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ジャパネットの高田さんが指南する「伝え方」 伝統芸能と共通するポイントとは

「自信を持ってね」

「全部まとめて2万9800円!」 あの甲高い声がテレビから消えて3ヶ月近くがたち、どこか寂しい。なぜ、ジャパネットたかたを創業した高田明さんの声は、私たちの心を鷲掴みにしたのか。社長を退任した高田さんが、その秘訣を語ってくれた。テレビとは違う、低く落ち着いた声で。

高田さんの人生は、最初から順風満帆だったわけではない。1948年長崎県平戸市のカメラ店に生まれる。大阪経済大を卒業後、機械メーカーを経て、翻訳会社を起こすもうまくいかず帰郷。家業を手伝った。

37歳で独立して「株式会社たかた」を設立。これがジャパネットの前身だ。

カメラ店から業態を広げ、ラジオショッピング、テレビショッピングへ。一度聞いたら忘れない甲高い肥前訛りが消費者の心をつかんだ。

インタビューに答える声は低く、落ち着いていた。あの驚きのテンションと名調子は、商売を支える武器。努力の賜物だった。

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ならば、我々もそこから学び、真似することもできるはず。高田さんが教えてくれた「喋りの秘訣」を8つにまとめた。

1. かっこつけず、素のままの言葉で伝える

「うまくしゃべろうとしたらダメなんですよ。僕も九州のなまりがあるんだけども、もう変えようがないしね」

2. 相手を信じ、相手とつながる

「恋愛みたいなものじゃないですかね。自分の気持ちをストレートに伝えた方が、自分の思いって伝わるんじゃないですか。67歳になってこんなこと言っちゃダメですけど」

3. 熱い気持ちは相手に伝わる

「就職活動の面談は、自分の本当の思いを熱く語れば、9割通りますよ。僕はそう思います。熱い人の気持ちって伝わるからね」

4. 誰にでもできる

「できるって自分を信じなかったら、誰が自分を変えるか。自分しかないんです。だから、自信を持ってね。いまから始めなさい」

5. 間(ま)を置く

「2万9800円ですよ!」と強い声で言って、ちょっと間を置く。柔らかい声に変えて「お安いでしょう?」

6. 高低と強弱

「僕は、だんだんクライマックスに来て、『これは今伝えなきゃいけない!』っていう瞬間が『うぉっ』とこうでる。『2万9800円!』『金利負担です!』」

7. 繰り返し

「キング牧師の演説"I have a dream"って何回もリピートするんですよ。大統領とか国会の演説もそうなんですね」

8. 口だけじゃない

「わたしは話すときに目を見るでしょ。目は口ほどにものをいうという。スマートフォンを手に持って、振りながら『ねえ、軽いですよね』と言う。すると指が話しますよね」

これらの要点を全て押さえていくと、あの驚きのテンションが生まれるという。

伝えることは全身全霊。自分のすべてのエネルギーを出して、伝えていく。だから、自然にね、テンションがあがるようになったんですね」

伝える技術を追求してきた高田さんは、世阿弥の本に感銘を受けたと話す。室町時代、父親の観阿弥とともに能を大成した人として知られる。

——愛読書に世阿弥の「風姿花伝」「花鏡」を挙げていらっしゃいます。

世阿弥の本は、人生をいかに生きるか、ビジネスはどうあるべきかという哲学書みたいなものなんですよ。

自分から伝えるものは、能で「我見(がけん)」と書かれています。自分が見ている目です。僕らはものを販売する側。一方的に「安いでしょう」「ものがいいでしょう」っていったら、人は買わずに、逃げていっちゃうんですね。

——では、どうすればいいのでしょうか?

