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活力の源。月収13万円の若手アニメーターは、これを食べて生き抜く

「普通に暮らしています」と話すが、日々の食事は…

「今は、普通に暮らしていますよ」と話すのは、都内のアニメスタジオで働く東京都在住22歳の佐藤さん(仮名)。今のスタジオに勤務し始めて1年弱。暮らしは決して楽ではないが、ひたむきに働く。薄給激務とも指摘されるアニメ制作現場を、日々の食事からたどった。

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1月某日の昼ごはん。この日は昼に起きて袋ラーメンを食べた。取材依頼した際、佐藤さんは「食べてない日とかはどうすればいいでしょう?」と話した。

アニメの滑らかな「動き」を生み出すための作画を担当する。いわゆる「動画マン」と言われる、アニメーターの下積みのようなポジションだ。

現在勤めているスタジオには個人事業主として契約している。社員証はない。

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この日は起きてからキッチンで一服。食事の回数が少ないことについて、「食べないときは出勤の準備か仕事してるので……」と話す。

だいたい昼過ぎに出勤し、22〜24時には仕事を終える。仕事の進み方によっては朝まで残ることもあるが、作業自体はおおむね7〜8時間だ。

朝ごはんはたまご焼きや白米など、簡単に準備できるものが多い。「食べると消化に力を使ってやる気が出なくなるので」と、基本的に昼ごはんは食べない。夜ごはんは自炊したり、コンビニですませたり。疲れた日は食べないこともある。

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「夜は、作り置きしてたカレーをドリアにして食べました」。この日の朝は何も食べず、昼はたばこだけだった。日々の暮らしについて聞くと、彼女からは何度も「朝は食べず昼はたばこ」という言葉が出てきた。

現在の収入について聞くと、だいたい13万円ほどです、と淡々と答えた。その月の作業量によって、収入にはばらつきが出てしまうという。

「動画マンは仕送りがないと生きていけない人がほとんど」。佐藤さん自身も、入社してしばらくはアルバイトをしていた。今はルームシェアで出費を抑えている。

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「晩ごはんは、安い鶏むね肉で豆腐つくねを作りました」。作業の締切日だったが、難しいカットだったので翌日に延期してもらったという。

もともと絵を描くことが好きだった。美術的なデッサンが好きだったが、さまざまなアニメを見るうちに「こういう絵もあるんだ」と、漫画風の絵を描くようにもなった。

アニメ業界はこんなもの、薄給でブラックは普通ーー就職前に制作現場のことは聞いていたので、ショックはなかった。不安はあったが、実際に働きはじめて1年弱。今はもう慣れた。

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この日は珍しく早起きしたので、朝ごはんに味噌汁とご飯を食べた。彼女から朝ごはんに何かを食べたという話を聞くことは少ない。

一般的にアニメ制作現場では、描いた絵の枚数の出来高で賃金が発生する。薄給で過酷と指摘される労働環境について聞くと、「そう思ったことがない」と佐藤さんは言う。「結局は、入る会社を間違えてしまったり、(描き上げる)枚数をかせげない自分の責任だと思います」

そう話してから、「アニメ業界より飲食関係の問題になってる会社の方がよっぽど過酷だと思います……」と加えた。

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余った鶏むね肉で作った晩ごはん。

質問を重ねても、労働環境や給与についての不満は出ない。「たぶん、昔ほどブラックなところはないと思います」。昔はセクハラやパワハラがひどかったらしいと、先輩などから聞いた話を引き合いに出す。

「私には、絵を描くしかないです。一般職には就けませんね」。はっきりと口にする。

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「明日は休みなので」と、久しぶりのビール。この日は先輩の作業を手伝ったりで、「大変でした」と話す。ただ、描いた絵の枚数はかせげた。手伝った先輩から差し入れをもらうこともあるという。

佐藤さんには夢がある。まずは今の立場で絵を描き続け、いずれは原画を担当し、作画監督になる。「いつかは、キャラクターデザインもやってみたいですね」。口調は明るい。

楽な仕事ではないが、辞めたいと思ったことはない。お笑い芸人だって、最初は生活できないじゃないですか、と話す。

「売れたら報われるじゃないですか……もっと頑張ろう、そう思うだけです」

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