者を要しましたが、私たちは成し遂げました。私たち皆で成し遂げたのです」

    演説中、バイデン大統領とハリス副大統領も涙を見せた。

    ジャクソン氏は、両親が人種隔離の犠牲者であったことに触れ、演説を続けた。

    「両親は、黒人と白人の生徒が分けられた学校に通いながらも、家系では初めて大学まで進学しました」

    「私の家族はわずか1世代で、人種隔離から最高裁判所までたどりつきました」

    歩んできた道は「自分にとって明確なものだった」と語るジャクソン氏。

    その理由として、キング牧師、初の黒人最高裁判事となったサーグット・マーシャル氏、連邦裁判所で初めて黒人女性として判事を務めたコンスタンス・ベイカー・モトリー氏に言及し、「道を照らしてくれた歴代のリーダーたちに、いつも勇気づけられている」と語った。

    「今回の歴史的な指名と任命までの道のりは、彼らが開拓してくれたのです」

    「私は、すべての人のための自由と正義の夢を受け継ぐ、とてもラッキーな人間です」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:髙橋李佳子