Updated on 2019年10月30日. Posted on 2019年10月28日

    YouTube作家を知ってますか? 人気チャンネルを支える裏方の存在

    YouTuberのキャラクターを研究した上で、企画を出し、サムネイルやタイトル、公開時間など動画投稿に関するあらゆるノウハウを提供する「YouTube作家」のニーズが今、高まっている

    子供達の憧れであり、CMやイベントなどにも引っ張りだこ、YouTuberは今や人気の職業だ。毎日一人で企画を出し、動画を撮影し、編集作業に明け暮れる人気YouTuberの姿は度々テレビなどでも取り上げられる。

    しかし、その裏で「YouTube作家」と言われる職業があるのをご存知だろうか。そのYouTuberのキャラクターを研究した上で、企画を出し、サムネイルやタイトル、公開時間など動画投稿に関するあらゆるノウハウを提供する。

    「YouTubeでバズらせる方法は知っている」と淡々と語る24歳の男性2人が立ち上げたYouTube作家の会社、こす・くまを取材した。

    株式会社 こす・くまの「すのはら」(左)と「たけちまるぽこ」(右) natsuko abe/Buzzfeed

    「一生をテレビに捧げるのはさすがにないな」

    株式会社 こす・くまは「すのはら」と「たけちまるぽこ」(以下敬称略)の2人が立ち上げたYouTube作家の会社だ。

    現在、YouTubeチャンネル、合計42チャンネルへの企画提供をしているほか、企業のYouTubeチャンネルのコンサルティングや、チャンネル立ち上げの際のアドバイザーなどYouTubeにまつわる様々な仕事を行なっている。

    2人の出会いは2016年に遡る。

    たけちは当時テレビ業界で放送作家を志していたが、テレビ業界を「しんどいな」と感じ、中高生の頃から慣れ親しんでいたYouTubeで何かできないかと考え始めていた。

    「放送作家を目指していたくらいだから、テレビもラジオも大好きだった。ただ、ネットの中で育っていた自分にとっては違和感を感じることばかりで、未来も感じられなかった。自分の一生をテレビに捧げるのはさすがにないなと」(たけちまるぽこ)

    たけちまるぽこ氏(natsuko abe/BuzzFeed)

    すのはらは、高校2年頃からYouTubeに動画を投稿してきた。当初は音楽を中心とした投稿だったが、そのうち動画投稿そのものにハマり、自己流の分析を始めていた。2015年に1年間毎日動画投稿をしたことで、伸びる動画と伸びない動画の違いが見えてきた。しかし、そのままYouTuberとして生計を立てていこうとは思わなかった。

    「色々なYouTuberを見てると、動画投稿を続ける中で自分の人生を消費している人が多い。自分はそういう生き方はしたくない。でも動画投稿で得たノウハウはあるし、なんとかそれを活かせないか。そのタイミングでたけちに会ったんです」(すのはら)

    放送作家とは違う「YouTube作家」のルール

    やりたいことが合致した2人はすぐに意気投合。フリーの「YouTube作家」としての活動をスタートした。YouTube作家というのは、2人で作った造語だ。たけちが放送作家をやっていたこともあり、当初は放送作家と同じような業務を求められたが「YouTube作家」と肩書きを明確にすることで、放送作家とは違うという意思表示をする意味もあったという。

    実際に仕事内容はテレビの放送作家とは違う。2人は早い段階でYouTube作家のルールを作った。それはテレビの放送作家の仕事とは全く異なるものだ。

    1.台本は書かない
    2.YouTuberのキャラクターを活かす
    3.データ分析を重視する

    中でも彼らがもっとも強みとしているのが「データ分析」だ。

    Anadolu Agency / Getty Images

    「出して終わりのテレビとは違う」

    彼らの仕事は緻密なデータ分析の上に成り立っている。

    登録者3万人以下で、10万回再生以上の動画を1万件以上リストアップして、サムネイルやタイトルなどの要素を抽出、伸びた理由を分析していく。

    「テレビはユーザーがどう思おうと全く関係ない、作って終わり、出して終わりというところがあるが、YouTubeは全く違う。再生回数を伸ばしたい、最後まで見て欲しい、世界の人に見てもらいたいという思いがある。そのためにはデータを重視したコンテンツ作りが大切」(すのはら)

