《でも見てよ今の僕を クズになった僕を》
《別に君を求めてないけど 横にいられると思い出す》
自己嫌悪と強がりが入り混じった歌詞には、ざらっとしたリアルな質感がある。シンガーソングライター、瑛人の『香水』の一節だ。
「本当にクズだなと思う時期があった」と自嘲気味に笑う瑛人が、作品に投影されているという自身の失恋体験を明かした。
磨き上げたフレーズ

――《でも見てよ今の僕を クズになった僕を》という歌詞に、いい意味での「引っ掛かり」を感じました。
最初のセッションでは、《でも見てよ今ただのクズになった 人を傷つけてまた泣かせても何も感じ取れないんだ♪》だったんです。
(音楽学校の講師でアーティストの)ルンヒャンさんのところに持っていったら、「ここをもっと短くしてみて」とアドバイスをもらって。
《夜中にいきなりさ いつ空いてるのってLINE♪》も、最初は「電話」だったけど、自分で「LINE」に直した。
俺は曲をつくってるうちにゴチャゴチャになっちゃうので、そこをルンヒャンさんがまとめてくれるっていうか。
「最悪だ、俺」
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香水 / 瑛人 (Official Music Video)
――作曲過程のバージョンも克明に記憶されているんですね。
結構、覚えてます。
――そうやって磨き上げてできたのが、今の『香水』だと。歌詞にはご自身の失恋体験も反映されているとか?
そうです、そうです。
本当に、ちょっとクズだなと思う時期があったので(笑)ちょうど曲をつくったころに。
「最悪だ、俺」みたいな。この曲で歌ってる元彼女について、「俺、何であんなひどいことしたんだろうな」とか、別れた3カ月後ぐらいに気づきだして。
元カノや友達の言葉

――だからあんなにリアルなんですね。《クズになった僕を》っていうフレーズは、街で流れているようなヒット曲ではあまり聴かないので、ハッとさせられます。
クズ…。ちょうどその時、いろんな人にクズって言われてたんですよ。
だからセッションの時に出たんじゃないかな。
友達にも元彼女にもクズって言われて。あげく、遊んでた女の子にまでクズって言われて。母ちゃんにも言われた。
――お母さんにまで(笑)
その時、やたらクズって言われてたから。《クズになった僕を》って出たんだと思います。
クズは卒業?

――めっちゃ面白い。
でも、最近は言われないです。
――もうクズじゃなくなったんですね。
はい。
――今後の展望、抱負を伺えますか。
自分のワンマンライブをしたことがないので、してみたいです。
あとは、アルバムをつくりたい。ミュージックビデオでかわいい女の子と共演してみたい(笑)
――動機が不純すぎる(笑) やっぱりクズじゃないですか!
あはは。
聴いてくれている人に届くように、もっとハッピーにできるように、いろんな曲をつくっていきたいと思っております。

〈瑛人 えいと〉 1997 年 6 月 3 日、横浜生まれ。男 3 人兄弟の末っ子として、野球に明け暮れる少年時代を過ごす。高校卒業後、ダンスで自己表現する友人の姿に刺激を受け、シンガーソングライターを志して音楽学校に入学。19歳から曲を書き始め、2019 年 4 月、21歳で初めての楽曲『香水』EPを配信リリース。翌2020年春、SNSに投稿された様々な『香水』のカバー動画から人気に火がつき、オリコン、Billboard JAPAN、LINE MUSIC、Spotifyなど各種音楽チャートで1位を獲得。サブスクリプションサービスの総再生回数は1億回、YouTubeの再生数は8000万回を超える。