こんな幸せそうな親子写真、見たことある?

    CharaとHIMIの親子がデュエットする『私を離さないで』。映画『ゾッキ』の主題歌は、どのようにして生まれたのか?

    アーティストのCharaさんが、映画『ゾッキ』(4月2日公開)で自身初となる音楽監督に挑戦しました。

    エンディングを彩る主題歌『私を離さないで』では、長男でシンガーソングライター・俳優のHIMIさんとのデュエットも披露しています。

    「一緒過ぎてムカつく時がある」という親子の共通点は?

    竹中直人監督の独特すぎる熱烈オファーって?

    Charaさん、HIMIさん親子に、根掘り葉掘り聞いちゃいました。

    見えないもので繋がっている

    Photo by 黒羽政士

    ――映画に寄せたコメントで、親子の関係を「見えないもので繋がっている」と綴っていました。どんな時に「繋がっている」ことを実感しますか。

    《主題歌については、息子のHIMIとやりたかった

    1番私がしがみついているもの

    愛だから

    ファミリーだしね、私達

    見えないもので繋がっているから》

    Chara:声とか、やっぱりね。次、ここ(の音程)いこうっていう時に同じだったりするよね。

    HIMI:自然とハモる、みたいな。

    Chara:倍音とか、男と女の声で違うんだけど。

    HIMI:声もあるし、考えてることとかも。

    Chara:一緒過ぎてムカつく時あるかも(笑)

    HIMI:一緒のところはすごい一緒なんですけど、違うところはすごい違って。

    Chara:そうだね。半分は、お父さんだもんね。

    HIMI:半分、父ちゃんの血。そういうところがある。

    似ているところは?

    Photo by 黒羽政士

    ――どの辺りが似てると思いますか。

    Chara:集中すると聞こえてないよね。

    HIMI:あと、フィーリング大事にしてるところは、100%一緒かもしれないです。キモ、心、感情。

    Chara:そうね。踊りの動きも結構、似てるよね。

    HIMI:グルーヴね。

    Chara:そういう感じはあるかもしれないですね。AB型とAB型なんで。ABだよね?

    HIMI:うん、俺ABだよ。

    「歌詞なんか聞こえなくたっていい」

    ©️ 2020「ゾッキ」製作委員会 配給:イオンエンターテイメント / Via zokki.jp

    4月2日(金)に全国公開された映画『ゾッキ』

    ――『ゾッキ』は大橋裕之さんの原作漫画を、竹中直人さん、山田孝之さん、齊藤工さんの3人の監督が映画化しています。音楽監督のオファーはどのような形であったのでしょうか。

    Chara:竹中監督がこの映画の発起人。大橋くんの漫画を映画化したいという熱い思いがあって、呼び出されて。まだコロナ禍の前だったから。

    「俺はいつも直感なんだ。直感でCharaがいい!」と言ってくれて、「いいよ」って。それから2年ぐらい経って忘れた頃に「決まりました」となって、「おー、OKです」みたいな。