    YouTubeと共に育ってきた24歳の2人は、何が面白いのか感覚的には理解していたが、データ化することでバズらせる仕組みを理解でき、そのノウハウを提供できるようになった。

    彼らが手がけた動画は多く、著名なYouTuberとも仕事をしてきた。しかし「YouTube作家」の仕事はあくまで裏方で、彼らが表に出ることはない。

    しかし、「東海オンエア」という著名なYouTuberからの依頼を受けて、実験的な取り組みをした例がある。彼らが関わったことを伏せて、ある動画を公開したのだ。

    タイトルは『この動画は再生回数0回を目指します。』

    YouTubeでこの動画を見る

    youtube.com

    再生回数は2019年10月時点で約519万回。チャンネル登録者数472万人の超人気YouTuber「東海オンエア」にとってもこの再生回数は大きい。

    特に注目すべきが「高評価」を押している人の多さだ。YouTubeでは、視聴者が動画を評価できる。気に入った動画には「高評価」、逆に自分の好みではなかった場合「低評価」を押す。「YouTube作家」の2人が企画を担当した本作は前後に公開された動画と比べると高評価の数が突出して高い。

    後々:318万(高評価4.0万)

    後:263万(高評価 4.2万)

    本作:521万(高評価11万)

    前:240万(高評価 4.9万)

    前々:286万(高評価 5.6万)

    結果が全て数字に出る。これがYouTubeの厳しい世界なのだ。

    炎上するのはYouTubeを知らないから

    YouTubeは企業のマーケティングツールとしても注目されているが、度々炎上する。YouTube作家の2人からみて、その理由は一言「YouTubeを知らないから」だという。

    「YouTubeにはYouTubeのルールがあり、ユーザーがいる、それを理解していないケースがあまりにも多い」(すのはら)

    すのはら氏(natsuko abe/BuzzFeed)

    例えば、有名YouTuberとお笑い芸人が同じ動画に出ていた場合、知名度の認識がYouTubeのユーザー層と企業側で違うということがよくある。認識が揃わないことでチグハグで炎上のリスクを含んだ動画になってしまうという。

    現在、企業のマーケティング動画に関わることもあるというが、その時にまず伝えるのが「僕たちのことを信じて、僕たちの言う通りにしてください」ということ。

    「テレビはスポンサーありき、企業ありきのコンテンツなので、正直ユーザーがどう思おうと、全く関係ない。視聴者の声がダイレクトに届き、再生回数と人気が直結するYouTubeとは全く違う」(たけちまるぽこ)

    これからYouTuberになりたい人へ

    小学生の将来の夢として度々取り上げられることもある「YouTuber」だが、YouTuberを目指す人にアドバイスをもらった。

    「バラエティ系のネタをなんでもやる、いわゆる『マルチジャンル』は飽和状態なので、絶対無理。これからやるならジャンルを特定するべき。今後伸びるジャンルは必ずある。YouTubeの世界は、日本が海外に3年遅れていると言われている。これからやるなら、今海外で何が流行っているのかを研究するのが良さそう」(たけちまるぽこ)

    「とにかく続けることが重要。投稿を続けることでマーケティング要素など色々なことがわかってくるし、たとえYouTuberを諦めたとしてもその経験は活きてくる」(すのはら)

    Ute Grabowsky / Getty Images

    全力でふざけて生きていきたい

    5Gの時代を迎える今、ネット動画は新たな波を迎える。

    「ネット動画の今後は絶対明るい。YouTubeはどれだけ見られたか、目に見えるので、ユーザーが本当に求めているコンテンツだけが生き残れる。これからのメディアはもっと本質的なものになる」(たけちまるぽこ)

    彼らが会社を立ち上げた理由は2つ。YouTube作家という仕事を確立させるため、もう1つは、全力でふざけたいからだという。

    「自分たちが面白いと思うことを全力でやりたい、本気でふざけたい。そのために会社を立ち上げた」

    21歳の時に知り合った2人は、出会ってから約3年、連絡を取りあわない日はほぼない。

    「ご飯を食べている時も、サウナにいる時も頭の中はYouTubeのことだらけ」

    彼らはYouTube作家という仕事を溺愛している。

    BuzzFeed Daily

    Keep up with the latest daily buzz with the BuzzFeed Daily newsletter!

    Newsletter signup form