Twitterでの罵り合いを止めさせる「twttr」 その背後にある狙いは?

Twitterの経営陣は、Twitterというプラットフォームが根底から壊れていることに気付いている。それを自ら立て直そうとする新たな取り組みは、尻込みするほど困難な作業になるだろう。

    Twitterでの罵り合いを止めさせる「twttr」 その背後にある狙いは?

    Twitterの経営陣は、Twitterというプラットフォームが根底から壊れていることに気付いている。それを自ら立て直そうとする新たな取り組みは、尻込みするほど困難な作業になるだろう。

    サンフランシスコ-Twitter共同創業者のビズ・ストーン氏が3月12日、iPhoneのホーム画面のスクリーンショットをコメント付きでツイートした。コメントには、「僕らの新しいプロトタイプに気付いた?……『twttr』って呼んでほしい。アプリのアイコンから鳥がいなくなったのだけど、シンプルさを表現しているんだ。青空みたいな青一色は、検討中の意味。修正作業中で、まだ出来上がっていない。だから、ロゴもない」とあった。

    このツイートを受け、Twitterは予想通り大騒ぎになった。「こんな史上最低のデザインを選ぶなんて」「最悪」「酷い」といった具合で、ネット上で嫌がらせする困り者を追い出せずにいるTwitterをからかう際に使われるフレーズをまねた「みんな、ナチを追い出そうぜ。お前ら、あのロゴを追放するぞ」というリプライも、多くのいいねを獲得し、たくさんリツイートされた。

    ところが、ストーン氏のツイートは完全に誤解されていた。Twitterのアイコンが変更されたという事実はない。リリースされたのは「twttr」という別のアプリであり、Twitterアプリに搭載するかどうか検討中の新機能を試験する目的で公開されたプロトタイプだ。ストーン氏は、「Twitterから鳥はいなくなっていないよ」としている。

    現在のTwitterは大きな問題をいくつも抱えており、その一部をまさにプロトタイプで解決しようとしているのだが、今回の騒ぎはそうした大問題の縮図となった。つまり、叫ぶ人ばかり登場し、誰も話し合おうとしない。「小文字のtで始まる」twttrは、Twitterで起きている表面的な現象だけでなく、その下に隠れている根本的な問題を何とかするために、Twitterが進めている重要な取り組みの構成要素である。twttrから得た知見を活用し、Twitterで激しい罵り合いを鎮め、対話を促そうとする意図が込められている。

    Twitterはオープンな誰でもやりたい放題できる場所で、言論の自由を標榜しているため、偽情報ハラスメント言葉の暴力を扇動する格好の場となってきた。こうした多くの問題はTwitterサービス開始初期に下された仕様上の判断に起因すると、ストーン氏は考えている。そして、サンフランシスコに拠点を置くTwitterは典型的なシリコンバレー的作法に従い、サービスに手を入れることで、オープンでリアルタイムにやり取りできる特性を失わせることなく、Twitterの仕組みと密接に絡む問題を解決するつもりだ。

    ただし、解決につながる具体策はまったく不明で、Twitterも大きな変更を加えて全ユーザーに適用したら事態を悪化させることもあり得ると理解している。そのため、Twitterは根本からサービスを見直し、twttrで小さな変更から始めた。

    BuzzFeed Newsは、Twitterの中心的人物にインタビューするなど、この件を何日も追いかけた。さらに、カオス状態になりがちなTwitter上のやり取りでどんな発言があるのか分かりやすくする最初の大きな取り組みとして、twttrを担当するチームにも取材をした。twttrチームは、ユーザーが会話全体をじっくり読めば、理解度の改善につながると考えている。ユーザーは脊髄反射を控え、論調に配慮し、常に叫んでいる状況から抜け出す可能性がある。

    もしくは、精緻な調査を数え切れないほど実行せずとも、きちんとテストしたサービス改造だけで、13年以上におよぶ歴史のなかで形成された文化に深く根ざす問題を解決できるかもしれない。

