「結婚して3週間、男性との不倫がバレました」ある男性の告白動画が拡散。発信を続ける理由

保守的な環境で育ってきた投稿者の男性。「男性が好きだったのに、なぜ結婚したのか？」という批判に答えました。「僕にあった選択肢は2つ。ゲイであることを受け入れる代わりにすべてを失うか、結婚して世界中から祝福され『幸せ』を手に入れるか」

「男性との不倫が、妻にバレました」あるTikTokユーザーの告白が、拡散されました。

Abe Hutcheon / Via tiktok.com

自身の経験についてTikTokで語ったのは、アビーさん（@comingofabe）。

元福音派のキリスト教徒で、不倫相手は男性。アビーさんも男性、同性愛者です。

アビーさんは10年余り前、大学卒業の直後に結婚しました。そして、妻が不倫を知ったのは、結婚してからたった3週間後のこと。

アビーさんの告白は注目を集めており、多くのコメントが寄せられています。中にはアビーさんを責める声もありますが、それは覚悟の上。

宗教上の理由で抑圧されているクィアの人たちに、自分と同じ後悔ばかりの道を歩んでほしくないという思いから、非難されることも考慮した上で、かつての自身の体験を、SNSで発信することを決めたそうです。

「自分がゲイだと知りつつ女性と結婚するということは、相手の女性はもちろん、自分も、周りの人たちも深く傷つける。バカげた道を歩むということ」

Abe Hutcheon / Via tiktok.com

大学の最終学期、フィアンセとの結婚半年前、アビーさんはチャットルーレット（ランダムな相手とビデオチャットをするサイト）で出会ったある男性と、チャットを始めました。

「大したことじゃないと思っていました。とても保守的な（宗教）環境で育ったので、自分が男性と付き合うなんて絶対にありえないと思っていたんです。それなのにまさか…」

「男性との恋愛経験がなかったから、僕は本当に、うっかり恋に落ちてしまったんです」

Abe Hutcheon / Via tiktok.com

数ヶ月が経っても彼との関係は続き、ついにそのまま当時のフィアンセと結婚することに。しかし、新婚3週間で不倫はバレてしまいました。

「生物化学の授業中、妻から携帯に不在着信が11回もありました。留守電やメールはなし。瞬時に何が起きたのか理解しました。妻に電話をかけ直そうと教室のある建物を出ると、妻はそこにいました」

「男性と話していたSkypeの画面を、開きっぱなしで置いてあった僕のパソコンで見たそうです。結婚して3週間で、チャットの履歴も何もかも見てしまった。それで、彼女は僕がゲイだと気づいたんです」

Abe Hutcheon / Via tiktok.com

「僕のしたことが正しいだなんて思っていません。いいことだと思っていません。だからこそ、こうして話そうと思ったんです。僕と同じようなことしようとしている人に、それは無理だとわかってほしい」

「なぜ結婚したのか？」という批判

@comingofabe / Via tiktok.com

「なんで女性の時間を無駄にするようなことするんですか？ ゲイだとわかっていたなら、彼女を愛してないのがわかっていたなら、なんで結婚したんですか？ 彼女がどれだけ傷つくか考えてほしい！」

コメントで多く寄せられている「なぜ結婚した？」という批判に対して、BuzzFeedの取材にアビーさんはこう語りました。

「『なぜ結婚した？』と言う人は、単純に理解していないのだと思います。自分の心を守ろうと思ったら、僕には他の選択肢なんてなかったんですから」

「僕にあった選択肢は2つ。ゲイであることを受け入れる代わりにすべてを失うか、結婚して世界中から祝福され『幸せ』を手に入れるか」

Abe Hutcheon / Via tiktok.com

「僕の宗教の教えがそうでした。期待されている道にすすむだけで、家族やそのほかいろいろなくだらないことが手に入って、幸せな人生が約束されたんです」

「だから、僕はその通りにしました。結婚するまで、教えの通りにやってきました。でも、結局それがすべてを壊して、僕の人生はめちゃくちゃになりました」

アビーさんに同情する人たちからの声も

@comingofabe / Via tiktok.com

アビーさんの行動を認めはしないものの、そうするしかなかった状況に同情する人も少なくありません。

「許されることではないと思うけど、きちんと責任を取ろうとする姿勢は尊敬できます」

「ホモフォビア（同性愛嫌悪）の人たちからの圧で、アビーさんはこうあるべきという役に押し込まれてしまったんだと思います。彼のしたことは間違いだけど、文化的・教養的な欠落が本当の問題」

「被害者面するつもりはない」

Abe Hutcheon / Via tiktok.com

アビーさんは、続けて投稿した動画でそう語っています。

「自分の行動が悪かったのは明らかです。めちゃくちゃにしてしまった。19歳で女性と婚約し、台無しにしまいました」

自身が育った非常に保守的な環境でのプレッシャーにも触れました。

「僕がいた世界のすべては、僕がゲイかもしれない、いや、ゲイの人間がいるかもしれないという可能性のすべてを否定し、避けていました」

「7歳の頃から、男性に対して特別な気持ちがあることに気づいていました。ただ、あの頃はとても幼くて、いいこと・悪いことの基準は教会で教わることがすべてでした」

「だから、僕の中には悪いところがあると思っていたんです」

アビーさんが離婚したのは10年前の話。その後、幼い頃から属していた宗派を離れ、新しい街に引っ越し、今は1人のオープンゲイの男性として生活しています。

Abe Hutcheon / Via instagram.com

離婚後、元妻の女性と何度か接する機会もあったそう。しかし、話せるようになるには数年を要しました。

Abe Hutcheon / Via instagram.com

「僕は彼女を愛していたし、高校大学とともに過ごし、彼女のことを本当に大切に思っていました。だからこそ、彼女に正直に接していたのです、セクシュアリティに関すること以外は」

「残念なのは、もし高校時代に彼女にカミングアウトしていたら、きっと彼女が僕の安全な居場所になっていただろうということ。きっと親友として素晴らしい関係が築けて、もっと違う道があっただろうということ」

たとえ批判されようと、自分と同じ体験をした人がいる限り、アビーさんは自身の経験を語り続けたいといいます。

Abe Hutcheon / Via tiktok.com

「これは実際に起きている話」と語るアビーさん。

「思っていた以上に、多くの人が必要としている話です。どんな状況を生きてきたのかを理解してほしいです。もし、あなたがその状況にいる（宗教的な理由で抑圧されている）ならば、あなたは1人じゃありません」

「自分の心に耳を傾けて。もし、カミングアウトが危険だと思えば、まだしなくていいんです。いつか公にできる日が来ます。絶対、いつか、その日は来ます」

この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳：soko ／ 編集：BuzzFeed Japan

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