ネット炎上に加担するのは「若い高収入の子持ち男」?!

    話題の計量経済学者が語ったこと

    「若い」「高収入」の「子持ち」「男」ほどインターネットの炎上に加担しやすいという研究結果が注目を集めている。しかも、「現役」参加者はネットユーザーの0.5%に過ぎないという。どういうことか?

    Saki Mizoroki / BuzzFeed

    5月9日に都内の講演会で、計量経済学者の田中辰雄さんと山口真一さんが著書「ネット炎上の研究」を紹介した。

    たったの0.5%

    研究ではアンケートから、炎上事象に書き込んだことがある人はネットユーザーの1.5%程度にとどまると推計。さらに過去1年以内に書き込んだ「現役」に限ると0.5%にすぎなかった。

    しかも、大半は「ひどいな」「まずいな」などつぶやくだけ。「当事者を直接攻撃してアカウント閉鎖などに追い込む人は数人から数十人」ぐらいと分析する。

    「炎上事件が起こると当事者は世界中から攻撃されているように見えるが、実際攻撃しているのはごくわずか」

    Saki Mizoroki / BuzzFeed

    山口真一さん

    「若い」「高収入」の「子持ち」「男」が炎上に参加

    どんな人が炎上に加担するのか。ここからが計量経済学の本領発揮だ。

    アンケート調査をロジスティック回帰分析にかけて、統計的に有意な「特徴」を割り出した。

    結果は「男性」「若い」「子持ち」「年収が高い」

    こうした人たちは、強い政治信条を持ち、「気に入らない発言をする者は自分より劣る」と感じて批判すると考えられるという。

    心理的な属性もわかった。「ネット上で嫌な思いをしたことがある」人の方が炎上に参加しやすく、誹謗中傷の負の連鎖が浮き彫りになった。

    この人たちは「インターネット上で非難しあって良い」と思っており、諌める効果は薄いとみられる。

    一方、統計的に有意でなかったのは、結婚の有無、単身かどうか、学歴、ネット利用時間。

    そのため、「独身で知的水準の低いインターネットヘビーユーザー」という炎上参加者のイメージははずれと結論づけている。

    Saki Mizoroki / BuzzFeed

    田中辰雄さん

    具体像は?

    具体的にはどんな人たちか。炎上攻撃者の数が少ないので、ここからは既存の資料から探った。

    例えば、異常な正義感から会社を倒産させて、携帯電話の転売で暮らす大学院卒の男性。有名人をたたくことを楽しみにネットを徘徊する私立大学生。

    「攻撃者のプロフィールを事例で見るとかなり特異で、コミュニケーション能力に難がある人たちと思われる」。こうした特異な少数ユーザーがネットで偏った意見を撒き散らしていた。

    ネットリンチの負の効果

    筆者らは、炎上にはプラスの面もあるという。被害者が泣き寝入りを強いられるような悪質な行為や迷惑行為が是正されることもあるからだ。

    グルーポンで販売されたおせちがサンプル写真と違ったケースは大炎上し、神奈川県や国が検査に入った。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでの迷惑行為を投稿して自慢した男子大学生3人は威力業務妨害などの罪で略式起訴された。

    ただ、炎上の負の側面も無視できない。筆者らが懸念するのは、炎上による「情報発信の萎縮」。炎上を繰り返して目撃することで、人々がネットでの情報発信を控えるようになる。

    ネットには「炎上に耐えられる猛者だけ」が残る結果、「ネット上に表明されるのは極端な意見」に。これではインターネットは自由な意見交換の場でなくなってしまう。

    エルテス / BuzzFeed / Via eltes.co.jp

    エルテス社調べ

    山口さんは講演で、欧米と違って日本では「付和雷同ではないが、誰かをみんなで批判、追随して批判する現象が起こりやすい文化なのかもしれない」と話した。

    最近では、4月に九州を襲った地震では、笑顔の写真をInstagramに投稿した芸能人は「不謹慎」だと非難され、寄付をブログに投稿した芸能人が「好感度を上げたいだけ」と批判された。

    炎上と闘う流れも

    ただ、悲観ばかりではない。東日本大震災直後にあった「不謹慎狩り」と違って、こうした批判が的外れだという再批判する意見も散見されたのは、これまでと違う流れだという。

    5月10日の講演で田中さんは「炎上に対して闘うこともいいんだという気持ちが出てきた。変化がみられる」と話した。

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    バズフィード・ジャパン アダプテーション・リポーター

    Contact Saki Mizoroki at saki.mizoroki@buzzfeed.com.

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