佐藤健が「一番演じたかった」エピソードとは? 「ここにたどり着くために…」

    映画『るろうに剣心 最終章 The Final /The Beginning』に主演する佐藤健が、自身の集大成とも言える作品への思いを熱く語った。

    10年にわたって続いてきた人気シリーズが、ついに有終の美を飾る。

    映画『るろうに剣心 最終章 The Final』が4月に公開され、6月4日には完結編となる『The Beginning』も劇場公開を迎えた。

    主人公・緋村剣心を演じる佐藤健が「一番演じたかったエピソード」「最高のアクションができた」と手応えを語った。

    まったく違う映画

    佐藤健

    ――『The Final』と『The Beginning』それぞれの違いは。

    まったく違う映画ですね。

    『The Final』は逆刃刀なので打撃。『The Beginning』は『るろうに剣心』シリーズではほぼ初めてと言っていいくらい、ちゃんと斬撃というものに挑戦しています。

    (設定上)切れる刀で戦ってるので、アクションの質が全然違うんですよ。急にできる幅やアクションの可能性が広がって、より自由に、より壮絶に映っています。

    ソードアクションでやれることはすべてやりました。エンターテインメント感あふれるアクションを見てほしいです。

    (※逆刃刀は人を切れないように峰と刃が逆になった刀。過去作の第1〜3作や『The Final』など、「不殺(ころさず)」の誓いを立てて以降の剣心が使用している。シリーズ始まりの物語である『The Beginning』では、誓いを立てる以前の剣心が真剣で闘う)

    十字傷の意味は

    ©和月伸宏/集英社 ©2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

    映画『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』(配給:ワーナー・ブラザース映画)

    ――とりわけ『The Beginning』は、佐藤さんの並々ならぬ気迫を感じました。

    剣心は第1作からずっと、何回も演じさせてもらった人間です。

    なぜ剣心の頬に十字傷ができたのか? その十字傷はどんな意味を持つのか?

    人々の命を守るため、十字傷とともに流浪の旅を続けているわけですが、何でそんな生き方をしているのか?

    『The Beginning』では、すべての謎のアンサーがドラマとして描かれています。僕の中では一番演じたかったエピソードで、ここにたどり着くために今まで頑張ってきたと言っても、過言ではありません。

    『The Beginning』を見てもらうと、第1作、第2作、第3作も見方が変わると思います。全部これまで演じてきた剣心に内包されてきたものだから。

    「過去も今も平等」

    佐藤健

    ――剣心は妻である雪代巴を殺してしまうという重たい過去を背負っています。一方、佐藤さん自身はどちらかというと過去に囚われないイメージがあります。

    そうですね。剣心に比べたらそう思います。

    ――過去のインタビューを読むと、「この時からどう変化しましたか」「どんな風に成長しましたか」と聞かれても、「自分ではわからないです」と答えていることが多いですね。

    わからない。覚えてないんです……。これはね、適当に言ってるんじゃなくて、本当に覚えてないんです。

    ――やっぱり、忙し過ぎるから?

    いや、それもわからないです。思い出そうとしても思い出せなくて。

    ――佐藤さんにとっては「過去」よりも「今」なのかな?と思ったりもしたのですが。

    そういうわけでもないんです。過去も大事だと思うし、過去があって今があるわけだから。過去も今も平等だとは思ってはいるんですけど。

    ――過去と現在が平等って面白いですね。

    過ぎたことが、どうでもいいわけではない。意外と「過ぎちゃったからどうでもいいや」「次やろう」っていうタイプではないです。

    この悲しさが剣心

    ©和月伸宏/集英社 ©2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

    映画『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』

    ――当然、血肉になっていると。

    はい。血肉にもなってるし、血肉にしようとしてるし。(過去と)ちゃんと向き合うことはありますけど、それと「覚えてない」は話が別なんだと思います。

    覚えてることはもちろん覚えてるんだけど、覚えてないことも多い(笑)

    覚えてることっていうのは、自分の中で何か大切なことなんでしょうね。理由はわからずとも。

    ――過去を引きずりながら生きる剣心をどう演じましたか。

    剣心ほどの壮絶な過去があったら、やっぱりそうなるのが誠実だし、共感もできますね。なかなかこんな人いないなとは思いつつ、それがこの人の生きる意味なので。

    この悲しさが剣心の魅力だと思って、大事にしながら演じました。

    重たい過去と贖罪

    佐藤健

    ――時系列で言うと、『The Beginning』は過去作の第1〜3作や4月に公開されたの『The Final』以前の話です。『The Beginning』の映画化が決まるずっと前から、剣心の妻である巴のことを思いながら演じてきたそうですね。

    過去の贖罪と向き合ったり、自分の罪を償っていくということがこの人の生きる意味。

    そういう過去を背負って生きていく人なので、巴のことを考えて役に臨むと言うのはごく自然なことでした。

    ――いきなりこんなこと言われても気持ち悪いだけだと思うんですけど、佐藤さんの「目」が好きなんですよ。

    ありがとうございます。

    ――笑っていても何をしていても、「まだまだこんなもんじゃないぞ」「俺は納得してないぞ」っていう感じが伝わってくるというか。現状に飽き足りていないような印象を受けるんです。

    現状に満足してない……不満があるということではないですけど、「もっとこうしたい」という思いは当然ありますね。

    最高のアクションができた

    ©和月伸宏/集英社 ©2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

    映画『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』

    ――今の佐藤さんの目に映っている未来、展望や抱負を伺えますか。

    最近思うのは、自分たちのつくった作品がもっと世界中で見てもらえたらいいのに、ということです。

    韓国、中国などアジアの国でも、世界中で見られる作品がどんどん増えていっている。僕たちもそういうものをつくっていきたい、という思いがあります。

    ――『るろうに剣心』の殺陣やアクションはハリウッドでも通じるレベルでは。

    そうですね。刀の文化、武士の文化がありますから。ソードアクションという意味では、最高のアクションだと世界に胸を張って言えるものができたと思っています。

    佐藤健

    〈佐藤健〉 1989年3月21日、埼玉県生まれ。

    2007年、『仮面ライダー電王』(テレビ朝日)で初主演。NHK大河ドラマ『龍馬伝』(2010年)の岡田以蔵役で鮮烈な印象を残す。映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(2013年)、『バクマン。』(2015年)、『亜人』(2017年)などヒット作多数。

    TBSドラマ『天皇の料理番』(2015)で、橋田賞、放送文化基金賞演技賞。映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2017年)で、日本アカデミー賞 優秀主演男優賞受賞。NHK連続テレビ小説『半分、青い。』(2018年)で、ザテレビジョンドラマアカデミー賞 最優秀助演男優賞。

    最新作『るろうに剣心 最終章 The Final /The Beginning』が4月23日と6月4日に2作連続で公開予定。秋には映画『護られなかった者たちへ』の公開も控えている。