    ストーン氏がtwttrについてツイートしてから2週間過ぎたころ、このプロトタイプを体験した約4700人のユーザーからツイート600件分の反応があったほか、1986件のアンケート調査結果が得られた。分析を担当したTwitter上級ユーザー・リサーチャーのコディ・エラム氏は、データを収めた巨大なスプレッドシートに取り組み、突出する重要なコメントをピックアップしていった。

    twttrチームが最初に調べたことは、誰が誰にリプライしているのかを現在より分かりやすくすると何が起きるかだった。さらに、「いいね」数と「リツイート」数というユーザーの気持ちをもっとも高める情報の提供方法も変更し、1回タップしないと表示されないようにした。こうすることで、ユーザーの注意をリプライの文章自体へ向けさせようとしたのだ。これで、ユーザーがどう考えたかを把握する準備が初めて整った。

    まず得られたフィードバックでは、リプライを吹き出しで表現したTwitterの見た目はチャットのようで、誰が何に反応しているのかが分かりやすい、という意見があった。リプライを示す線に異なる色が着けられていることで、混乱する人もいた(フォローしている人のリプライは青い線、元ツイート投稿者のリプライは黒い線で区別された)。

    エラム氏は、新デザインがプロトタイプユーザーにおおむね好評だったと推測した。ただし、いいね数などを隠したことは例外で、さまざまな反応があった。

    この反応は、ある程度予想していた。導入初期にはあまり気に入られないと考えられた小さな変更なのだが、ユーザーを正しい方向へ進めるためには避けられない犠牲なのだろう。

    最初のtwttrテストに参加したユーザーの一部は、いいねおよびリツイートのボタンが変更され、数の表示がなくなったことに狼狽していた。エラム氏は、Twitterのサンフランシスコ本社で開催されたミーティングの場でtwttrチームの13人に対し、ユーザーの不安を次のように説明した。

    「相当数、約20%が、『いいね数は今までどおり表示した方がいい』という意見だった。注目するポイントがないため、余計な手間がかかると感じている人もいた。たとえば、別のリプライを見る場合、ツイート人気度という点でどこに目を向かせるべきだろうか」(エラム氏)

    「twttrの新デザインはリプライがどれも『横並び』に見える」、「余計な操作(つまり、余計なタップ)をしないとリプライの重要度がつかめない」、といった不満も出た。

    twttrチームを率いているサラ・ハイダー氏は、「現在Twitterでは、いいねとリツイートに関するデータを使ってリプライをランク付けしている。そのため、ランクのような情報がなくなると、あるリプライが表示され、別のリプライが表示されない理由が分からなくなって混乱するのだろう」と仮定した。

    1週間後に改めて開催されたユーザーからのフィードバックを検討するミーティングで、エラム氏からtwttrチームに次の報告があった。米国外でTwitterユーザーが特に多い日本のテストに参加したユーザーからは、異なる理由でいいね数とリツイート数の非表示に反対する声が目立ったのだ。

    主に日本でTwitterユーザーのリサーチを担当している山内清稔氏によると、日本人ユーザーのなかには、目立って攻撃や嫌がらせの標的にされることを避けるため人気リプライへの対応を控える人がいるという。

    このフィードバックを念頭に置いてハイダー氏は、twttrチームに対し「重要だったり時間を費やす価値があったりするツイートがどれなのかユーザーに分からせる必要があり、数字以外でこれを実現できる方法があるかどうか検討する」ことを求めた。

    Twitter最高経営責任者(CEO)のジャック・ドーシー氏は、ユーザーがいいね、リツイート、フォロワーを獲得しようとして過激化するため、各種指標の削除を以前から明言していた。

    ワシントンポスト紙による2018年8月のインタビューで、ドーシー氏は「我々にできるもっとも重要なことは、Twitterに組み込まれた刺激策の検討である。刺激策はユーザーに何をさせたいか示すためのものだが、今や適切でなくなっているのだろう」と述べている。

    ハイダー氏率いるtwttrチームは、ユーザーの行動を別の方向へ「そっと押し出せる」と考えている。リプライ表示のデザインをできるだけシンプルにしつつ、会話参加者と自分の関係性が示されれば、ユーザーは反応する前に全体をきちんと読むようになるのではないか、との仮説を立てた。

