「正直、困惑しています」けものフレンズ、プロデューサーが心境を語る

    「原作って、やっぱり動物なんですよね」

    ニコニコ動画で第1話が200万回再生を超え、Twitterなどではその“ゆるさ”に「知能が下がる」とも言われるアニメ「けものフレンズ」。

    「すごーい!」「たっのしー!」といったフレーズも話題を呼び、注目を集めている。

    この反響を制作側は、どう受け止めているのか? BuzzFeed Newsは、けものフレンズ・プロデューサーの福原慶匡さんに人気の理由などを聞いた。

    ©けものフレンズプロジェクト/KFPA

    メインキャラクターの「サーバル」。かわいー!

    ーーけものフレンズはどういった経緯で生まれた作品なのでしょうか?

    けものフレンズプロジェクト全体のコンセプトデザインは、漫画家の吉崎観音先生が担当しています。先生が世界観の設定やキャラクターデザイン(原案)を考案して、それをもとに「コミック・ゲーム・アニメ」という3つの軸を同時進行させる、というのがプロジェクトの概要でした。

    制作の関係上、アニメが最後になったのですが、各メディアに即した露出の仕方を考えていました。

    具体的にはコミックだとスタイルのいいサーバルが出てきたり、ゲームだと2〜3頭身のキャラクターだったり、アニメだとその中間の頭身だったりというように。各メディアに合わせて表現を変えていました。

    ーー初めからアニメ化が決まっていたんですね。

    そうですね。漫画、ゲーム、アニメという各方面のメディアをミックスすることが前提でした。

    ©けものフレンズプロジェクト/KFPA

    こちらは「かばん」。大きなかばんを持っていることから、サーバルに名付けられた。

    ーー反響についてどのように受け止めていらっしゃいますか?

    想像を上回る反響をいただいて、正直、困惑しています。

    ただ、(ストーリーについて)何も考えていなかった、というわけではく、監督のたつきと吉崎先生が企画の段階で、ストーリーの根幹は作り上げていました。

    各方面のユーザーさんがストーリーを掘り下げていると思うんですけど、それに関してはこんなに気がつくんだ、という印象です。コツコツと布石を置いたつもりではあったんですけど、想像以上にユーザーの方がそれを拾ってくれているな、と。

    ぼくらは「十中八九見つからないだろうな」と思いながら仕掛けを作っていたのですが、ユーザーさんの勘が良すぎて「見つかってしまうとは…!」という感想です。

    たまに深読みしすぎてるなぁと感じることもありますが、それも含めて動向を見守っているのがおもしろいです。「こんな風に考えてるんだ」っていう発見はあるので、とても勉強になります。

    また、制作側が答えを出してしまうとつまらなくなってしまいますから。

    ーーTwitterで「IQが溶ける」「知能が下がる」と話題ですが…

    こういう場を設けていただくこと自体がありがたいことではあるんですけど、インタビューとかTwitterを見ていない人とかにとって、(本放送以外の)知らない情報で勝負するのは本当のモノづくりじゃないと思うんです。

    ぼくらはあくまで本放送で戦っているので、それを見た人がなにをどう思おうがそれは視聴者さんの自由じゃないですか。

    もしぼくが「いやいやその楽しみ方は間違ってるよ」って言ったとして、それってなにか意味を持つのかなあって思います。お客さんが受け取ったものがすべてなので。

    ©けものフレンズプロジェクト/KFPA

    偶然出会った二人(?)。かばんの正体を知るべく旅が始まる。

    ーー人気の理由については、どう考えていますか?

    ネットで「けものフレンズが流行った理由」とまとめられているのを目にするんですけど、自分もそれをみて「なるほどなぁ」と(笑)。

    元々のコンセプトに「大人でも子どもでも、誰が見てもおもしろいものを見てもらえるように」という思いがありました。

    放送時間とかがある程度わかってきた段階で、たつきと話していたのが「深夜の時間帯っていうのは、だいたい見ている層は大人たちが多くて、仕事から疲れて帰ってきてるだろうから癒してあげたいね」ってことだったんですよね。

    動物番組って気楽だったり、頭使わないで見れるものだから、そういう感覚で楽しんでもらえたらいいなと考えていました。そこの癒しの部分がウケたのかなとは思いますけどね。

    たつきの中では、縦軸の「おもしろい」と横軸の「ストーリーの深さ」をミックスするっていう部分ができあがっていたので、そこをわかってもらえたのかなと。

    ーーつまり、たつき監督の影響力が大きかったのでないかと。

    そうですね。もちろんたくさんの方々が関わっているんですけど、監督、演出、コンテだとか脚本の大元を考えるのもたつきが担当していたので、ほとんど全部やっているとも言えますね。

    僕らもCGというかたちでワークフローを組んでいるので、既存のアニメのセクション通りのポストとクレジットが対応してなかったりします。

    例えば、アニメってキャラクター原案があってキャラクターデザインするんです。けれど、CGの場合はキャラクターデザイン、すなわちモデリングなので、手描きアニメのスタッフロールに対応していないとこもあったり。

    書いていないセクションとかもあるんですけど、僕たちのチームはチームワークがすごい良くて、意思の疎通がよくできているんですね。

    深夜アニメってセクションが多く、ボリュームが膨大なので、意思の疎通が完全に取れている状態で制作するって非常に難しいと思うんですね。

    うちはある種、手作りに近いので、目の届くところの範囲で作業している現状から考えると、セクションごとの連携がうまかったんです。たつきがチーム作りを軸にアニメ制作をしてきたっていう背景も影響しているので、それも作品のクオリティを支えている要因かなとも思います。

    ©けものフレンズプロジェクト/KFPA

    ーー約10人と少人数の制作体制ですが、これもチームワークを意識したものでしょうか。

    飲食店に例えてみるとわかりやすいと思うんですが、飲食店って1店舗目は社長が店長をしているケースがありますよね。それで最初の頃のスタッフがどんどん力をつけてきたあとに、店舗を拡張します。

    そうなると、今度は力のあるスタッフが店長になって、新人アルバイトとお店を回さなくちゃいけない。店長になった初期スタッフはオペレーションに回らなくてはいけなくなるので、力を発揮できなくなるんですね。

    僕らのチームの状況っていうのは、1店舗目に力のあるスタッフがちゃんといる状態なのでクオリティは高いまま維持できています。そのかわり展開することができないっていう欠点はあるのですが。

    今のアニメ業界は1店舗目を10店舗、20店舗と増やさなきゃいけないってことを強いられてるので、店舗は増えるけどサービスは良くないみたいな状況なのかなと思います。まぁ僕らは逆に店長が風邪を引いたりしたら大変なことになっちゃうんですけど(笑)。

    ーー最後に、ファンの方にメッセージを。

    吉崎先生の言葉を借りる形にはなるんですが、元々の「けものフレンズの原作ってなに?」っていうと、やっぱり動物なんですよね。

    なので、原作を知りたいとかって思う方がいれば、ぜひ動物園に行っていただけたらなと思います。結果的にこのアニメによって動物園に行く人が増えたらうれしいです。


    バズフィード・ジャパン コントリビューター/ライター

    Contact Ryo Yamaguchi at d.tettu@gmail.com.

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