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パートナーにどう伝える?性交時の痛み。「我慢すればいい」を乗り越えるには

パートナーとの性交時に痛みを感じる。だけど、「我慢すればいい」という思いから、伝えられない。性交痛について発信している情報サイト「FuanFree/ふあんふりー」運営者の小林ひろみさんに、20代の悩みにフォーカスして話を聞きました。

性交痛は、年齢に関係なく起こる

さまざまな原因から、セックスの際に痛みを感じる人がいます。

101人に「性交時に痛かった経験」を尋ねたところ、約8割が「ある」と答えた調査結果があります。また、性交痛はなくても、性交後にヒリヒリした感じが残った経験が「ある」人は、7割を超えました。(本記事では、セックス時に感じる痛み全般を性交痛と表現しています)

そうした性交痛に関する情報を発信するサイトが「FuanFree/ふあんふりー」です。

産婦人科専門医の早乙女智子さんをはじめとする監修陣のもと、サイトを運営する小林ひろみさんによると、一般的に広まっているのは「閉経などで女性ホルモンが低下し、うるおい不足から性交痛になる」との認識だといいます。

ところが、性交痛は年齢に関係なく起き、サイトに寄せられる相談の多くが、20代から寄せられていると説明します。

「相手に嫌われたくない」から言えない

20代からの相談の多くは「激しく触ると喜ぶ」といったパートナー側の誤解から発生しているといいます。

演出上の要請で演技として行われている一部のアダルトビデオの激しい動きをそのまま受け取り、相手に実践してしまうのではないか、と小林さんは考えます。

そのうえ、「相手に嫌われたくない、場の雰囲気を壊したくない」という思いから、痛みを感じてもパートナーに伝えられない人が少なくないそうです。

婦人科の検査で問題がない場合、こうした背景には「男女ともに性知識や性的な経験が少ないこと」が原因としてあるのではないかと小林さんは指摘します。

小林さん自身は若い頃から30年間、性交痛で苦しんできました。

「セックスとは、男性を喜ばせるもの、自分よりも相手に喜びを与えるものという考えが根底にありました。だから性交痛があった時、自分は相手を喜ばせることができない、申し訳ない、私だけがうまくできないと思い、自分を傷つけていました」

セックスは本来、どちらか一方だけを喜ばせるためのものではなく、お互いに喜び合うもの。だから、一人で耐えて苦しんでいる人に、「『性の健康』という考え方を知ってほしい」と小林さんはいいます。

FuanFree/ふあんふりーでは、性交痛を健康問題だと捉え、痛みを我慢するのは、すなわち「健康を害したまま過ごしていること」だと伝えています。

人が自然と健康な状態を求めるように、本来は性についても豊かな状態を求めてもよいものです。

こうした根本的な理解がない限り、自分を大事にすることは難しく、痛みを我慢したり、パートナーに申し訳ないと考えたりしてしまいます。

「いまだけ我慢すればいい」と思っても。潜む問題

痛みを放置しないでほしい、と小林さんが考える理由はもう1つあります。

いま、自分が痛みを我慢すればいいと思っていても、「子どもを作りたい場合、どうすればいいのか」という問題が発生するからです。

小林さんは、子どもが欲しいという思いがありました。でも、セックスには痛みを伴いました。そのため、「セックスでも痛みを感じるのに、どうやって出産したらいいんだろう」と、大きな壁にぶつかりました。

だからこそ、「一方的なセックスを受け入れることなく、放置せずに、出来るだけ解決してほしい」といいます。

FuanFree/ふあんふりーは、知識を手に入れ、解決に向かうことができるサイト

大切なのは「性交痛に悩んでいる当事者が知識を持ったうえで、解決できること」だといい、そのための情報がサイトには盛り込まれています。

性交痛の原因は、婦人科手術で解決できるものだけではなく、お互いの性器の形状や、心理的なものと様々です。

「ソリューション(治療・回避・解決)」のページは5つの項目に分かれており、それぞれの原因に対応しています。今後も追加される予定です。

完全な解決が難しく、性交痛と一生付き合う必要がある人に向けては、「できるだけ痛みの少ない」工夫も紹介しています。

全国の専門家や婦人科の先生にも、性交痛で悩んでいる患者さんがいたら参考資料として紹介するなど、活用してほしいといいます。

どうやってパートナーに伝えるか?

実際に感じている痛みを共有するのは難しく、パートナーが正しい知識を持っていないために自分の痛みを理解してもらえない場合があるかもしれません。

そうした状況では、痛いことを頭ごなしに伝えるよりも、「FuanFree/ふあんふりーを見てもらいたい。痛みについて、順を追って説明していて、『これを読んでほしい』とパートナーに紹介できる作りになっています」

一方で、性交痛で悩んでいるのは、痛みを感じる当事者だけではありません。パートナーの男性も、自分の行動によって痛みを与えているかもしれないと、悩んでいる場合があります。

そんな男性向けに、性交痛に関する理解を深め、パートナーと向き合う際の助けとなる情報がまとめられたページも用意されています。

小林さんによると、挿入に適した状態になるまでの興奮の仕方は、男女で異なります。興奮を感じ始めてすぐの段階では、身体が挿入を受け入れる準備ができておらず、痛みを感じやすいです。

また、痛みを感じない角度や体位も、人それぞれに合ったものがあります。

こうした違いがあるからこそ、最初にセックスをするか同意を取るだけでは十分ではありません。行為の最中も、どんな角度や体位がいいのか、確認し合いながら行うことが大切です。

「体だけではなく、言葉を交わしたり、合図を交わしたりすることで、痛みを感じる場所や大丈夫な場所をお互いに理解することができます」

そこには「2人で探していく楽しさ」があると小林さんはいいます。

「ちゃんと息を合わせて確認を取りながらセックスをすると、痛い人でも最終的には、パートナーと喜び合えるセックスができるようになると思います」

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誰にとっても他人事ではないけれど、どこか話しづらい「性」。BuzzFeed Japanは、10月29日(木)から11月4日(水)までの1週間を「性教育ウィーク」として、性にまつわる様々な記事を集中的に配信します。