    『ゾッキ』だから良かったのかもしれないかな。

    私は誰かをプロデュースする時も、その人を最大限に引き出すことを考える。一言でいうと「最後は自分で選んでください」っていうのが私のやり方。

    私に頼んでくれた以上はいいものをつくりたいし、私も直感で……

    HIMI:フィーリング。

    Chara:そうそう、フィーリングはすごく大事にしてる。多分、竹中さんもそれをわかったうえで頼んでくれたのかなと思うから。そういうやり方でしか私はできないし。

    「歌詞なんか聞こえなくたっていいんだよ。Charaがそこにいればいい。歌っていればいいのさ」って安心させてくれたんだよね。

    それで、ああ、いいなって。

    CharaとCHABO

    Photo by 黒羽政士

    ――CharaさんとHIMIさん以外にも、仲井戸麗市(CHABO)さん、ドレスコーズ、韻シストBANDなど多彩な顔ぶれが参加していますね。

    Chara:CHABOさんは呼ばないと。竹中さんのCHABO愛はすごいし、私もCHABOさん大好き。

    ライブで対バンさせてもらって、たくさん教えてもらっているし、すごく影響を受けている先輩の一人です。

    HIMI:CHABOさん、ウチにピック忘れていったね。「これ誰の?」って聞いたら「CHABOさんの」って。

    Chara:言ったかも。お前、今持ってるの? CHABOピック。

    HIMI:使ってます。俺、その時いなかったからCHABOさんにはまだ会えてないんだけど。

    ――めっちゃご利益ありそう。

    Chara:ご利益あるわ、本当。ウチにCHABOが来たって、すごくない?

    HIMI:CharaとCHABO。

    Chara:Chara+CHABOです!

    私を離さないで

    Photo by 黒羽政士

    ――主題歌の『私を離さないで』はどうやって生まれたのでしょう。

    Chara: 何かにしがみついて生きている人たちの映画だから、タイトルも『私を離さないで』がいいなと思って。

    カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』は小説も素敵だし、映画も好きだったから。切ない物語だったけど。

    竹中さんは、私が知らない映画とか音楽もジャンル問わずたくさん知っている人。「この映画いいよ」って教えてくれたり、音楽を聴かせてくれたり。「参考にして」とは言わないけど、実は彼なりのリファレンスだと思うんです。

    Charaを何となくそっちの方向に意識させる、素敵なやり方。

    HIMI:そういうタイプだよね。

    Chara:うん。そのやり方すごく好き。美しいよね。私もわざわざ「これって、映画のためですよね」とか聞かないし。

    「歌詞なんか聞こえなくたっていいんだよ」っていう竹中さんの言葉で、点と点がつながって。

    エンドロールにゆっくりかかる曲だから、もちろん歌詞は考えましたよ。でも、「聞こえなくてもいい」っていうニュアンスはすごく素敵だな、と思って。

    ――不思議な呪文というか、祈りのようにも聞こえました。

    Chara:「祈り」はありました。実際に録音することはなかったけど、あるシーンで『アメイジング・グレース』を使ってもいいかも――という話もあったぐらい。

    結局そのアイディアはなくなったんだけど、祈りっていう意識はすごくあったんですよね。無神論ですけど、前からゴスペルとか好きだし、特にコロナ禍になってからはより強まった。

    誰かにうまく気持ちが伝わらない時、祈るような気持ちってとても強くある。曲をつくることも、文字に落とすことも声にならない祈りみたいなものだから。

    親子コラボの理由

    ポニーキャニオン / Via amazon.co.jp

    映画『ゾッキ』オリジナル・サウンドトラック

    ――HIMIさんとのコラボを決めた経緯は?

    Chara:家で曲を書いてる時に「いたらいいな」とほんのり思ってたんだけど。たまたま家にいたんだよね?

    HIMI:ちょうど家にいたので。タイミングもいいなと思って、セッションして。

    Chara:そうだね。私がひらめいたメロディーでちょっと曲をつくっていて、その後一緒につくろうって。

    HIMI:俺は結構、すぐできるタイプで。

    Chara:「これはどう?」「それいいね」って、本当に即興で。

    ちょっと大きいメロディーがいいなと思ってたら、すごく大きくて普遍的なメロディーを出してくれた。その場ですぐ歌詞を乗っけて歌ったんだよね。

    そんな感じでデモは割とすぐに。2人とも「すぐタイプ」なので。

    HIMI:そうだね。すぐタイプ。ギターを弾きながら考えてると、浮かんでくる。できない時はできないんですけど。

    Chara:そう、フィーリングが合う日だけ。

    「アーリーChara好きなんで」

    Photo by 黒羽政士

    ――それまでにも一緒にセッションすること自体はあったんですよね?

    Chara:親子で住んでるし、仕事がミュージシャンで家に楽器があるから、曲つくったり、演奏したりも普通なんですよね。

    HIMI:そうね。あとママっ子だから。父ちゃんいない分、音楽たくさん聴いてたし。

    Chara:お母さんがミュージシャンだと、一緒に現場行ってもミュージシャンのお友達ばっかりだし。それが当たり前というか。

    ――HIMIさんが好きなCharaさんの作品は?

