インド北部を流れるヤムナ川は、ガンジス川最大の支流だ。「聖なる川」と呼ばれており、ヒンドゥー教徒が沐浴をしたり、地域住民が生活水として使ったりと、人々の暮らしに根付いた存在である。
そんなヤムナ川の一部、首都ニューデリー近郊の川面を、有害物質の泡が覆っている。

真っ白な泡は、処理されていない下水と産業廃棄物が入り混じったものだ。アンモニアやリン酸塩が多く含まれ、呼吸器や皮膚に悪影響があると専門家は警告している。


地元メディアによると、ニューデリーにある下水処理場35カ所のうち、22カ所が少なくとも過去1年、排水に関する所定の基準を満たしていないという。
加えて、隣接するウッタル ・プラデーシュ州にある製糖や製紙工場なども汚染の要因と考えられている。
ヤムナ川がこのように白い泡に覆われるのは、珍しい光景ではない。汚染は何十年もの間、深刻な問題となっている。インド政府は浄化を約束しているが、発生した泡を隠す程度で、有効な政策は今も実行に移されていない。

