ノルウェーの画家、エドヴァルド・ムンクの代表作「叫び」を含む約100点を集めた回顧展が、10月27日から東京・上野の東京都美術館で始まりました。
「叫び」には同名で同じ構図の絵画が4点ありますが、このうちオスロ市立ムンク美術館が所蔵するテンペラ・油彩画が来日するのは初めてということもあり、注目を集めています。

えっ、叫んでないの!?
「叫び」といえば、真っ先に思い浮かぶのが中心で頭を抱え、身をよじらせた人物。タイトルからして、絶叫しているように勘違いしてしまいがちですが、実はこの人、叫んでいるワケではないんです。
西洋美術史家、木村泰司さんの著書『名画は嘘をつく』(大和書房)には、こう書かれています。
《この人物が叫んでいるのではなく、ムンク自身が夕暮れどきに経験した"自然を貫く叫び"という幻影を表現したもの》
叫んでいたのは人ではなく「自然」の方だったのですね。だとすると、この人物は一体、何をしているの?

同書によれば、《耳をふさいで叫びから自分自身を守ろうとしている》のだそう。イメージを覆された人も多いのではないでしょうか。
ムンク展は来年1月20日まで。「叫び」の意味を知ってから鑑賞すると、有名絵画の見え方も変わってくるかもしれません。