こたつ記事を書きたい。心までぽっかぽかに温かくなるような、こたつ記事を……。
というわけで、Charaさんと長男のHIMIさんの親子2人、こたつでゆったり語らってもらいました!

4月2日公開の映画『ゾッキ』の音楽監督を務めるCharaさんと、主題歌『私を離さないで』で初の親子デュエットを披露したHIMIさん。
Charaさんが常日頃HIMIさんに口すっぱく言い聞かせている、意外な家族のルールとは?
Chara家のこたつ事情

――普段、こたつって入ります?
Chara:ウチ、お正月はこたつ出すけど。
HIMI:デカイのがあります。毎回、出すのが大変。
Chara:大変だよね。
HIMI:昼からこうやってね(座椅子にもたれ、ギターを弾く仕草)。
Chara:ギター弾いたり、トランプしたり、編み物したり。
――Charaさん、編み物するんですか?
Chara:編み物する。
HIMI:今日かぶってる帽子もそうです。これ、かわいいんですよ。
あ、ミカンだ。食べてもいいですか?
ミカンは揉む派

――どうぞ、どうぞ。
Chara:ミカンむく時ってこうやらない?(おもむろにミカンを揉む)
HIMI:やる、やる! 揉むと皮が剥がれるんです。これ、もう剥がれてますね。
Chara:1個もらう〜。
HIMI:(ひと房とって、Charaさんに渡す)
Chara:おいしい!
HIMI:おいしいです。ビタミンC!
こたつの魔力

――すっかり、くつろいでいただいて。
Chara:やっぱりさ、こたつ入るとこうなるよね(寝そべる)。
HIMI:こうなるね。
Chara:で、最後にはこう(完全に寝る)。
――こたつは人をグダグダにしますよね(笑)
HIMI:(座椅子にもたれて)こうやって、おじいちゃんみたいになっちゃうね。
Chara:ふふふ。
HIMI:背もたれほしいですね。背もたれないと寝ちゃう(笑)
ピーマンの肉詰めと音楽監督

――Charaさんが『ゾッキ』の音楽監督を引き受けられたことについて、「ピーマンの肉詰め」にたとえていたのがすごくいいなと。
Chara:肉詰め食べたいね。
HIMI:いつものやつ! ……で、映画の話で肉詰めって何?
Chara:コメントでね、そんなことを言ったような気がする。何載せたか忘れちゃったけど。
――映画の広報資料に、こんな風に書かれてますね。
《映画は、監督の物っていう考えが私にはあるので
竹中(直人)さんが、直感で決めたことなのかな?
私に音楽を頼みたいと言っていたのは
なので、私も直感スイッチオンのままで、緩やかにやることにしたんです
冷蔵庫にある物で、基本食べたいもの作る様な感じというか
その中で、選択がオイスター味とケチャップ味との
ピーマンの肉詰めできるけど、どっちがいいです?
みたいな感じといいますか
気合を入れ過ぎない音楽監督だと思います》
Chara:これか!
HIMI:冷蔵庫にある物で……ああ、そういうことか。曲づくりをたとえてね。お金なくても今あるもので全然できるよ、みたいな。
Chara:制作費は決して多いわけじゃないと思うけど、今あるもので。それで引き受ける/引き受けないじゃなかったし。心がそこに向かう姿勢は変わらないと思いますね。
あと、人間って時間があると余計なことをしちゃうこともある。私はアーティスト業とお母さん業もやってたから、時間を使うのが上手になっちゃって。
ショートカットで(効率的に)時間を使わないといけない。無駄な時間とかが、わかってきちゃうから。なので、今回の場合もそれはすごく使わせていただいて。
若い時には「生意気」って言われたりもしたんですよ。本当は若いアーティストさんでも、全然やっていいことなんだけど。
HIMI:なるほどね。そのたとえで言ってたのか。
Chara:そう……だと思う。あはは。
HIMI:いいたとえ。
お任せクッキング

――ピーマンの肉詰めは得意料理なんですか。
Chara:そうそう、得意。一応、竹中監督にも聞いたんだけど「お任せします」って。「お任せクッキング、来た〜!」と思った。
予算もないから、なるべく無駄なことをしないように、時間もギリギリで。だから、その場で楽器持てばできる人しか呼んでない。
――HIMIさんはオイスター味とケチャップ味の肉詰め、どっちが好きですか?
HIMI:オイスター味です。
Chara:私はミックスが好き。
HIMI:いつもはどうしてたっけ?
Chara:両方のソース置いてる。
HIMI:両方か。ミックスもいいね。
Chara:うん。
秘密は大事