相手の立場に自分の心を置いて言葉を発する視点が必要です。見られている目「離見(りけん)」といいます。見られている目を大事にしないと、本当にいい意味で伝わらないんですね。

伝えるときは、相手がいます。ビジネスは消費者。お医者さんは患者さん。学校の先生は生徒さん。政治家は有権者ですね。相手が何を求めているかを感じる目が「離見」です

三つの目は、(自分を俯瞰的に見る)「離見の見(りけんのけん)」じゃないかと思っている。この三つでコミュニケーションはとれると思うんですよね。

——自分の目、相手の目、全体をみる目の三つですね。

親子。夫婦。上司と部下。地球上の戦争。常に「対局」があるでしょう。伝え手は、つねに相手の立場で、相手を理解しながら、自分の意見を主張する。うまくいけば戦争なんてなくなるんじゃないか。

長崎は原爆も投下されましたし、平和な世界になればいいのにねって思う。これだけで解決できるわけじゃないんだけれども、そういう心を持つことが、生き方で大事なんじゃないかなって。ショッピングから、世界を語るのはおかしいんですけど。

——能の世界の「序破急」という言葉もよく参照されていますね。

とは導入部分。破がどうそれを展開するかで、結論なんです。

つかみの部分が序。例えばこれを紹介します。(お茶が入ったグラスを手にとって)「さあ今日はコップをご紹介しましょう。これはね、あるところで、一か所でしかつくられてないコップなんです。作るところは日本、世界中どこもありません」

次に、これがです。「さあじゃあ、どのように作られると思いますか」と、手順を1、2、3ぐらいにわけて、順番に伝えていく。

「じゃあ、これおいくらかお値段いきましょう」っていうのがになるんですよね。人間は頭の中で整理して、聞けるじゃないですか。

——序破急と分けると聞きやすいんですね。

きちっと整理して、序破急。わかりやすくいったら起承転結ですね。

でも、起→承→転→結の順番でやらなくていいんです。結が最初にきてもいいんです。「さあ、今日この商品は、本当に半額で出しますよ」って結論=値段を先に言ったら、になる。僕流でいけばね。

枠のなかで、起承転結のすべてをわかりやすく伝えることが大事です。

——1月、ショッピング番組を降りられました。いまは何をされているのですか?

ビッグ・カンパニーをつくりましたよ。「A and Live」。なんと社員が3人です。Aは明(あきら)のA。「明はまだ生きてるよ」と。

本当は「生き生きした世の中を」という立派な目的があってつけられた名前なんですけども。

たくさんの方に支えられて、いまのジャパネットがある。なので、伝えることの大事さを語っていけたらなと思っているんですね。政治、教育、医療、世界平和、全てに関係していると思うんです。

——例えば、どんなことをされているのですか?

「おさんぽジャパネット」という番組をやっているんです。

地方を歩いて、人に出会って、会話を重ねて、飛び込みでお店に入ってみる。地方の眠っている商品を発掘し、番組最後の10分だけ商品を紹介する。あとは全部、お散歩なんです。

青森県弘前市に行きました。農家の方からりんごがどう育つか話を伺った。気仙沼ではサンマを販売したんですよ。

福井はメガネの産地・鯖江にいって、製造工程まで入ってメガネを紹介する。どれだけの人がかかわって、どんな思いでつくっているかを自分が感じてね。

——地方には埋もれている良品がたくさんあります

商品はいくら立派なものがあっても、伝えられなかったら、何にもないのと同じ。地方創生なんて、まさしくそうなんです。

お魚、お野菜、なんでも背景があるんですよね。農家の方がどれだけ寒い中、野菜、果物をつくっているか。そういう背景が伝わって、初めて商品の価値はわかる。まさしく地方創生なんだって思うんです。

今度どこか行こうと思っているんですけどね。海外編もやりたいです。

ちなみに、ジャパネットの本社はイカが美味しいから長崎県佐世保市です。昨日もイカ食べたんですが、やっぱり、イカがね、美味しいですよね。東京は普通で食べたらイカは濁って白いでしょ。向こう透明ですからね。透き通ってますものね。



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