離れて暮らす一人暮らしの親を“想う”最新デバイス


「親を想うきっかけが欲しかった」

「既視感のない」デザインへのニーズ


ガラケーの親でも使える

スピード感を持って新しいことにチャレンジしていく


トイレの使用時に水を流れる水を検知することで、離れて暮らす親の“いつも通り”を知れるIoTサービス「omu」がLIXILの関連会社から発表されました。
住宅設備機器販売のNITTO CERA(LIXILグループ)は、離れて暮らす親の生活に異常がないかを知ることができるIoTサービス「omu」のクラウドファンディングを「makuake(マクアケ)」で開始した。
トイレの使用データを通じて、一人暮らしの親が“いつも通り”の生活をしているかどうかを知ることができるサービスで、ノバルス株式会社と共同開発した。
トイレタンクに本体を置き、トイレ使用に流れる水を検知、トイレの使用データを通じて「変化がない」ことを確認できる。
専用アプリでは、トイレの使用時間や回数などのデータを確認できるほか、コミュニケーション機能も備える。使用状況を確認できる対象は1人までで、基本的には一人暮らし向けのサービスとなる。
月額980円(税込)で工事は不要。手軽に使い始められることにこだわったという。
「父親が一人で暮らしているんですが、まだ60代で元気なので、普段は思い出すことも少ないくらい。お互い頻繁に連絡を取ることは煩わしいんですが、元気でやっているかは知りたい。そういう気持ちから開発をスタートしたサービスです」(LIXIL WATER TECHNOLOGY JAPAN新規事業推進部 デザイナー 稲田ゆか理氏)
「トイレは毎日必ず行く、使用確度が高い場所。住宅設備を扱うLIXILグループにとって扱いやすい場所でもあります」(NITTO CERA代表取締役社長浅野靖司氏)
しかし、LIXILグループは通信機器などは扱っていない。
「スピード感のあるベンチャー企業、ノバルスさんと組む事で、我々の弱いところを補ってもらいました」(浅野社長)
製品化までにはモニター調査を重ねた。ユーザーからのフィードバックで多かったのはとにかく目立たないデザインを求める声だった。
「監視されているという感覚なく使えるもの、目に入りにくいデザインを目指しました。トイレタンクに置いた時にいかに馴染むかという点を重視しました」(稲田ゆか理氏)
高齢の親はスマートフォンを持っていない人も多い。スマートフォンがなくても、本体接続を行えるようにコンセントに挿してすぐ使えるゲートウェイプランも用意した。
LIXILは、従来とは異なる発想やスピード感で事業開発を進める新規事業推進部を2017年4月に創部。「omu」もそこで開発された。
「住宅も建ちづらい世の中で、本業としてはもちろんリフォームなど新しい価値の追求を提案していくが、そことは違うところで新しい価値を加えていかないといけない。異業種とのタッグも積極的に進めていき、様々な商品にチャレンジしていく」(浅野社長)
様々な新規事業が展示されている展示会「CEATEC」などにも足繁く通い、今回「omu」を共同開発したノバルスの技術も展示会で知ったという。
クラウドファンディングを活用するのも挑戦のひとつだ。
「製品が話題になり、様々なご意見を頂戴できる。よりスピード感を持って商品開発を進められます」(浅野社長)
コロナ渦において、ショールームでの接客もオンライン化を進めるなど、様々なことが変化した。しかし、住宅設備を扱うメーカーならではの手応えも感じているという。
「家で過ごす時間が増えていく中で、家での時間をより快適にしたいというニーズは増えている。モノを通じて、お客様の生活をより高みに持っていきたい」(浅野社長)