5歳の文豪、ここに。お父さんの心を鷲掴みにするラブレターが小説家かと思うレベル。

    知り得る限りの言葉で「愛」を表現する娘さんに拍手喝采。

    妙に惹きつけられる文面がここに。

    5歳の娘さんがくれたラブレター。

    そこに書かれていた「I LOVE YOU」が文豪レベルだと注目が集まっています。

    いったいどんなお手紙だったのかというと……?

    導入部のつかみが完璧すぎませんか……小説家かな……

    BuzzFeedはこのラブレターを受け取ったお父さんであり、漫画家である宮川サトシさんに話を聞きました。

    「娘は手紙を本当によくくれる子です。それに手紙を書くのは本当に好きみたいです。家でも保育園でも、暇さえあれば妻や友達にも書いてる印象があります」

    「これまでにも物凄い数の手紙をもらっていて、専用の保管箱を用意したぐらいです。買い物に行くとレターセットを欲しがるようですね」

    お手紙を渡してもらったときのことを尋ねると「嬉しさよりも驚きが先にありました」と語ります。

    「まず文法がしっかりしていること、そしてこの気持ちの表現に、ヘビに二人で呑まれているイメージが一瞬で膨らんで、こちらの時間が止まったようでした」

    そして宮川さんは、すぐに「夏目漱石が『I LOVE YOU』を訳したという『月が綺麗ですね』のことを思い出した」と話します。

    「『愛』を使わず、知り得る限りの言葉で愛を表現しているのかなと。物書きの端くれとして、少しだけ嫉妬もしましたが、誇らしくとても嬉しい思いでおります。宝物がひとつ増えましたね」

    文中、ふいに登場するヘビ。なぜなのかを推測してもらうと……?

    なぜ突然「蛇」が手紙に登場したのか、宮川さん自身も謎だと明かします。

    「毎晩かなりの数の絵本(昔話)を読んできたのでその影響か、もしくはピクサー・ディズニー系のアニメや映画も大好きなので、そのどこかでそんな場面を見て、彼女なりに『死』とは『ヘビに呑まれること』と頭の中で結びついていたのかもしれません」

    また、この手紙をもらう前日の夜のこと。

    何かの話の流れで「そりゃいつかお父さんもお母さんも先にいなくなるんだけど、まだまだ先の話だよ」というような内容を話したんだとか。

    「そこから娘は娘なりに『いつかは死別する未来』を想像して、あの手紙を書いたのではないかと思うんです」

    「無闇に不安にさせるつもりはないですし、かなりマイルドにさらっと話したつもりなので全然その話がきっかけではないのかもしれませんが…笑」

    「親としては、本当は呑まれた僕を置いて逃げて生き抜いてほしいです…愛の言葉だと思うとやっぱり嬉しいですね」

    かなりの文才を感じる文面。日頃から娘のはなえちゃんはトレーニングなどしているのでしょうか。

    「トレーニングというほどのことはしていませんが、普段から『自分の気持ちをちゃんと言葉で説明しよう』という話はしていますね。ちゃんと感情が説明できるまで、なるべく待ってあげるようにはしています」

    「もうちょっと小さい時は、悔しがったり悲しがったりしていると、おもちゃのピアノを渡して『これでどれぐらい悔しいか表現してみて!』と言って『ジャーン!!』みたいなやり取りをしていたこともありました笑。…今回の手紙とはあんまり関係ないですかね笑」

    たくさんのお手紙など、作品を保管している宮川さん。

    「これまでの手紙や手作りの折り紙作品なんかも大体全部保管してあるので、いつか見せてやろうとは思っています」

    今回のラブレターに関しては、いつも以上に特別なものに感じるそうで……

    「仕事用のリュックサックに入れて持ち歩こうと思っております。で、娘の結婚式とかで流すムービーに手紙のスキャン画像を差し込んで…いや、やめときましょう、娘が可愛そうだしそんな父親寒いですよね…」

    宮川さんがはなえちゃんとの日常を描いている『そのオムツ俺が換えます』〜娘かわいい回〜がこちら。

    〈宮川サトシ〉

    1978年、岐阜県出身。2013年に地方出身妖怪たちの日常を哀愁あふれるタッチで描いた『東京百鬼夜行』でデビュー。最愛の人を喪った哀しみとそこからの再生を描いた自伝エッセイ『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』は、多くの共感を得た。SFギャグ『宇宙戦艦ティラミス』(原作)のほか、『情熱大陸への執拗な情熱』『そのオムツ、俺が換えます』『僕!!男塾』(原作)など話題作多数。現在は週刊漫画ゴラクにて『LV41才の勇者』(原作)、週刊新潮にて『俺は健康にふりまわされている』等を連載中。