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Updated on 2019年4月25日. Posted on 2019年4月25日

インターセックスの子どもたちに対する手術、英政府は実態を把握せず

「若者たちは、自分の体がどのように感じ、機能してほしいかを、自律的に決めるための基本的人権を与えられなければならない」

Irene Kuzemko

子どものころ(写真左)と、大人になってからのイレーネ・クゼムコ

英政府は、インターセックスの子どもたち(「男性」「女性」の一般的な概念に当てはまらない体を持って生まれた子どもたち)のうち、どれくらいが国民保健サービス(NHS)で外科手術を受けているかは、把握していないと認めた。BuzzFeed Newsが詳細をレポートする。

こうした外科手術の中には、医学的必要性はないのに、患者の承諾を得ずに実施されたものもある。こうした手術では実質的に、若い患者が違和感のある性別に割り当てられてしまう可能性がある。 

BuzzFeed Newsが、そのような手術はどれくらいあるのかと保健省に尋ねたところ、はじめは、NHSイングランドとNHSデジタルへ問い合わせるようにと言われた。NHSイングランドがそうした情報は持っていないことを認めると、今度は保健省は、NHSがその情報を持っていないのなら、「保健省も持たない」と答えた。

一方、NHSデジタルでは、こうした情報は集めていないということだった。外性器を切除したり、体内の生殖器官すべてを切除したりといった、特定の外科手術の数だけならわかるが、その多くは、インターセックスだからという理由で行われたものではないかもしれないという。

インターセックスの権利を守るため、最近は不必要な手術に対する非難が高まっているにもかかわらず、データは不足している。国連拷問等禁止条約と世界保健機関も、医学的根拠がないまま幼児を「正常化」しようとする外科手術に公に反対している。

BBCが2017年、グレート・オーモンド・ストリート病院で行われたインターセックスの子どもに対する治療について調査した結果、こうした治療は患者に「合っておらず」、「ケアの基準を満たしていない」という結論に達した。

陰核形成術、生殖腺切除、膣形成、子宮摘出、陰茎増大、陰茎形成、停留精巣治療、そして過去には陰核切除など、非常に多くの医療介入が、未成年者に対して行われる可能性がある。中には、尿道への手術のように、数十年にわたって複数回の手術が必要なものもある。

Irene Kuzemko

イレーネ・クゼムコ

こうした手術がどれくらい行われているかを、NHSも政府も把握していないことが発覚したのは、2018年12月にイレーネ・クゼムコの記事が掲載されてからだ。イレーネがBuzzFeed Newsに語ったところによると、彼女は25歳の時に、さまざまなインターセックスの種類についての動画を見て、初めて自分がインターセックスであることに気づいたという。

その後、自分の医療記録を見せてもらったイレーネは、そんなものが自分にあることさえ知らなかった体内の睾丸(および卵管)が、知らないうちに、つまり彼女の承諾なしに、切除されていたことを知った。そして、実は自分が、XY染色体(男性の染色体)を持っていることも知ったのだ。

イレーネはロシア系ウクライナ人だが、彼女と同じ経験をしたインターセックスの人は、イギリスやアメリカを含め、世界中にいる。インターセックスの大人の多くは、手術が自分の承諾なしに行われたことや、どちらの性別が自分に適しているのかを言えるようになる前に性別を割り当てられた経験について語る。自分のインターセックスの種類について、医師による説明が不足していることも語っている。

インターセックスのイギリス人男性アニックは2017年、「子ども時代はずっと手術を繰り返していました」とBuzzFeed Newsに打ち明けた。「よく理解していませんでした。何も説明されなかったから、小さいころは、何が起きているのかわからなかったのです。元気なのに病院にいたんです」

イレーネは、生まれたときは女性と診断された。それは、たまたま彼女のジェンダー・アイデンティティと一致した。だが、多くのインターセックスの子どもたちは、誤った性別に割り当てられている。よくある理由は、外科医たちが、今ある生殖器を使って、より達成しやすい性別を選ぶからだ。このため、そうした子どもたちは大人になったとき、自分のジェンダー・アイデンティティに合う、もう一方の性に転換するための手術を要求することがある。

アドボカシー団体を共同で立ち上げたイレーネはBuzzFeed Newsに、「インターセックスの子どもたちを、私自身が経験しなければならなかったようなことから救いたいのです」と語った。「誰であれ、隠しごとをされるべきではありません。それなのに、あまりに多くのインターセックスの人々が、秘密や嘘を経験しています。自分の体が医療の対象となり、人権を侵害され、不必要な手術や医療介入を受けています」

Anick

英政府労働局は2018年、インターセックスの専門家や擁護者に向けて、意見を求め始めた。まずは、個人がどのような経験をしているかをもっと理解し、それから、より幅広い意見を聞き、インターセックスというマイノリティが、医学的、法的、社会的、精神的に必要としていることにどう応えるのが最適かを検討しようとしているのだ。

国連は、人口の1.7%が、何らかの形のインターセックスであると推定している。ホルモンや染色体、外性器、生殖器官が、男性または女性の基準に完全に一致していないということだ。

インターセックスUKは2018年、BuzzFeed UKにこう語った。「若者たちは、自分の体がどのように感じ、機能してほしいかを、自律的に決めるための基本的人権を与えられなければなりません。子どもは、健康的に、幸福に、安全に生活できる必要があります。一子ども時代の質を著しく侵害する、有害な風習や避妊手術、性の割り当て、その他の有害な行為の影響を受けてはなりません」

この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:浅野美抄子/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan


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Patrick Strudwick is a LGBT editor for BuzzFeed News and is based in London.

Contact Patrick Strudwick at patrick.strudwick@buzzfeed.com.

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