「こんな時代だからこそ…」パナソニックが開発した“瞑想ルーム”とは?

    パナソニックがビジネスホテル用に新たに開発した瞑想用システム「(MU)ROOM」がユニークだ。深いリラックスだけを考えて作られた「何もない部屋」は旅先での新たなスタンダードとなるか…

    パナソニックは、ビジネスホテル用に新たに開発したシステム「(MU)ROOM」を公開した。マインドフルネスとも呼ばれる瞑想に特化したユニットで、スムーズに瞑想できるような技術を採用する。

    ホテルの室内に設置される予定のユニット内は、真っ白で、一般的なホテルにあるはずのベッドやテーブルなどの家具はもちろん、窓もない。従来のビジネスホテルとは全く違う異質な雰囲気だ。

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    宿泊ゲストは室内に座り、専用端末を操作することで同社が開発した瞑想プラグラムを体験できる。

    プログラムが始まると、室内にはアロマの香りが漂い、ごく微細なミストを噴射、光や音楽で満たされる。

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    家電メーカーのパナソニックがなぜ今、このようなプロジェクトをスタートしたのか……話を聞いた。

    「出張先のビジネスホテルで時間を持て余す人が多い」

    今回のプロジェクトは、コロナウイルスによるパンデミックが発覚する以前にスタートした。成長を続けていた宿泊市場において、パナソニックの技術を活かした事業創出を目的とし、様々な可能性を検討していたという。

    「パナソニックの技術をどう活かすかというところで、室内にプロジェクターをつけたり、最高の音響環境を整えるなど、色々アイディアはあったのですが、待てよ、と。ホテルの部屋でそういった施設が本当に求められているのか?という疑問が湧きました。

    実際、ホテルでの時間の過ごし方を調査してみると、特にビジネスユーザーはほとんど何もせず、テレビやスマホで時間を潰すという人が多いということがわかりました。そこの隙間時間で何かできないか?と考えたのが“瞑想”でした」(パナソニック ビジネスソリューション本部 営業推進部 ソリューション二課課長 金子司さん)

    主なターゲットは30代前後の出張を頻繁に行うビジネスマン。

    「日中の仕事や移動で感じたストレスを瞑想で解消して欲しい」と話す。

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    「パナソニックが瞑想」というと、突拍子もない取り組みのようにも聞こえるが「心と身体の健やかさをどう維持するか」というのは同社が以前から取り組んできたテーマだったという。

    「体の健康に対するサービスというのは、すでに様々なものが出ていますが、心の健康というのは大きな社会課題にもなっています。

    特に今、コロナによって心の閉塞感が蔓延している中で、マインドフルネス(瞑想)というのは、課題解決のひとつの手法になるのではと思いました」(パナソニック デザイン本部 未来創造研究所 クリエイティブラボ 空創デザイン課シニアディレクター 齋藤直輝さん)

    スムーズに瞑想できる技術とは…?

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    「(MU)ROOM」の瞑想プログラムは、日本のマインドフルネス第一人者でもある早稲田大学の熊野宏昭教授が監修する。

    「ミストや光、音、香りによって空間をコントロールしています。色々な過去や未来を考えすぎて、頭がごちゃついている状態をスッキリさせることができるのがマインドフルネスです。熊野教授のご指導の下、空間、体験としての瞑想を作ることができました」(齋藤さん)

    今回のプログラムでは、瞑想がどれくらいできているかスコア化できる。これは既に瞑想をしている人たちの要望から生まれたサービスだという。

    「ヒアリングを進めると、瞑想するときに実際自分がうまくできているかわからないという声が多くありました。瞑想は語学学習と一緒で、単語をたくさん覚えたところで、話せるようになるものではない。体験を蓄積していくということが重要です。

    (MU)ROOMでは心拍と呼吸を計測することで、瞑想をスコア化。瞑想の深さを計測できるようにしました」(齋藤さん)

    「実際、驚くほどの効果を感じた」

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    3月上旬から(緊急事態宣言の影響で正確なスケジュールは未定)は京都にあるホテル「アンテルーム」の一室に「(MU)ROOM」を設置、実際に宿泊して、体験できるようになる。

    「実際にお金を払って泊まる宿泊ゲストの方が、このようなサービスをどう受け止めるか、またホテル運営における導入メリットを評価する実証期間となります」(金子さん)

    テレビやベッド、デスクもない部屋を宿泊者がどう受け止めるか。しかし、数ヶ月に及ぶ実験を経て、確かな効果を実感できたという。

    「私自身、マインドフルネス(瞑想)は未経験で、最初に体験した時はそこまで大きな変化を感じませんでした。ただし2回、3回と繰り返すことで、心がパッと明るくなったような実感を得ました。

    マインドフルネスは回数を重ねることで、より深い体験ができるという特徴もあります。リピーターのお客さんも想定しています」(金子さん)

    コロナ禍の今だからこその需要も見込む。

    「オフィスの縮小などに伴う新しい空間活用やシェアオフィスに併設する新しいサービスとしても提案できると考えています」(金子さん)

    色々な「当たり前」が変化していく時代、ホテルでの「瞑想タイム」は旅先での新しいスタンダードになり得るかーー。