カラテカ矢部太郎が相方・入江慎也を今も「友」と呼ぶ理由

    お笑いコンビ「カラテカ」の矢部太郎が、大ヒット漫画『大家さんと僕』シリーズの完結編『大家さんと僕 これから』を出した。闇営業問題で吉本興業から契約解消された、相方の入江慎也への思いとは。

    《相方であり友である入江慎也が多くの方々にご迷惑、ご心配をおかけし本当に申し訳ありません。

    入江には心から反省し、これまでの自身のあり方を見つめ直し、失ったものの大きさを考え続けてほしいと伝えました。

    今後も僕はカラテカの矢部太郎として活動させて頂きます》

    相方であり友である入江慎也が多くの方々にご迷惑、ご心配をおかけし本当に申し訳ありません。 入江には心から反省し、これまでの自身のあり方を見つめ直し、失ったものの大きさを考え続けてほしいと伝えました。 今後も僕はカラテカの矢部太郎として活動させて頂きます。

    お笑いコンビ「カラテカ」の入江慎也が闇営業問題で吉本興業から契約解消されたことを受け、相方の矢部太郎は6月8日にこうツイートした。

    日本中が入江バッシングに沸いていた当時、あえて「相方であり友である」「カラテカの矢部太郎として」と綴った真意とは――。

    7月25 日に『大家さんと僕 これから』を出した矢部に尋ねると、時に声を詰まらせながら、訥々と2人の関係性と「これから」への思いを語った。

    「相方であり友である」と書いた理由

    Ryosuke Kamba / BuzzFeed

    カラテカの矢部太郎

    ――Twitter投稿で「相方であり友である」という言葉を選んだ理由は。

    やっぱり、お笑いに誘ってくれたのは入江君なので。いまの自分があるのは、あの時、入江君が誘ってくれたからなんです。

    今年、すごく久しぶりに単独ライブをしました。昔からのネタもやったりして。入江君と出会ってからのことを漫画で描いて、それをネタの合間に発表させてもらったんですよね。

    だから僕としては、本当にいろんな思いがあるんです。その漫画も、いつかまた続きを描きたいなと思っています。

    ©矢部太郎 / 新潮社 / Via amazon.co.jp

    前作の『大家さんと僕』

    ――前作の『大家さんと僕』にも入江さんが登場していますね。多忙な特番シーズンに矢部さんが大家さんと旅行に行くことになり、最初は「売れてない若手が旅行なんて」と難色を示していた入江さん。けれど、いざ舞台が始まると、「さぼってばっかで女連れて泊まりで旅行ですよ! その相手が大家のおばあちゃん」とネタにして、快く送り出してくれた、という話でした。

    あれはよく描きすぎてますね(笑)

    描き途中の漫画

    Ryosuke Kamba / BuzzFeed

    ――ライブで流したという漫画はまだ、途中なのですね。

    入江君と友達だった時の話から始まって、お笑いに誘われて…というようなことを描いています。

    今回の『大家さんと僕 これから』もそうなんですけど、生きていると思い通りにならないこともたくさんある、だからこそ何でもない日常が美しく尊い…というのがテーマとしてあります。

    ――入江さんは過去に「僕がいろいろやるのは矢部への嫉妬があるから。そこが原動力というか、自分を突き動かす部分になっています」と語っていました。

    だから僕が続きを描くとしたら、そういったこととも向き合う内容になると思います。

    軽い気持ちで

    Ryosuke Kamba / BuzzFeed

    ――最近は「副業」「複業」といった多様な働き方が奨励されています。矢部さんが漫画を描き始めたのも、意識的に異なる分野を開拓していこう、という思いがあったのでしょうか。

    意図的ということはあまりなくて、自分にできること、これならできるかも、と思ったことをやっているというか。表現ということでは同じですし。

    芸人やっていると、ほかの芸人と比べちゃって、「もっとこうしなきゃ」みたいなこともあったりします。でもそれは僕にはできないし。

    漫画のために芸人の何かを辞めたわけじゃなくて、僕の場合すごく軽い気持ちで、趣味の延長で描いてみたっていう感じなので。そこまで無理をしたっていうわけでもないんです。

    お笑いで肯定できた自分

    ©矢部太郎 / 新潮社 / Via amazon.co.jp

    前作の『大家さんと僕』

    ――『大家さんと僕』のなかでは度々、スベってしまったエピソードが登場しますね。もう辞めてしまいたい、と思ったことは?

    ないです。何とかなっちゃったからかもしれないですけど、やめなきゃいけないほど苦しいこともなかったんですよね。

    ――逆に石にかじりついてもお笑いを続けるんだ!という強い意志も…。

    ないですね、そこまでは。辞めなくても別にいいし、という感じで。

    ――お笑いをずっと続けてこられた理由はどこにあるのでしょう。

    やっぱり…信じてるんだと思います。お笑いやっててもいいんだっていうか。お笑いで肯定できた自分もいるし、救われた部分がすごく大きいので。

    外見のこととか、考え方とか…お笑い以外だったら、なかなか肯定できなかったかもしれない。

    たけしからの言葉

    AFP=時事

    ビートたけし

    ――外見や性格にコンプレックスを抱いていたことがあったのですね。

    自信のないところはありますね。スポーツとかも苦手ですし。

    高校生の時に入江君と『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』に出たんですけど、ビートたけしさんに「あんちゃん、復員兵みたいでいいね」と言っていただいたんです。

    当時、僕は坊主頭だったので。たけしさん自身は、まったくそのことを覚えていなかったのですが(笑)

    そういう風にお笑いの力ってプラスになる。お笑いに限らず舞台に立つことで何かできるっていうのを感じて。それをずっと、信じているのかもしれないですね。

    Ryosuke Kamba / BuzzFeed

    矢部太郎

    〈矢部太郎〉 1977年生まれ。お笑い芸人。1997年に「カラテカ」を結成。芸人業のほか、ドラマや映画、舞台などでも幅広く活躍。初めて描いた漫画『大家さんと僕』(新潮社)で手塚治虫文化賞短編賞を受賞。最新作『大家さんと僕 これから』も合わせた累計発行部数は100万部を超える。父親は絵本作家・やべみつのり。

    Contact Ryosuke Kamba at ryosuke.kamba@buzzfeed.com.

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