【全文】違いクッキリ トランプ氏とオバマ大統領が真珠湾記念日に声明

    多様性や同盟を尊重するオバマ。「勝利に代わるものはない」とトランプ

    日本軍が真珠湾を攻撃して75年となる12月7日(現地時間)。オバマ大統領とトランプ次期大統領はそれぞれ声明を出した。「勝利に代わるものはない」と強調するトランプ氏と、同盟を尊ぶオバマ大統領の違いが鮮明となった。

    オバマ大統領の声明はいつものように詩的な書き出し。歴史を振り返る。

    「75年前の今日、突然で一方的な攻撃によって、静かな湾は炎の海と化した。真珠湾への攻撃で、2400人を超えるアメリカの愛国者が命を失った。軍人、市民、男性たち、女性たち、そして子どもたちだ」

    「彼らの犠牲は、数百万の米軍兵士や銃後の女性たちを奮い立たせた。最大の危機が迫るなか、自由を守るための呼びかけに応じた」

    「攻撃から数時間のうちにルーズベルト大統領は約束した。『アメリカ国民は正義の力をもって、完全に勝利するだろう』。その世代の勇敢な行動によって、私たちは勝った」

    そして犠牲者を追悼し、先の世代に感謝を捧げた。

    「今日、ミシェルと私は、アメリカ国民とともに、真珠湾で犠牲となった人たちを憶える。その多くは少年といっていいほど若かった。そして、その家族を敬う。胸にいまも愛した者の記憶を刻む配偶者や兄弟、息子、娘たちだ」

    「退役軍人や真珠湾を生き延びた人たちに感謝の意を捧げる。恐怖を直視し、恐れをなすことなく屈辱に立ち向かい、ファシズムから捕らわれた人々を救った。その行動はいまも私たちを鼓舞する」

    「戦争の恐怖から、この偉大な世代の人々は永続的な国際秩序を築き、中間層の背骨となり、アメリカを繁栄に導いた」

    ここでオバマ氏の信念が色濃くにじむ言葉を書いた。

    「彼らの勇気と決意は、根本的なアメリカの真実を示す。多様性のなかでも私たちは一つであり、そして、ともに立ち上がれば、どんな偉業も達成できる、ということだ」

    この「多様性のなかでも私たちは一つ(out of many we are one)」はオバマ大統領がよく使う語録の一つ。ラテン語「エ・プルリブス・ウヌム」が語源で、複数の州が集まってできたアメリカ合衆国を表す。近年は、人種や宗教、性的指向などが多様な人が集まってアメリカを形成していることも指すようになった。

    「この全米真珠湾記念日に、我が国を防衛し、強固なものにする作業は続くことも再確認する。私たちのために奉仕してくれた人たちへの報恩の念は、返しきることができない深い恩義であるが、アメリカの戦争から帰還した全ての世代の軍人たちを大切に思い、支援する責任を果たすことはできる」

    12月27日に予定される安倍晋三首相との真珠湾訪問にも触れた。

    「最も冷酷な敵さえも、最も近い同盟国となりうる証として、今月下旬に安倍晋三首相とアリゾナ記念館を訪れることを楽しみにしている」

    「この歴史的な訪問は、和解の力の証となるだろう。75年前には想像もつかなかった同盟によって結ばれたアメリカと日本がより平和で安全な世界に向けて手を携えて働くことの証となるだろう」

    トランプ次期大統領は

    Facebookに声明を書き込んだトランプ氏。オバマ氏と同様に75年前を振り返る。

    「75年前に真珠湾で私心なく命を捧げた2403人のアメリカの英雄を憶え、今日、黙祷を捧げる。1178人の負傷したアメリカ人、混乱のさなかに自らの持ち場に駆けつけ、本能的に責務を果たした数え切れない人たちも称える」

    「彼らが負った犠牲によって、私たちが享受する自由を守るために先の世代が払った偉大な代償を憶え、今日私たちの前に立ちはだかる新たな困難に対処すべく立ち上がるよう鼓舞される」

    トランプ氏が強調したのは、勝利することの重要性だった。

    「過去75年でアメリカの敵は変遷してきた。だが真実は変わらない。最初に全米真珠湾記念日が宣言されたときにレーガン大統領が述べたように、平和を追求するうえで『勝利に代わるものはない』」

    「今日、私たちは勇敢なアメリカ人たちから渡された自由の灯火を運ぶものとなる」

    「彼らの忠誠心を称え、そして次世代のために、私たちは決してその炎を絶やしてはならない」

    日米同盟には一切触れなかった。