7枚のマスクにあった7人の名前。大坂なおみがコートから伝えたかったこと

    2度目の全米オープン優勝を果たした大坂なおみ選手は、「人々にはもっと(人種差別について)関心を持ってほしい」と語る。

    米ニューヨークで、テニスの世界4大大会の1つ「全米オープン」が開かれた。

    女子シングルスの第4シードで出場した大坂なおみ選手は、見事に優勝を果たした。全米オープンのタイトルを獲得したのは2度目となる。

    大坂選手は人種差別への抗議を示すマスクをつけて試合会場に現れ、世界中から注目を浴びた。今大会では1試合ごとに、警察の過剰な暴力行使の犠牲となった人々の名前が書かれたマスクを披露すると宣言していた。

    ウィスコンシン州ケノーシャで黒人男性が警官に銃撃された事件を受け、全米オープンの前哨戦となる大会では、一度は棄権を表明していた。全米オープンで大坂選手は優勝までの7戦を勝ち抜き、7枚のマスクを全て着けることができた。

    7枚のマスクに名前があった7人は、なぜ亡くなったのか。なぜ、その名を語り継がねばならないのか。それが今回、大坂選手が伝えたかったことの一つだ。

    1回戦・ブレオナ・テイラーさん(当時26歳)

    2回戦・イライジャ・マクレーンさん(当時23歳)

    3回戦・アマード・アーベリーさん(当時25歳)

    4回戦・トレイボン・マーティンさん(当時17歳)

    準々決勝・ジョージ・フロイドさん(当時46歳)

    試合後のインタビューで大坂選手は、トレイボンさんとアーマドさんの遺族からビデオメッセージを受け取った。

    I often wonder if what I’m doing is resonating and reaching as many people as I hope. That being said, I tried to hold it in on set but after watching these back I cried so much. The strength and the character both of these parents have is beyond me. Love you both, thank you ❤️ https://t.co/FSDLtWNJDr

    動画を見た後のインタビューで大坂選手は、以下のように答えた。

    「被害者の家族は本当に強い人たちだと思う。私が同じ立場だったら、自分は何ができるのか想像がつかない。でも私は、人々に関心を持ってもらえるように働きかけている。(身内を殺害された)家族たちの傷は癒えないかもしれないけれど、私にできることは何でもしたい」

    「泣くのを我慢していた。私の行いで人々が感動していることに、本当に心が動かされた。私の行いは無駄ではなかった」

    ツイッターも更新し、現在の心境を語った。

    「自分の行いが果たして多くの人々に届いているのか、よく考える。インタビューでは我慢していたけれど、後に動画を見返すと涙が溢れ出た」
    「(動画を送ってくれたトレイボン・マーティンさんとアマード・アーベリーさんの)ご両親は本当に強くて、素晴らしい性格の持ち主。愛しています。ありがとう」

    準決勝・フィランド・キャスティルさん(当時32歳)

    決勝・タミル・ライスさん(当時12歳)