どこにいても、ありのままの自分でいたい。
自分のセクシュアリティを隠すために、「男らしさ」を演じなければならなかったーー。
「編み物をしていることは、自分のセクシュアリティを公言することと同じくらい難しかった」というツイートが話題になっています。
BuzzFeed Newsはツイートをした男性に取材しました。
「男らしさ」を演じる苦痛。

常に他人の人生を生きているような感覚。

Twitterで自分の苦悩を話すようになってから……。

編み物をすることで広がる理解。

ゲイであることを隠し、「男らしさ」を装うため、長年編み物をしていることを隠してきたという男性。Twitterに作品を投稿するようになってから「幅広い年代の方がLGBTへの理解を深めてくれるようになった」と話します。
自分のセクシュアリティを隠すために、「男らしさ」を演じなければならなかったーー。
「編み物をしていることは、自分のセクシュアリティを公言することと同じくらい難しかった」というツイートが話題になっています。
BuzzFeed Newsはツイートをした男性に取材しました。
(Opal毛糸を使ったマント)
取材に応じてくれたのは編み物デザイナー兼作曲家である、Codaさん。
もともと母親が編み物のインストラクターをしていたことから、幼い頃に独学で編み物を覚え、それから「50年近く編み物をしている」と語ります。
編み物をしていると公言するまで、こんな想いがあったのです。
「普段『男のくせに』『男らくない』『男でしょ!』という言葉を耳にしたり、そういう言葉を当たり前のように使ったりします。この言葉は男性にとって誰でもプレッシャーになります」
世間から求められる「男らしさ」が編み物をしていることを公言するのに大きな障害になっていたのだと話します。
「ましてゲイの私にとっては、自分のセクシュアリティを隠すために、『男らしさ』を演じなければなりませんでした」
(棒針編みのカーディガンとストール)
編み物を公言するまで、大きく2つの葛藤があったのだと答えます。
1つ目は幼少期に、何人かに「編み物は男らしくない」と言われたこと。
「編み物は悪いことなのか? と疑問を持つようになりました」
2つ目は「男らしくしないとゲイであることがバレるのではないか?」「バレたら生きてはいけなくなるのではないか?」という不安。
成人して仕事をする年齢になっても「これらの悩みはずっとついてまわったのだ」と話します。
信頼できる友人だけに「ゲイ」だとカミングアウト。
でも、常識や社会的規範の圧力を感じる中、事実を隠し、自分を偽って過ごす毎日に「窮屈でいつも重い鎧を着ているような気分だった」と話します。
「ゲイを隠すため毎日多くの人に嘘をつき続けました。1つの嘘は、2つ3つの嘘を招きます。このため私はあまり幸せを感じませんでした。常に他人の人生を生きているような気がしていました」
「他の人といかに自分が違っているかということだけに、注意が向いていたような気がします。だから編み物をする事実も同様に隠していました」
(6本の棒針を使って編むアラン模様)
5ヶ月ほど前から、CodaさんはTwitter上でセクシュアルマイノリティに関するツイートをしています。
毎日つぶやき続けていると「ゲイをオープンにしたなら、編み物することもオープンにすべきだ」と思うようになったといいます。
そこで自分の作品も徐々に投稿するように。
そこから編み物という共通の趣味や話題を通じて、幅広い年代層やセクシュアリティの人々と繋がることができたのだと話します。
「『編み物するのに性別は関係ない』とおっしゃる方、また男性でも編み物する方の反応がたくさん返ってきました。こうして毎日のように多くの皆様からの励ましの声を頂くようになりました」
(レインボーのモチーフにしたピアノカバー)
さらに嬉しいことは、編み物を通じて繋がった方の中には「LGBTQへの理解が深まりました」とリプライするユーザーが多くいることだと語ります。
「一般的にLGBTQの当事者の存在を、身近に感じていない方が多いかと思います。でも実際のところはオープンにしていないだけで、近くに必ずいます」
「何の心の準備や知識もないまま、いきなりPRIDEパレードや同性婚の是非を問われても『すぐに賛同できない』という方の気持ちを私は理解できます。これに反して、編み物という媒体をとおして、Codaという一人の人間と知り合い、そこからLGBTQへの理解と関心が向けられたことは、大変喜ばしいことと思っております」
現在はTwitterの他にもYoutubeで積極的に活動中。
「これからもっと多くの方々と繋がり、みんなが穏やかに、幸せになれる社会づくりに貢献したいと思っています」
CodaさんのYoutubeはこちら。、