「幽霊か病人しかできない」と言われた女優は、こうして壁を乗り越えた

    浜辺美波×北村匠海×福本莉子×赤楚衛二が共演する映画『思い、思われ、ふり、ふられ』が、8月14日に公開される。人付き合いが苦手だったという浜辺が、変化のきっかけを語った。

    「顔に特徴がないから、幽霊か病人の役しかできない」――。

    映画やテレビに引っ張りだこの人気女優にも、マネージャーからそう告げられた過去があった。

    8月14日(金)公開の映画『思い、思われ、ふり、ふられ』(三木孝浩監督)に出演する浜辺美波が、壁を乗り越える転機となった出来事を明かした。

    マネージャーからの言葉

    ――過去のインタビュー記事によると、マネージャーさんに「幽霊か病人の役しかできない」と言われたことがあるとか。多彩な役柄を演じている現在の浜辺さんからは、あまり想像がつきませんが。

    言われたことがありますね。私みたいに特徴がない顔…華奢で色白な女の子だと、そういう役ばっかりになっちゃうって。

    ――カチンときませんでした?

    カチンっていうか、結構納得しちゃいました。実際に当時、そういう役が多かったんです。全然嫌いじゃないし、役をいただけるだけでありがたいなって。

    ただ、そればっかりやってたら、いい方向に進まない。越えなきゃいけない壁ではあったので、乗り越えようとは思ってました。

    いまは全然違う役もできているので、うれしいですね。

    「地元に帰ってやる!」

    ――思春期のころにマネージャーさんとケンカして「地元に帰ってやる!」と羽田空港に向かったというエピソードも面白かったです(笑)

    同じ人かもしれないです。厳しい人だったのでケンカもよくしましたが、長くついてもらいました。

    ――その時、帰らなくてよかったです。

    そうですね(笑)

    ここではないどこか

    ――浜辺さん演じる高校生の朱里は「ここではないどこか」へのほのかな憧れを抱いています。浜辺さんが2016年の高校入学を機に石川県から上京された時も、そういう心境だったのでしょうか。

    はい。新幹線も開通して石川にいたままでもお仕事を続けられる状況ではあったんですけど、上京したらいまと違う景色が見られるんじゃないかっていう。

    もっとお仕事がしやすくなるっていう意味でもそうですし、親元を離れて自分でやらなきゃいけないことが増えたり、ひとりになってみるっていう環境の変化だったり。

    いまとは絶対違った見方ができるようになる。そういう期待も含めての上京だったので、「打開したい」っていう気持ちの共通点はあったと思います。

    家族に後悔させないように

    ――著書『気ままに美波』によると、お母さまは浜辺さんが小さいころから「いつか結婚しても、絶対に車で10分以内の場所に住んでね」と言い聞かせていたと。東京でのひとり暮らしは心配されたのでは?

    すごく大切に思ってくれる家族なので、本当は止めたい気持ちがありつつも送り出してくれたんだと思います。寂しいだろうなっていう思いは感じましたね。

    だからこそ、家族に後悔させないようにお仕事を頑張ろう。「あの時、送り出さなきゃよかった」って思われないように…っていう力にもなりました。

    天真爛漫に見えるけど

    ――朱里は周囲の幸せのために、自分の本心を閉じ込めてしまうところがあると思います。共感する部分はありますか。

    朱里は明るくて天真爛漫に見えるけど、心の底からそういう性格ではなくて。人とうまく付き合っていくため、傷つかない方法として明るくなることを選んだ。

    すごく共感するし、好きなところですね。カッコイイなって思います。

    仕事でも学校でも、人にはそれぞれの役割みたいなものがあって。そういう時に「自分は性格が暗いから、それを受け入れてもらうしかないんだ」ってなるんじゃなくて、自分が変わることを選ぶ。大切なことですよね。

    私も前はもっと暗かったんですけど、いまはちょっと明るくなってきた。そこはすごく似ているし、朱里の気持ちがよくわかりました。そういう時期って誰しもあるんだろうなって。

    人付き合いが苦手だった

    ――以前はかなり引っ込み思案だったのですね。

    そうですね。キミスイ(『君の膵臓をたべたい』)の時期とかは、取材で答えるのも苦手でした。

    言葉を選びすぎてしゃべれないし、言いたいことも言えない。どこまで言っていいのかわからない…みたいな。

    自分で自分をセーブしていた部分もあって。人付き合いも苦手だったんですけど、それが段々となくなってきた。

    (人見知りを)なくさなきゃいけない環境に身を置くことで、変わってきたという感じはあります。

    役に教えてもらった

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    東宝MOVIEチャンネル / Via youtu.be

    映画『思い、思われ、ふり、ふられ』予告【8月14日(金)公開】

    ――朱里が変われたように、浜辺さんにも変化を掴む転機があったのでしょうか。

    作品の影響が大きいですね。

    『センセイ君主』『賭ケグルイ』といった映画に出演したんですけど、どちらも主人公が明るいし、作品を引っ張っていくぐらい個性の強いキャラクターで。

    そういう女の子を演じることで影響を受けましたし、そうやって生きるのってすごく楽しいことなんだって。

    自分の好きなように、素直になって生きるということが、すごく自由で楽しく感じられたんです。変な言い方ですけど、役が落ちないまま過ごしていたら、だんだん「地」になってきたというか。

    役に教えてもらった、役を通して考え方を知った感じがしますね。

    〈浜辺美波〉 2000年8月29日生まれ。石川県出身。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞を受賞し、芸能界入り。2017年、映画『君の膵臓をたべたい』で日本アカデミー賞の新人俳優賞、報知映画賞の新人賞に輝く。主な出演作に『センセイ君主』(2018年)、『映画 賭ケグルイ』『アルキメデスの大戦』(2019年)。年内に出演作『約束のネバーランド』が公開予定。8月12日スタートの連続ドラマ『私たちはどうかしている』(日本テレビ系)にも出演する。