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「ドライヤーの広告ってなんでみんな女性?」家電メーカーが問い直す「普通」とは

パナソニックがこの春スタートした「YOUR NORMAL」プロジェクトでは「性」を学んだり、「他者との関係」を考えられるコンテンツを用意。社内向けに従来にはなかった広告ビジュアルも提案します。

日常の中で感じている「もやもや」に向き合おう

プロジェクトの一環で社内向けに提案したドライヤーのビジュアル。(パナソニック提供)

髭をたくわえた男性がドライヤーを持つこちらのビジュアルは、パナソニックがこの春、スタートした新たなプロジェクト「YOUR NORMAL」の一環で作られた社内向けの提案だ。

「ドライヤーの広告ってどうしてみんな髪が長い女性ばかりなのかなと思ったんです。男性だってドライヤーを使う人は多いのに。

今まで特に深い言及をされることなく『当たり前』だと思われていたけど、それってどうして?と思うことって結構ありますよね。そういう『もやもや』に改めて向き合おうと思ったのが今回のプロジェクトのきっかけでした」(パナソニック株式会社 イノベーション推進部門 デザイン部門 白鳥真衣子さん)

「普通」を問い直す。

パナソニック

YOUR NORMALプロジェクトでは「心と体のあり方、ジェンダーロール、他者との関係性」など、自分らしい人生を生きるために、性の幅広さの理解と考え方のアップデートに取り組む。

「ただ概念だけを共有するのではなく、物をつくる会社として、個人個人の選択肢を増やして、自分らしさを実現するために製品、サービスを増やせたらという想いがありました。

もやもやが少ない社会を実現するために『生』と『性』について自問自答する機会を届けたい。そんな想いで、ライフサイクルの大切な時期ごとに、体験してほしいコンテンツを作りました」(白鳥さん)

幼少期、思春期、成人期とライフステージに合わせた2つの製品とコンセプトムービーを発表した。

幼少期:「YOUR NORMAL ゆあ のーまるきみを かんがえる ほん」

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幼少期から日常的な出来事として、性についても自然に話題にできるように、保護者やきょうだい、友人と一緒に遊びながら学べる絵本。「からだについて」「プライベートゾーンについて」「すきについて」の3章から成る。

幼い子どもでも、楽しく学べるように様々な工夫が施されている。

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中にはたくさんのクイズが用意されていて、本体に付属するブラックライトを照らすことで正解が見えるようになっている。

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マグネットで様々な衣類をコーディネートできる着せ替えコーナーもある。

「衣類型のマグネットをセットすると『いいね!』『最高!』などの音声が出るようになっています。どんな洋服を選んでも褒め言葉が出るようになっていて、自己肯定感が高められるように工夫しています」(パナソニック株式会社 イノベーション推進部門 デザイン部門 東江 麻祐さん)

こちらの絵本は現在、PDFでダウンロード可能。ただしPDFではブラックライトや音声の仕掛けはない。原本の発売についての予定は現時点ではないという。

思春期:ショートフィルムと特別インタビュー

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周囲と自分との違いで思い悩むことも多い思春期向けには、ショートフィルムとその出演者への特別インタビューを用意した。

「思春期は、学校や家庭など生活範囲が狭く、コミュニティが狭いので、そこの中での普通や平均値から外れることを恐れる傾向があります。

でも実は色々な普通があるんだよっていうことを理解してもらえるような内容を目指しました」(東江さん)

成人期:誰かと一緒にいるような感覚を味わえる「イマーシブヘッドフォン」

パナソニック

成人期向けには体感できるコミュニケーションツールとして、人のささやきをよりリアルに感じられる「イマーシブヘッドフォン」を提案する。

「他者との親密な関係性を体験できるようなツールを目指しました。ヘッドフォンを装着すると、街を歩いているような雑踏の音に紛れてパートナーからの囁き声が流れてきます。

耳元でささやかれているような体験を再現するため、声と共に微風も発生します。遠距離、二次元、シングルなど、様々な選択肢がある中で、他者とどういう関係性を築いていいかわからない人に他者との関係を擬似体験してもらうことで、選択肢を広げられればと考えています」(白鳥さん)

イマーシブヘッドフォンの発売予定はない。

くらしを扱う会社なのに「性」っていう観点が抜けている

BuzzFeed

プロジェクト実施にあたっては、専門家や高校生、社会人など様々な人にヒアリングをなんども重ねた。

「今の社会に『もやもや』や、生きづらさを感じている人がものすごく多かった。色々な人の話を聞いていくうちに、パナソニックって『くらし』を扱う会社なのに『性』っていう観点が抜けていると気づいたんですね。

くらしの中の課題を解決する製品をものすごくたくさん出しているのだから、多くの人が感じている『もやもや』を解決できる手段だってきっと何か提案できるはず。そういう思いでプロジェクトを進めてきました」(白鳥さん)

プロジェクトの一環で社内向けに提案したボディシェーバーのビジュアル。(パナソニック提供)

「まずはスタートを切ったところ。賛否含め色々な意見をもらって、それを社内にもフィードバックしていきたい」(東江さん)