――映画のテーマのひとつが「秘密」です。お互いに秘密にしていることなんて、あったりするんでしょうか。
Chara:秘密、ある、ある。秘密のない人間なんかいないよ。
――言える範囲だと……。
Chara:言える秘密? 多分ね、私のグラスとか割ってると思う。大切なコップとか割ってない?
HIMI:割ってるかもしれない(笑)
Chara:でしょ。だってさ、ガラス落ちてたんだよね。「なんだこれ」って。そういう、ちっちゃい秘密はたくさんあるでしょ。
でもさ、映画と一緒で秘密って死ぬまで持っていった方がいいんじゃないかな。
「秘密にしといてね。内緒だよ」って言ったのに、話しちゃう人いるじゃん。「もうお前は親友じゃない」ってなるもんね。
――絶対なりますよね。
Chara:なるね。しゃべっちゃいがちな人もいるけど、それ言われたら私は言わないよ。
Charaのガチなアドバイス

――HIMIさんは、Charaさんから「ちゃんと予定を立てる」ことをアドバイスされたと過去のインタビューで明かしていますね。
HIMI:いや、教わったっていうか普通に怒られたっていうか。自分でレーベルをやってたりもするんで……。
Chara:役者の仕事もあるし、音楽の方もあるし。そこ、ちゃんと管理できてないとダメだなと。ドタキャンとかしちゃったらまずいし。
HIMI:そう。計画立てないと。
――結構、マジなアドバイスだ。
Chara:マジなやつ。最低限ね。
私も時々、スケジュールとか見間違えちゃうことあるけど、私のダメなところに似ちゃったら、お前ダメだよっていう感じもあるし。ちゃんとした方がいいよって。
HIMI:自分で(レーベルを)やってる分さらにキツイので、「ちゃんとしないと」っていうのは言われました。
繰り返し言ってるのは…

――ほかにも、HIMIさんが子どもの頃から伝えてきたことってありますか。
Chara:お母さんって大体、言うのが仕事だから。言いたくないんだけど。
HIMI:そんなに言われてないよね、俺。「私の姿を見て、わかってんだろ」っていう感じはあった。
――親の背中を見て。
HIMI:そこでわかったこともあるし。
Chara:すごい、繰り返し言ってるのは「くつ下を脱いだまま出したら、悪いけどこのまま洗うよ」ってこと。それはずっと、ちっちゃい頃から言ってて。
「お前、留学行ってこれか? このままだったら、母ちゃんはこのまま洗って、このまま干す。ちゃんとやってほしかったら、ちゃんと裏返して出しなさい!」って言ってる。

HIMI:くつ下、片方しか干してなくて、「あれ? どこいったんだろう」みたいな。
Chara:片方ずつ出てたから、片方ずつ干す。
――面白すぎる(笑)
Chara:家はリラックスする場だから……っていうのもわかるけど。昔から、くつ下にはうるさいね。でも、それって仕事でも同じでしょ。
――「くつ下くるん」状態の粗い仕事をしてたらダメだぞと。
Chara:同じだと思うんだよな。そういうのあるよね。
HIMI:(伏し目がちに)そういうことですね……。
Chara:だから、一人で住んだ方がいいんだよ。そのうち出ていくでしょ、きっと。
伝えたいこと

――親子同士でメッセージをお願いします。
HIMI:体、大事に。それだけです。
Chara:それは本当に大事。筋トレしてるよね、お互い別々に。
HIMI:毎日のように家でトレーニングして。
Chara:HIMIは才能があるけど、音楽の方の仕事の管理をしっかりね。
頑張ってください。孫も楽しみにしてます。

〈Chara〉 1991年、シングル『Heaven』でデビュー。翌年、『SOUL KISS』で、日本レコード大賞の最優秀アルバム・ニュー・アーティスト賞を受賞した。1996年に映画『スワロウテイル』に主演。劇中バンドYEN TOWN BANDのボーカルとして歌った『Swallowtail Butterfly~あいのうた』が大ヒットする。翌年のアルバム『Junior Sweet』は、100万枚を超えるセールスを記録した。
2020年、YUKIとのユニットChara+YUKI名義でミニアルバム『echo』を発表。洋楽カバーなどを収めたEP『Inner Peace』を配信した。
デビュー30周年イヤーとなる今年は、1月に平岡恵子とのユニット jOnOとして『Birthday Card』『Get Your Key』をリリース。4月2日にはキャリア初の音楽監督を務める『ゾッキ』が公開。主題歌を収めたサウンドトラックをリリースした。
〈HIMI〉 1999年、東京生まれ。インターナショナル・スクール在学中にシドニーに留学。俳優、音楽、モデルなどマルチに活動する。映画『ゾッキ』の主題歌『私を離さないで』をCharaと共同制作。親子デュエットを初披露した。
企画:石井洋
取材・執筆:神庭亮介
写真:黒羽政士
スタイリング:Shohei Kashima(W)
ヘアメイク:Kazuto Sugita(POOL)