    「今回のテストでは、(いいねとリツイートを)見せないことでユーザーの読み方をどの程度変えられるか調べている。いいね数などを隠すと、人気があるように思えても実際には人気のないツイートやリプライを読むようになるだろうか。会話に対する態度はどう変わるだろうか。とても興味深い」(Twitter上級製品デザイナーのリサ・ディン氏)

    サービス開始当初のTwitterは、交流促進を最優先に考えており、交流を活発にする機能(リプライ、いいね、リツイート用のボタン)と、交流度合いを示す指標(フォロワー、いいね、リツイート、リプライの数)が拡大に貢献してきた。それが今は、ユーザーの行動を別の方向へ促そうとしている。

    方向転換しているのは、Twitterだけでない。IT業界のリーダーは、自分たちの運営しているプラットフォームが利益より害悪をもたらすとの批判に対処し、ユーザーを刺激する役割の見直しに取り組みだした。

    Instagramは、いいね数をユーザー自身には見せるがそのフォロワーには見せない、というテストを実施中だ。Instagram代表のアダム・モッセーリ氏はBuzzFeed Newsに、ユーザーを特定の行動へ向かわせるためのテストではないと述べた。そうではなく、目的は「プレッシャーを感じず気兼ねなく自分を表現できる場にすること」で、いいね数への注目度を下げることだという。

    Twitterとしては、実験的な機能をプロトタイプに搭載して公開すると、競合サービス運営者から丸見えになってしまうが、ユーザーを新デザインへ徐々に慣れさせる、という意図もある。「Twitterの動き方を、根本的に変えようとしている。……新たなデザインをある程度ユーザーに見せておく必要がある」(ハイダー氏)

    一般的に、仕様変更は受け入れられない。事前に知らされない変更はとりわけ嫌がられる。

    Facebookが2009年に導入した(「プライバシーの侵害」と呼ぶグループもあった)ニュースフィード機能はユーザーから強い反発を受け、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が「落ち着いて、深呼吸をしてほしい。意見を聞くので」と直接対応するほどだった。

    そこでハイダー氏は、大きな変更でユーザーを驚かせないようにするため、社内で密かに開発せず、ユーザーとともに作業を進めようとした。

    「テストに参加していない人にも、メディアの記事で情報を知らせ、『変更に備えて心の準備をしている』と考えさせる必要がある」(ハイダー氏)

    ハイダー氏のチームは、いいね数の非表示より物議をかもしそうな2つの新機能を検討している。1つは、ユーザーがオンラインだったり入力中だったりすることをほかのユーザーに伝えるオプション機能「プレゼンス・インジケーター」。もう1つは、会話したい話題をほかのユーザーに示すステータスの追加機能だ。

    Twitterの改修には多くの困難がともなうものの、Twitterの構造そのものが大きな問題と関係している。Twitterは極めて複雑なサービスなのだ。リプライはそれ自体がすべてツイートであり、各ツイートへぶら下げられるリプライの数に制限がない。会話は理解が困難どころか、読むことすら難しい。こうして生じた誤解が、あるツイートに同じような第一印象の反応を大量に発生させ、リプライに飛びつかせ、twttrに言及したストーン氏に押し寄せたような条件反射的な反応を引き起こさせる。そして、炎上に油を注ぐ。

    @matthewreidというユーザーがストーン氏に対するリプライで、Twitterの直面している問題を「大量に押し寄せるリプライをざっとスクロールしていくと、大好きなTwitterというプラットフォームの汚染原因が見えてくる。原因は、弱い者いじめ、群集心理、鼻持ちならない知ったかぶり」とうまくまとめていた。

    CEOのドーシー氏もこれと同じ意見だ。「Twitterには、激しさ、拙速な行動、浅い思考、(同一見解だけを補強していく)エコーチャンバー、断片的な会話と考察を加速させる傾向があり、私もそれには居心地の悪さを感じている」(ドーシー氏)

    Twitterプロダクト・リードで、Periscopeの共同創業者でもあるケイヴォン・ベイポー氏は、BuzzFeed Newsに「誰もが読めて参加できる会話を実現させると、まさに驚くほどの力となるので、背景に存在する複雑さを覆い隠し、とても単純だと感じさせる必要がある。たとえば、数え切れないほどの人が会話している部屋のなかにいるとしよう。それはカオスだ」と語った。

