
一方アジアでは、そうした言葉をあえて名前に使う人もいる。
3月27日にインド中部チャティスガル州で生まれた男女の双子は「コロナ」「コビッド」と名付けられた。
「様々な困難に直面したすえの出産だったため、思い出に残したかったんです」と母親は語った。
「それに、これらは元々美しい名前です。『コロナ』はラテン語で『王冠』を意味します。この名前から連想される恐怖を終わらせて、人々が公衆衛生に着目するきっかけになるといいです」と父親も明かした。
インドでは、この双子の誕生から約2週間後、北部ウッタルプラデシュ州で今度は「サニタイザー(消毒剤)」という名の新生児が生まれた。
父親によると、サニタイザーはコロナウイルスと闘う力があるからだという。
「これから人々がコロナウイルスについて語る時、サニタイザーが助けてくれる事を思い出すはずです」
さらに東部トリプラ州で4月28日に生まれた男の子には、「ロックダウン」という名前がついた。

ロックダウンちゃんの両親は、トリプラから2000キロ以上離れた西部ラジャスタン州出身。露天商の仕事のためトリプラに来ていたところ、政府がインド全土のロックダウンを始め、帰れなくなった。やむなく、トリプラで出産したという。
「ロックダウン中に生まれた子だから、そう名付けました」「今はロックダウンが解除され、地元に帰れる日を待っています」と父親は語った。
フィリピンのマニラでは、4月13日に生まれた女の子が「コビッド・マリー」と名付けられた。
「この苦難を私たちがいかに強く乗り越えたか、将来に向けて思い出すために新型コロナウイルスから名付けました」と父親のジョン・トパスさんは語った。
新型コロナウイルスにちなんだ名前をつけることについて、SNS上では批判の声もある。
トパスさんはこの点も認めた上で「いじめもあるかもしれません。でも常に善良であるように、私たちはこの子を育てます」と話した。
「COVID-19がもたらしたのは、苦しみだけではないと思い起こせるような名前にしたかったのです。このような状況にもかかわらず、私たちには恵みがありましたから」