    HIMI:好きな曲はいっぱいあります。『Violet Blue』(1993年)も大好きだし。

    Chara:それ言われた時「あれ?」と思ったよね。『Violet Blue』は初期の曲で、3枚目のアルバムに入ってる。

    HIMI:結構、アーリーChara好きなんで。

    Chara:アーリーCharaのバラード。実はデビューのキッカケになった曲なんですよね。

    HIMI:めちゃめちゃ、いい曲。

    Chara:19歳の時につくった曲。いまのHIMIより若い時につくったっていうのも面白いよね。

    HIMI:ヤバい。

    Chara:もうその年齢を超えているっていう。(※HIMIさんは現在21歳)

    19歳で生まれた名曲

    Photo by 黒羽政士

    HIMI:デビューしたのは?

    Chara:23歳。歌い出したのが19の終わりで、21歳でデビュー決まって。

    21歳の時に決まったんだけど、昔はデビュー準備期間っていうのがあって、その間に曲をもっとストックしなさい、っていう感じだった。

    HIMI:19で『Violet Blue』つくったんだ……。

    Chara:うん。

    HIMI:デモないの?

    Chara:あるかもね。カセットテープかもしれない。

    HIMI:聴きたいです。

    Chara:そういうの、サンプリングしたら面白いよね。

    HIMI:それヤバい!

    まだ出してない曲なんですけど、合唱の時にいてほしくて呼んだことがあって。そしたら、絶対わかるんです。合唱なのに「あっ、Charaだ!」って。

    Chara:それって大事だもんね。

    HIMI:大事じゃん。だって実際、聴いたら「Charaだ」ってわかる。声ですぐわかるってすごいよ。

    あっという間に終わっちゃう

    ©️ 2020「ゾッキ」製作委員会 配給:イオンエンターテイメント / Via zokki.jp

    親子、親友、ゆきずりの出会い……『ゾッキ』ではいくつもの関係性が描かれ、それらが奇妙に響き合っていく

    ――『ゾッキ』で好きなシーンは?

    Chara:これから映画観る人いるから、あんまり言いたくはないんだけど……。あっという間に終わってしまうかもね。長く感じない映画っていいと思う。

    監督もそうだし、役者さんも個性がすごい。なので、あんまり先入観持たないで観に行った方がいいかも。ぜひ、映画館で観ていただけたら。

    HIMI:観に行きます!

    Chara:観てください。

    Photo by 黒羽政士

    〈Chara〉 1991年、シングル『Heaven』でデビュー。翌年、『SOUL KISS』で、日本レコード大賞の最優秀アルバム・ニュー・アーティスト賞を受賞した。1996年に映画『スワロウテイル』に主演。劇中バンドYEN TOWN BANDのボーカルとして歌った『Swallowtail Butterfly~あいのうた』が大ヒットする。翌年のアルバム『Junior Sweet』は、100万枚を超えるセールスを記録した。

    2020年、YUKIとのユニットChara+YUKI名義でミニアルバム『echo』を発表。洋楽カバーなどを収めたEP『Inner Peace』を配信した。

    デビュー30周年イヤーとなる今年は、1月に平岡恵子とのユニット jOnOとして『Birthday Card』『Get Your Key』をリリース。4月2日にはキャリア初の音楽監督を務める『ゾッキ』が公開。主題歌を収めたサウンドトラックをリリースした。

    〈HIMI〉 1999年、東京生まれ。インターナショナル・スクール在学中にシドニーに留学。俳優、音楽、モデルなどマルチに活動する。映画『ゾッキ』の主題歌『私を離さないで』をCharaと共同制作。親子デュエットを初披露した。

    取材・執筆:神庭亮介

    写真:黒羽政士

    スタイリング:Shohei Kashima(W)

    ヘアメイク:Kazuto Sugita(POOL)