    カオスの混乱状態を改善するために、twttrというプロトタイプはTwitterの見た目を変えようとしている。「すぐ実行できる操作はどれで、1回タップしてから実行する操作はどれだろうか。13年以上も問題として存在していた考え方を、根本的に見直しつつある」(ベイポー氏)

    悪用とハラスメントに関するTwitterの対策は、その多くがTwitterアプリに直接組み込まれた。また、twttrで試されている仕組みのなかには、リプライの口調を変化させようとする、直接的なハラスメント対策のアイデアもある。ドーシー氏によると、リプライはTwitter上でトラブルがもっとも多く発生する共有空間の1つだそうだ。

    今後の機能追加で、リプライを読んでいる際にユーザーのアイコンをタップすると、ツイートとともにそのユーザーの詳しいプロフィール情報が表示されるようになるかもしれない。

    「リプライしようとしている相手が誰なのか分かれば、リプライの口調を変えるかもしれない。こんなたとえ話はどうだろう。クソリプを投げつけられて、それに反応したとする。このリプライのなかで、『なんと、このユーザーは2人の父親だ』と分かることがあり得る」(ハイダー氏)

    ベイポー氏は、このプロフィール表示機能が「取るに足りない」と感じられることを認めつつ、Twitterは感情移入の方向へ「ぐっと引っ張り」始めている、とした。

    「あるユーザーの背景情報を伝えるだけでなく、欲をいえばほんの少し会話相手に共感させるには、どうしたらよいだろう。どこの誰なのか知らない相手ではなく、少しでも知っている人と話せば、無礼な会話は難しくなる」(同氏)

    さらに、ベイポー氏は「礼儀正しさが(健全な会話の)重要な要素」と付け加えた。そもそも安全に発言できない雰囲気だと、自由に話せる場であると感じさせることは非常に難しい。

    Twitterは、雰囲気を改善し、(いいねボタンが桜のボタンに変化するような)楽しい場であると受け止めてもらうため、さまざまな工夫をしている。それでも、排除すべき悪用とハラスメントは多く、口調の件や、ネット上で広まっている男女差別といった、簡単には対策できない問題が存在する。

    Twitterをオーバーホールしても、そこで起きているハラスメントの原因は修正できない。ユーザーに問題があるからだ。

    Twitterではハラスメント騒ぎが多い。ネット上の悪用/ハラスメント対策に取り組んでいる企業、Block PartyでCEOを務めているトレイシー・チョウ氏も、ハラスメント被害の経験者だ。

    そんなチョウ氏は、BuzzFeed Newsに「グループで会話するダイレクトメッセージが、スパム配信手段として使われるようになった。私がダイレクトメッセージで受け取ったスレッドは、お互いを知っている白人大学生が大勢いるグループで、私を殺すことなんて簡単だと話していた」と証言してくれた。

    ある人物からのダイレクトメッセージを開いてしまうと、その相手をブロックしない限りダイレクトメッセージの送信をやめさせられない。チョウ氏はTwitterのこの動作を、ユーザー保護策として考えられたにもかかわらず実際には意味のない機能の例だと指摘した。

    「ブロックは好戦的な対応なうえ、ほかの人にブロックした事実が知られてしまう。その結果、怒りを誘発してハラスメントを激化させたり、ブロックを戦果として利用されたりする」(同氏)

    また、チョウ氏は、リツイートとコメント付きリツイートも簡単に悪用や悪用対抗策の道具として使われるとした。

    「どこかのクズが人種差別的なツイートをして、私が『ノー』とコメント付きリツイートをしたとしよう。すると、私のフォロワーが私の代わりに闘ってくれる。その一方、フォロワーの多いユーザーが特定個人への攻撃をけしかけると、(コメント付きリツイートは)ハラスメントの道具になってしまう」(同氏)

    保守派ライターのマイロ・ヤノプルス氏は2016年、Twitterから出入り禁止処分を受けた。自分のフォロワーを扇動して、女性版「ゴーストバスターズ」に出演したレスリー・ジョーンズ氏のTwitterアカウントへ大量の差別発言や侮辱的なツイートを送りつけさせたためだ。

    チョウ氏と同様の被害に遭ったユーザーは、twttrによる状況改善は大して望めない。「リプライが読みにくくなるばかり」(チョウ氏)だという。さらに、プロトタイプではユーザーの画像とユーザー名がとても小さく、既知の荒らし屋からのリプライかどうか見分けるのに役立たないそうだ。

    Twitterの広報担当者によると、twttrチームはユーザー画像とユーザー名の表示サイズと見せ方をいろいろと試している。

    中毒性を有する技術の登場について記した書籍「Irresistible: The Rise of Addictive Technology and the Business of Keeping Us Hooked」の著者で心理学者のアダム・オルター氏は、「Twitterのような企業が初期段階で実行する行動はすべて、注目の獲得競争をする分野で小さなシェアを取り、早期の資金獲得に十分な期間ユーザーを参加させておきたいという、短期的な欲求に起因する。自社の持つ媒体という視点が重要と見なされるようになるのは、その段階が過ぎてからだ。長期的な視点は、企業活動の相当終盤にならないと現れない」と説明した。

    「Twitterやその他プラットフォームが実行しようとしている変更のほとんどは、現時点でごく小さい。ユーザーの使い方は大して変えられないだろう。しかし、正しい方向への一歩ではある」(同氏)

    twttrを2カ月使ったところ、Twitterの改善につながる変更だと感じられた。リプライの表示画面では、マゼンタ色をした目立つ「書き手」ラベルのおかげで、その書き手の追加したコメントが簡単に見つけられる。別のスレッドを見分ける「家系図」の線も便利だ。

    あるスレッドで2人の荒らし屋が「論破してやる」と罵り合っていたら、スクロールしてそのやり取りを丸ごと隠し、次のスレッドへジャンプする機能もある。今後twttrには、やり取りをもっと簡単に分解する機能も搭載される。

    ただし、twttrという取り組みで得ようとしている効果は、Twitterサービスの使い勝手改善にとどまらない。事業面のメリットも目的の1つだ。ハイダー氏は、twttrでの検証成果がいずれ最終的にTwitterアプリへ反映されたら、ツイート数の増加につながると考えている。

    「より気持ちよく会話できるようになれば、(Twitterを)もっと使うようになって、より多くの価値を引き出せるようになるはずだ。それこそ、我々が目指していることだ」(ハイダー氏)

    2018年初めからずっと黒字を維持してきたTwitterだが、同社によると2019年第1四半期の月間アクティブユーザー数は前年同期から600万人少なくなり、約3億3000万人まで減ったという。そして、月間アクティブユーザーの公表をやめてしまった。

    ユーザーに使い続けてもらい、同時に広告収入を得るためには、Twitterで過ごす時間をより良く快適にする方策を編み出さなければならない。ドーシー氏は第1四半期決算発表の場で、Twitter上の会話機能を差別化要素と称し、twttrによるプロトタイプ試験が前進しているとした。

    インターネットでもっとも人気の高い無料プラットフォームであるFacebook、YouTube、Twitterは、サービスが開発者の意図したとおりには使われない、ということにやっと気付いた。そして、「拡大性」を備えた設計のソフトウェアであるため、ユーザー数が膨大になるまで負の側面が現れないのだ。

    Twitterは基本に立ち返ることで、予想も期待もしていなかった偽情報、荒らし、集団間の争いといった問題を引き起こした機能の作り直しに取り組んでいる。

    大勢が同時に喋る部屋のなかでは声を張り上げることになり、ほかの人の声が聞こえなくなる。人が増えると、不協和音になっていく。これは避けられない現象で、まさにTwitterで起きている事態だ。Twitterがスタートしてから13年、ユーザーの声は大きくなる一方だった。ベイポー氏とハイダー氏は、周囲の騒音を小さくして、ユーザーを目の前の会話に集中させようとしている。ただ、問題が長引くほど、解決は難しくなる。

    結局のところ、騒音のなかでも真の会話を実行できるようにするか、それとも今よりも大きく声を張り上げるようにするかの選択は、数億人いるTwitterユーザーに任されている。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:佐藤信彦 / 編集:BuzzFeed Japan